イヤホンを装着すると、飛行機に乗ったときのように耳が詰まる、圧迫される、奥が痛いと感じることがあります。イヤーピースが耳の穴を圧迫しているだけの場合もありますが、外耳炎、耳垢、中耳の圧力調整に関係する耳管の不調など、耳そのものの状態が影響しているケースもあります。
また、カナル型イヤホンの密閉感やノイズキャンセリング使用時の感覚を「気圧が変わったような感じ」と表現する人もいます。ただし、イヤホンを装着するたびに実際に痛みが出る場合は、単なる装着感として我慢し続けるのはおすすめできません。
まずイヤホンの使用をいったん中止し、イヤーピースのサイズや装着方法、音量を見直します。それでも痛みや耳の詰まりが続く場合は耳鼻咽喉科で確認してもらうことが大切です。ここでは考えられる原因と、自分で試せる対策、医療機関を受診したほうがよい症状を解説します。
イヤホンで「飛行機のような耳の痛み」を感じる原因は一つではない
飛行機で耳が痛くなる代表的な理由は、気圧の変化に対して中耳の圧力調整が追いつかなくなることです。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会も、飛行機などの急激な気圧変化で耳管の働きが追いつかないと航空性中耳炎が起こることがあると説明しています。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会・耳の症状[参照]
一方、通常のイヤホンを耳へ入れるだけでは、飛行機の高度変化と同じような大きな気圧変化が中耳に起こるわけではありません。それでも「飛行機のときのような痛み・詰まり」と感じるなら、外耳道への物理的な圧迫、密閉による耳閉感、耳垢や炎症、もともとの耳管・中耳・内耳の問題などを分けて考える必要があります。
症状の感じ方だけで原因を断定することはできません。「耳の入口が痛い」のか「耳の奥が痛い」のか、「詰まるだけ」なのか「聞こえにくさや耳鳴りもある」のかによっても判断が変わります。
イヤーピースのサイズが合っていないと耳が痛くなる
カナル型イヤホンで特に多いのが、イヤーピースやイヤホン本体による物理的な圧迫です。大きすぎるイヤーピースを耳へ強く押し込むと、外耳道の皮膚が圧迫され、時間がたつにつれて痛みが出ることがあります。
例えばMサイズを使用して30分程度で耳の入口や耳穴が痛くなるなら、Sサイズへ変更して浅めに装着すると改善する可能性があります。左右で耳穴の大きさが違う人もいるため、左右同じサイズにこだわる必要はありません。
反対に小さすぎるイヤーピースでは、落ちないようイヤホンを奥まで押し込んでしまうことがあります。「密閉するために強く押し込む」のではなく、軽く装着して安定するサイズを探すことがポイントです。
カナル型イヤホンの密閉感が「耳の圧迫感」に感じられることもある
カナル型イヤホンは耳の穴をイヤーピースで塞ぐ構造になっています。そのため、オープン型イヤホンと比べて自分の声や足音などが響いて聞こえたり、耳を塞がれたような感覚が強くなったりすることがあります。
このような密閉感を「耳に圧がかかる」「飛行機のように詰まる」と感じる場合があります。イヤホンを外すと短時間で完全に元へ戻り、痛みや聞こえの異常が残らないのであれば、装着方法やイヤホンの形状との相性を確認する価値があります。
カナル型がどうしても苦手なら、耳穴を強く密閉しないインナーイヤー型やオープンイヤー型などを試す方法もあります。音質だけではなく、長時間無理なく装着できるかどうかもイヤホン選びでは重要です。
ノイズキャンセリングで圧迫感を感じる場合は一度オフにして比較する
アクティブノイズキャンセリング(ANC)対応イヤホンを使っている場合は、ANCをオン・オフして症状が変わるか確認してみましょう。ANCは外部の騒音をマイクで検出し、それを打ち消すような音を利用して騒音を低減する仕組みです。
ANCそのものが飛行機と同じ気圧変化を耳の中に発生させるわけではありませんが、低周波の環境音が急に減ることなどによって、独特の圧迫感を覚える人もいます。「ANCをオンにしたときだけ圧迫感が強く、オフでは問題ない」という場合は、ANCの強度を変更できる機種なら弱くする方法もあります。
ただし、ANCをオフにしても痛い、イヤホンを外した後も症状が続く場合は、「ノイズキャンセリングが苦手なだけ」と決めつけないことが大切です。
外耳炎があるとイヤホンを入れたときに痛むことがある
耳の穴そのものが炎症を起こしていると、イヤホンを入れる刺激で痛みが強くなることがあります。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会によると、外耳炎では耳が痛くなり、ひどく腫れると聞こえが悪くなる場合もあります。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会・外耳炎[参照]
イヤホンを外しているときにも耳の入口が痛い、耳を引っ張ると痛い、入口付近を押すと痛む、かゆみや耳だれがあるといった場合は、単なるイヤーピースのサイズ問題ではない可能性があります。
この場合、痛みがある状態でイヤホンを何度も装着するのは避けましょう。綿棒や耳かきで原因を探ろうとして耳の中を刺激すると、さらに傷つける可能性があります。
耳垢や中耳・耳管の問題でも耳の詰まり感は起こる
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会では、耳が水で塞がれたような感じや「ボワーン」とした耳閉感は、外耳・中耳・内耳のいずれに原因があっても起こり得ると説明しています。外耳では耳垢や外耳炎、中耳では耳管狭窄症や滲出性中耳炎などが原因になることがあります。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会・耳がつまる症状[参照]
つまり、「イヤホンをすると耳が詰まる=イヤホンだけが原因」とは限りません。もともと軽い耳閉感があり、イヤホンで耳穴を塞いだことで症状を強く意識するようになることも考えられます。
風邪や鼻炎の時期から耳が詰まりやすくなった、イヤホンをしていなくても違和感がある、片耳だけ症状が強いといった場合は、その経過も耳鼻咽喉科で伝えると診断の手掛かりになります。
大音量で聴いている場合は音による負担にも注意する
装着直後の物理的な痛みと、大音量による聴覚へのダメージは別の問題ですが、イヤホン使用時には両方を考える必要があります。WHOは、音が大きいほど安全に聴ける時間が短くなるとして、音量を抑え、長時間の連続使用を避けることを推奨しています。WHO・Safe listening[参照]
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会も、イヤホン・ヘッドホン使用では音量を下げ、長時間使用しないことが重要と説明しています。また耳鳴りを自覚した場合はいったん使用を中止することを勧めています。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会・音響外傷[参照]
「痛くない音量なら何時間でも大丈夫」というわけでもありません。通勤・通学などで毎日イヤホンを使うなら、音量だけでなく使用時間にも休憩を入れることが重要です。
イヤホンで耳が痛くなるときに試したい対策
明らかな耳だれや難聴などがなく、イヤホン装着時だけ違和感がある場合は、まず耳を休ませたうえで次のような方法を試せます。
- 痛みがある間はいったんイヤホンの使用を中止する
- イヤーピースを一段階小さいサイズに変更する
- 必要以上に奥へ押し込まない
- 左右それぞれに合うイヤーピースサイズを選ぶ
- ANC使用時だけ症状が出るかオン・オフで比較する
- カナル型が合わない場合はインナーイヤー型・オープン型を検討する
- 音量を下げ、長時間の連続使用を避ける
原因を調べるときは、一度に全部変更するより「イヤーピースだけ変更」「ANCだけオフ」のように一項目ずつ試すと分かりやすくなります。
ただし、すでに耳が痛い状態で何種類ものイヤホンを繰り返し装着してテストする必要はありません。まず数日程度イヤホンを避けても症状が残る場合や、繰り返し痛くなる場合は耳鼻咽喉科で確認してもらいましょう。
耳抜きを繰り返せば治るとは限らない
「飛行機と似た感じだから耳抜きをすればよい」と考えることもありますが、イヤホン装着時の痛みがすべて気圧差によるものとは限りません。外耳道の圧迫や炎症が原因なら、耳抜きをしても根本的な解決にはなりません。
特に鼻を強くつまんで何度も力任せに耳抜きをするのは避けましょう。原因が分からない耳痛では、無理に圧力を加えるよりイヤホンを外して耳を休ませるほうが安全です。
飛行機でも耳が非常に痛くなりやすく、普段から耳閉感がある場合には、耳管などの状態を耳鼻咽喉科で相談する方法があります。
こんな症状がある場合は耳鼻咽喉科へ
イヤホンを外せばすぐ治る軽い圧迫感と違い、痛みが続く場合は医療機関での確認が必要になることがあります。WHOも耳痛、耳だれ、聞こえにくさがある場合には医療従事者へ相談するよう案内しています。WHO・Ear care[参照]
| 症状 | 対応の目安 |
|---|---|
| イヤホンを外しても耳が痛い | 耳鼻咽喉科で相談 |
| 耳だれ・出血・強いかゆみ | 使用を中止して受診 |
| 片耳だけ急に聞こえにくい | 早めに耳鼻咽喉科を受診 |
| 耳鳴りや強い耳閉感が続く | 早めに受診 |
| めまいを伴う | 早めに医療機関へ相談 |
| イヤーピースが耳の中に残った | 自分で奥を探らず耳鼻咽喉科へ |
特に突然の聞こえにくさ、耳鳴り、耳の詰まりは、単なるイヤホンの圧迫感と自己判断しないことが重要です。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会によると、突発性難聴でも耳鳴りや耳がふさがった感じ、めまいなどを伴うことがあります。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会・耳の病気[参照]
まとめ:イヤホンで飛行機のように耳が痛いなら我慢せず原因を切り分ける
イヤホンを装着したときに飛行機のような耳の痛み・圧迫感・詰まり感が出る場合、イヤーピースのサイズやカナル型の密閉感、ANC使用時の感覚などが関係している可能性があります。一方で、外耳炎、耳垢、中耳や耳管など耳側の問題によって似た症状が出ることもあります。
まず痛みがある間はイヤホンを休み、再び使用するならイヤーピースを小さくする、浅めに装着する、ANCをオフにして比較する、別形状のイヤホンを試すといった方法で原因を切り分けるのが基本です。
それでも毎回痛くなる、イヤホンを外しても治らない、片耳だけ強い、耳鳴り・難聴・耳だれ・めまいなどを伴う場合は、単なるイヤホンとの相性と決めつけず耳鼻咽喉科を受診しましょう。耳の状態に問題がないことを確認したうえで、自分に合ったイヤホンの形状や装着方法を選ぶことが、長く快適に使うための近道です。


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