心理カウンセラーが話を聞いていないように感じるのはなぜ?相槌・同じ質問が続く理由とカウンセラー変更の判断基準

カウンセリング、治療

心理カウンセリングを継続していると、「相槌ばかりで話が進まない」「前に説明したことをまた質問された」「本当に話を聞いてくれているのだろうか」と感じることがあります。特にオンラインカウンセリングでは画面越しになるため、対面より相手の反応を読み取りにくく、不安が強くなることもあります。

カウンセリングでは、相談者の話を遮らないために相槌を使ったり、重要な内容をあえて確認し直したりすることがあります。そのため、同じ質問をされたからといって、直ちに「聞いていなかった」と判断することはできません。一方で、資格を持つ専門家であっても人間であり、集中力や記憶が常に完璧とは限りません。

重要なのは、カウンセラーが実際にぼんやりしていたかを推測し続けることより、「話を聞いてもらえていないと感じている」ということ自体をカウンセリングの中で扱えるかどうかです。継続するか変更するか迷っている場合も、まず現在の関係を確認することから始められます。

心理カウンセリングで相槌が多いのは珍しいことではない

心理カウンセリングでは、日常会話のように相手がすぐ意見や解決策を返すとは限りません。話を遮らずに聞くため、「うん」「そうなんですね」「なるほど」といった相槌を使いながら、相談者自身が話を続けられるようにすることがあります。

特に来談者中心療法などでは、カウンセラーが一方的に助言するより、相談者の経験を丁寧に理解することが重視されます。そのため、助言を期待している人には「ただ聞いているだけ」に感じられる場合があります。

ただし、相槌が多いことと、良質な傾聴ができていることは同義ではありません。話の要点を理解している様子がない、重要な内容が何度も抜け落ちる、相談者が継続的に「理解されていない」と感じるのであれば、その違和感は無視する必要はありません。

同じことを質問されるのには複数の理由がある

一度説明した内容を再び質問される場合、「聞いていなかった」と感じるのは自然ですが、カウンセリング上の意図がある場合もあります。事実そのものではなく、その出来事を現在どのように感じているか、以前と認識が変化したかなどを確かめるため、似た質問をすることがあります。

例えば以前「職場で上司から注意されてつらかった」と説明していても、後のセッションで「そのとき、どのような気持ちになりましたか」と改めて尋ねることがあります。これは出来事を忘れたのではなく、感情や考え方を詳しく扱うための質問と考えられます。

一方、「その会社には何年勤めていますか」と説明した直後に再び同じ事実を尋ねるなど、治療的な意図を読み取りにくい聞き直しが何度も続くなら、単純な聞き漏らしや記憶違いの可能性も否定できません。外から意図を断定することはできないため、直接確認するのが最も確実です。

臨床心理士でも話を聞き漏らすことはあり得る

臨床心理士は心理専門職の民間資格で、公益財団法人日本臨床心理士資格認定協会による資格認定制度があります。資格を持っていることは専門的な訓練や審査を経ていることを示しますが、「一度聞いたことを絶対に忘れない」「セッション中に一切集中力が落ちない」ことを保証するものではありません。日本臨床心理士資格認定協会[参照]

カウンセラーも人間なので、聞き間違い、記憶違い、理解のずれなどが生じる可能性はあります。また、複数の相談者を担当している専門家が、過去の細かな事実をすべて記憶だけで保持しているとは限りません。

その一方で、専門職だからこそ、相談者との信頼関係や自分の能力の限界を意識して仕事をすることが求められます。日本臨床心理士会の倫理綱領でも、臨床心理士には専門的能力の範囲内で業務を行うことや、対象者との信頼関係を築くことなどが示されています。日本臨床心理士会 倫理綱領[参照]

「わざと聞き直しているのか」は本人に確認してよい

カウンセリング中に違和感がある場合、「これはカウンセリングの方法として聞き直しているのか、それとも伝わっていなかったのか」と確認することは失礼ではありません。むしろ、その疑問自体が現在のカウンセリング関係について重要な情報になります。

例えば「同じ内容を何度か説明しているように感じるのですが、確認のためにあえて質問されていますか?」、「相槌だけで終わると、話が伝わっているのか不安になることがあります」と伝えれば、相手を責める形にせず確認できます。

そこで「感情の変化を確認するためにもう一度聞きました」など納得できる説明があれば、誤解が解ける可能性があります。逆に説明が曖昧だったり、違和感を伝えても取り合ってもらえなかったりする場合は、今後の継続を考える材料になります。

カウンセリングでは「信頼できるか」も重要なポイント

心理療法では、特定の技法だけでなく、相談者と支援者との治療的な関係も重要とされています。カウンセラーが優秀かどうかという単純な評価だけではなく、相談者が安心して話せるか、目標を共有できているか、進め方に納得できるかという相性もあります。

そのため、「資格を持ったプロだから自分が我慢しなければならない」と考える必要はありません。一方、一度の聞き間違いや質問の重複だけで能力がないと断定する必要もありません。違和感を伝えた後に関係がどう変化するかを見ることが有用です。

例えば、指摘した次回から要点を確認しながら進めてくれるようになり、以前より話しやすくなるなら継続する意味があります。反対に何度伝えても同じ状態が続き、毎回「聞いてもらえていない」という感覚が強くなるなら、担当変更を検討しても不自然ではありません。

すぐ別のカウンセラーへ変えなくてもできることがある

長期間相談してきた場合、別のカウンセラーへ変更して最初から事情を説明することに負担を感じることがあります。そのため、現在の担当者に一度違和感を伝え、改善できるかを確かめてから判断する方法があります。

また、毎回すべてを最初から話さなくて済むよう、自分の相談内容を簡単にまとめたメモを作る方法もあります。「これまでの経緯」「現在一番困っていること」「カウンセリングで扱いたいこと」を短く整理しておくと、担当変更が必要になった場合にも説明の負担を減らせます。

所属する相談機関に複数のカウンセラーがいる場合は、受付や運営者へ担当変更について相談できることもあります。現在の担当者を非難する必要はなく、「もう少し質問やフィードバックの多い進め方が合っている」といった希望を伝える方法もあります。

オンラインカウンセリング特有の「聞いていないように見える」問題もある

オンラインでは、通信遅延によって相槌のタイミングが不自然になったり、視線がカメラから外れることで「こちらを見ていない」と感じたりすることがあります。カウンセラーが記録を取るため画面から視線を外しているケースも考えられます。

音声が一瞬途切れて内容の一部が伝わっていない可能性もあります。毎回特定の時間帯に聞き返しが増える、音声が不安定になるといった場合は、通信環境も確認する価値があります。

ただし、オンラインだからすべて仕方がないという意味ではありません。音声が聞き取れなかったのであれば聞き返す、記録を取っているなら必要に応じて説明するなど、コミュニケーションによって不安を減らすことは可能です。

カウンセラーを変更するか迷ったときの判断基準

変更するかどうかは、一回の出来事より継続的なパターンで判断すると整理しやすくなります。次のような点を振り返ってみましょう。

確認したいこと 判断のヒント
話を理解してもらえている感覚があるか 要約や確認から理解が感じられるか
同じ質問の理由を説明してもらえるか 治療上の意図を確認できるか
違和感を率直に話せるか 不満や疑問も安全に伝えられるか
伝えた後に対応が変化するか 相談者からのフィードバックを扱ってくれるか
カウンセリングの目的が共有されているか 何を目標に進めているのか分かるか
継続することで役立っている実感があるか 数回単位で振り返って変化を確認する

「資格があるから変更してはいけない」「ここまで話したから変えられない」と考える必要はありません。心理支援では専門性と同時に、自分が安心して話せる関係であることも大切です。

まとめ:話を聞いていないと感じたら、その違和感自体を伝えてよい

心理カウンセリングで相槌が多かったり同じ内容を再び質問されたりしても、それだけでカウンセラーが話を聞いていなかったとは断定できません。話を促す相槌や、感情・認識を改めて確認するための質問である可能性があります。

一方、臨床心理士であっても人間であり、聞き漏らしや記憶違いが絶対に起こらないわけではありません。大切なのは専門家だから無条件に信頼しなければならないと考えることでも、違和感だけから怠慢だと決めつけることでもありません。

「以前説明したことを何度か聞かれて、ちゃんと伝わっているのか不安になる」と率直に伝え、その疑問をカウンセラーがどのように受け止め、説明し、その後のセッションへ反映するかを見ることが一つの判断基準になります。それでも「聞いてもらえていない」という感覚が続き、信頼関係を築くことが難しいのであれば、担当変更や別の相談機関を検討することも正当な選択肢です。

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