学校や仕事へ行きたくない事情があり、「風邪をひけば休める」「熱を出す方法はないか」と考えることがあります。しかし、徹夜、体を極端に冷やす・温めるなどの方法で、狙った温度の発熱を安全に起こすことはできません。
特に徹夜は、翌日の眠気や集中力・判断力の低下につながる一方、感染症による発熱を確実に起こす方法ではありません。体温を上げる目的で睡眠を削るのではなく、すでに体調が悪いなら休息を取り、登校がつらい事情があるならその事情自体を家族や学校へ伝えることが大切です。
ここでは、37℃台の体温をどう考えればよいのか、徹夜で熱が出るのか、わざと体調を崩そうとすることにどんな問題があるのか、そして学校へ行くのが難しいときにどう対応すればよいのかを解説します。
徹夜をしても「もっと熱が上がる」とは限らない
徹夜をすれば疲労感や眠気、頭痛、だるさなどが出ることはあります。しかし、「徹夜をすれば37.3℃から38℃以上になる」というように、体温を狙って上昇させることはできません。
体温は一日の中でも変動し、測定した時間、運動、入浴、食事、室温、測定部位などでも数値が変わります。そのため、一度37.3℃だったという情報だけで感染症による発熱なのかを判断することもできません。
一方、睡眠不足には明確なデメリットがあります。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、睡眠不足によって日中の眠気や注意力・判断力の低下などが生じ、事故などにつながるおそれがあるとされています。こどもについても夜更かしを習慣化させないことが重要とされています。厚生労働省 睡眠対策[参照]
37.3℃だけで「風邪をひいた」とは判断できない
体温が37.3℃だったとしても、それだけで風邪や感染症になったとは断定できません。普段の平熱、測定した時間帯、測定方法、直前の活動なども考える必要があります。
例えば、運動や入浴の直後に測った場合と、安静にしてから測った場合では条件が違います。体調を確認したいなら、体温を意図的に操作しようとせず、使用している体温計の説明書に従って適切な状態で測定することが重要です。
体温だけでなく、喉の痛み、咳、鼻水、悪寒、頭痛、強いだるさ、吐き気など、ほかの症状があるかも確認します。本当に具合が悪いのであれば、「もっと熱を上げる」必要はありません。
わざと風邪をひく方法を試すのは避ける
インターネットでは、薄着で寒い場所にいる、冷水を浴びる、睡眠を取らない、無理な運動をするといった「熱を出す方法」が語られることがあります。しかし、こうした行動で感染症を安全かつ確実に起こせるわけではありません。
むしろ、脱水、低体温、熱中症、転倒、強い疲労など、別の体調不良を引き起こす可能性があります。薬を必要以上に飲んだり、本来食べるためのものではない物質を摂取したりする方法は、さらに危険なので行わないでください。
「学校を休める程度に安全に熱だけ出す」という都合のよい方法はありません。体調を崩すことではなく、学校へ行きたくない原因を解決する方向へ切り替えるほうが安全です。
学校へ行きたくないなら「熱」がなくても相談してよい
学校へ行きたくない理由は、単純な面倒くささだけとは限りません。長期休み明けの憂うつさ、人間関係、いじめ、勉強、宿題、先生との関係、部活動、睡眠不足、強い不安など、さまざまな理由があります。
例えば「明日学校へ行くことを考えると眠れない」「教室に入るのが怖い」「特定の人に会いたくない」という状態なら、発熱を作るより、その内容を保護者へ伝えることが重要です。言葉にしにくければ、メッセージやメモで伝えても構いません。
学校側にも、担任だけでなく養護教諭、スクールカウンセラーなど相談できる相手がいます。体温という理由を作らなければ相談できない、と考える必要はありません。
すでに体調を崩すための行動をした場合は休息を取る
徹夜や極端な温度環境など、すでに体調を崩そうとして何らかの行動をしている場合は、それ以上続けず、通常の安全な環境で休息を取ります。水分も適度に補給しましょう。
厚生労働省の睡眠ガイドでは、成長期のこどもには十分な睡眠時間を確保することが推奨されています。睡眠は「体調を悪くするために削るもの」ではなく、心身を回復させるために必要なものです。厚生労働省 健康づくりのための睡眠ガイド2023[参照]
もし薬や洗剤などを飲む、極端に体を冷やす・熱するなど、健康を害する可能性がある行動までしてしまった場合は、一人で様子を見ず保護者など周囲の大人へ伝えてください。意識がおかしい、呼吸が苦しい、けいれんなど緊急性の高い症状がある場合は119番を利用します。
「明日どうしても行けない」という状態なら今夜のうちに伝える
登校直前になって発熱を作ろうとすると、本人も家族も余計に追い詰められやすくなります。「体調はそこまで悪くないけれど、学校へ行くのがかなりつらい」と正直に伝えることも選択肢です。
理由を詳しく説明できなくても、「明日学校へ行くことを考えるとかなりつらい」「今日は眠って、朝にもう一度相談したい」といった伝え方なら、現在の状態を共有できます。
一日休むか、遅刻して行くか、保健室などを利用するか、学校へ相談するかは状況によって異なります。大切なのは、病気を意図的に作って選択肢を一つにするのではなく、信頼できる大人と一緒に現実的な方法を考えることです。
まとめ:熱を上げるための徹夜ではなく、まず眠って体調を確認する
徹夜をすると眠気や疲労、注意力・判断力の低下などが起こりますが、狙った体温まで安全に発熱させられるわけではありません。37.3℃という一度の測定だけでも、風邪になったとは判断できません。
体温をもっと上げるために徹夜したり、わざと体調を崩す行動を続けたりするのは避け、まず睡眠を取ることが安全です。朝になって本当に発熱や強い体調不良があれば、その状態を保護者へ伝えて休養や受診を検討します。
そして「学校へ行きたくないから病気になりたい」という気持ちが強い場合には、熱を作ることより、その背景にある学校への不安やつらさを保護者、養護教諭、担任、スクールカウンセラーなどへ伝えることが重要です。体調を壊さなくても、学校がつらいこと自体を相談して構いません。


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