朝どうしても起きられず、何度アラームを止めても二度寝してしまう。さらに仕事中まで強い眠気が続く場合、最初に確認したいのが睡眠時間そのものが足りているかです。
特に、以前は6〜10時間程度眠っていた人が、就職や勉強などをきっかけに3〜5時間程度の睡眠を続けるようになった場合、朝起きられないことを単純な「意志の弱さ」や「アラームの問題」だけで説明するのは適切ではありません。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、成人について個人差を前提としながらも、6時間以上を目安として必要な睡眠時間を確保することが推奨されています。朝の起き方を工夫する前に、まず睡眠時間と日中の状態をセットで見直すことが重要です。[参照]
3〜5時間睡眠で朝起きられないなら、まず睡眠不足を疑う
例えば午前1時に寝て7時15分に起きれば、寝床にいる時間だけなら6時間15分です。しかし実際には寝付くまでの時間や途中で目覚める時間があるため、実睡眠時間はさらに短くなる可能性があります。
午前2時に寝て7時15分に起きる生活なら、寝床にいる時間そのものが5時間15分しかありません。3〜5時間程度の日が多いのであれば、一般的な成人にとってかなり短い睡眠です。
厚生労働省の睡眠ガイドでは、成人の適正な睡眠時間はおおよそ6〜8時間と考えられ、少なくとも6時間以上確保できるよう努めることが推奨されています。一方で必要な時間には個人差があり、8時間以上必要な人もいます。[参照]
「以前は長く寝ていた」は重要な手掛かりになる
必要な睡眠時間には個人差があります。そのため「社会人なら5〜6時間睡眠でも普通」「周囲も同じくらいしか寝ていない」といった比較だけで判断するのはおすすめできません。
例えば学生時代には自然に8時間程度眠り、それで日中に問題なく活動できていた人が、社会人になって突然4時間睡眠になれば、本人に必要な睡眠量を大幅に下回っている可能性があります。
日中に強い眠気があること自体が、現在の睡眠が十分かを判断する重要な材料です。睡眠時間だけでなく、起床時の休養感や日中の眠気も一緒に確認しましょう。
アラームを何個増やしても解決しないことがある
5分おきに大量のアラームを設定したり、計算問題やパズルを解かなければ停止できないアプリを使ったりする方法は、起床の補助としては役立つことがあります。
しかし、そもそも身体が必要としている睡眠を十分取れていない場合、アラームは睡眠不足そのものを解決してくれません。計算問題を解いた直後に再び眠ったり、寝ぼけながらアプリを終了したりするのであれば、さらに強力なアラームを探すより睡眠時間を見直すほうが本質的です。
例えるなら、バッテリー残量が10%しかないスマートフォンに通知音を何度鳴らしても、充電量そのものは増えません。睡眠不足が中心的な問題なら、「どうやって強制的に起こすか」ではなく「必要な睡眠をどう確保するか」を先に考えます。
30分睡眠のような極端な短時間睡眠は避ける
朝起きられないからといって、睡眠をさらに短くして「30分だけ寝る」「ほとんど寝なければ逆に起きられる」といった方法を試すのは適切ではありません。
厚生労働省の睡眠ガイドでは、極端に短い睡眠時間は肥満、高血圧、糖尿病、心血管疾患、うつ病などさまざまな健康リスクと関連することが示されています。[参照]
一時的には眠気を乗り越えられたように感じても、注意力や判断力が必要な仕事、通勤、自動車の運転などに影響する可能性があります。すでに勤務中に強い眠気がある場合、睡眠をさらに削る方向には進まないことが大切です。
資格勉強で睡眠を削ると学習効率にも影響し得る
仕事が終わってから資格試験の勉強をすると、どうしても夜しか時間を確保できず、睡眠時間を削りたくなることがあります。
しかし「勉強時間を1時間増やすために睡眠を1時間削る」という方法が、必ずしも学習全体の効率を高めるとは限りません。翌日の強い眠気によって仕事や勉強への集中が落ちれば、確保した時間を有効に使えなくなることもあります。
例えば午前2時まで勉強して翌朝7時に起きるより、23時30分や0時に勉強を切り上げ、翌日の頭が働く時間帯へ一部を移動するほうが継続しやすいケースがあります。
まず1〜2週間、睡眠時間を意識的に増やして変化を見る
原因を切り分ける方法のひとつは、可能な範囲で就寝時刻を早め、睡眠時間を確保した生活を一定期間続けてみることです。
「一度だけ早く寝たけれど翌朝あまり変わらなかった」という結果だけでは、睡眠不足ではないと判断できません。睡眠不足が積み重なっている状態では、一晩長く眠っただけで完全に調子が戻るとは限らないためです。
就寝時刻、起床時刻、推定睡眠時間、朝の起きやすさ、日中の眠気を簡単に記録すると変化を確認しやすくなります。スマートフォンのメモでも十分です。
「寝だめ」だけを前提にしない生活を考える
平日は極端に短く眠り、休日だけ長時間寝る生活よりも、毎日必要な睡眠時間を確保できるスケジュールを目指すことが基本です。
資格勉強がある場合も、「残った時間を睡眠にする」のではなく、最初に起床時刻から必要な睡眠時間を逆算し、その残りを勉強時間として設計すると考えやすくなります。
例えば7時に起きる必要があり、自分には7時間30分程度必要だと分かっているなら、睡眠時間を確保できるよう就床時刻を決めます。必要な睡眠量は人によって異なるため、自分の日中の状態を見ながら調整します。
朝起きやすくするために見直したい生活習慣
十分な睡眠時間を確保することを前提に、起床と就寝のリズムを整える工夫も役立ちます。
- 毎日の起床時刻を大きくずらさない
- 起床後はカーテンを開けて明るい光を浴びる
- 日中に適度に身体を動かす
- 寝室を暗く静かで快適な温度にする
- 就寝直前まで刺激の強い活動を続けない
- 夕方以降のカフェイン摂取量を見直す
- 寝酒を睡眠対策として使わない
ただし、これらは3〜5時間しか眠っていない状態を帳消しにする裏技ではありません。睡眠環境を整えることと、十分な睡眠時間を確保することはセットで考えます。
アラームは「起きる仕組み」より「二度寝しにくい環境」を作る
睡眠時間を確保したうえで二度寝対策をするなら、アラームの数を増やすだけでなく、起床後の行動まで決めておくとよいでしょう。
例えばスマートフォンを枕元ではなく、立ち上がらなければ届かない場所へ置きます。アラームを止めたらカーテンを開ける、洗面所へ行く、水分を取る、といった一連の行動を固定します。
一方で、目覚まし時計を遠くへ置いても床に戻って眠ってしまうほど眠気が強い場合には、単なる二度寝癖として片付けず、睡眠不足や睡眠の質の問題を確認することが重要です。
日中の強い眠気が続くなら睡眠障害なども考える
十分な時間寝ているはずなのに朝起きられない、日中に耐え難い眠気がある、会議中や仕事中に意図せず眠ってしまう、といった状態では、睡眠時間以外の原因も考える必要があります。
睡眠時無呼吸症候群など、本人が十分眠っているつもりでも睡眠の質を低下させる病気があります。このほか、睡眠・覚醒リズムに関係する問題や別の疾患、薬剤などが眠気に関係する場合もあります。
厚生労働省も、睡眠の不調や睡眠休養感の低下がある場合には生活習慣の改善に加えて、病気が潜んでいる可能性にも留意するよう示しています。[参照]
どのような場合に医療機関へ相談する?
まず睡眠時間を十分確保してみても強い眠気が改善しない場合や、生活・仕事に支障が出ている場合には、自己判断だけで対処を続けず医療機関への相談を検討しましょう。
特に、大きないびきや睡眠中の呼吸停止を指摘される、十分寝ても眠い、意図せず眠り込んでしまう、朝起きられない状態が長期間続くなどの場合は、医師に具体的な状況を伝えることが重要です。
受診するときは、1〜2週間程度の就寝時刻・起床時刻・昼寝・日中の眠気を記録して持参すると、状況を説明しやすくなります。睡眠外来が近くになければ、まずかかりつけ医や内科などで相談する方法もあります。
通勤や運転中に眠い場合は特に注意する
勤務中に強い眠気を感じるほどの状態では、通勤時の自動車やバイク、自転車の運転、機械操作などにも注意が必要です。
「あと少しだから大丈夫」と眠気を我慢して運転するのは危険です。強い眠気がある状態では運転を避け、安全を優先してください。
朝起きられない問題は遅刻だけの問題ではありません。日中の注意力が求められる場面まで含めて考える必要があります。
まとめ:アラームを強くする前に必要な睡眠時間を確保しよう
朝起きられず仕事中にも眠い状態で、睡眠時間が3〜5時間程度しかないのであれば、まず睡眠不足の影響を考える必要があります。成人では個人差があるものの、厚生労働省は6時間以上を目安に必要な睡眠時間を確保することを推奨しています。
以前は6〜10時間程度眠っていた人が現在3〜5時間しか眠れていないのであれば、アラームを増やすことより、夜の勉強時間を含めた生活スケジュールを組み直して睡眠を確保することが優先です。
30分睡眠など極端に睡眠を削る方法は避けましょう。まず一定期間しっかり睡眠時間を確保し、それでも朝の起きづらさや日中の強い眠気が続く場合には、睡眠障害など別の原因も含めて医療機関へ相談することが大切です。


コメント