35歳以上で出産すると、子どもの発達について必要以上に心配になったり、周囲から「高齢出産だから発達障害なのでは」と言われて不安になったりすることがあります。しかし、母親の出産年齢だけを根拠に、その子に発達障害があると判断することはできません。また、幼児期の食事の進み方がゆっくり、好き嫌いが多い、怒りやすい、自我が強いといった一つひとつの行動だけで発達障害と決めることもできません。
研究では親の年齢と自閉スペクトラム症(ASD)の発生確率との間に統計的な関連が報告されていますが、これは集団を比較したときの「確率」の話です。35歳を境に子どもの発達が突然変わるわけでも、35歳以上で出産した子どもの多くが発達障害になるという意味でもありません。個々の子どもの発達については、実際の言葉、対人関係、遊び、運動、行動、生活への適応などを継続的に見て判断する必要があります。
また、「何歳の健診なら発達障害が分かるのか」という疑問に対しては、1歳6か月児健診、3歳児健診、さらに地域によって実施される5歳児健診など、それぞれ異なる発達段階を見る機会があります。1歳半健診で問題を指摘されなかったから将来も絶対に問題がない、あるいは逆に3歳児健診で何か指摘されたら発達障害が確定する、というものではありません。健診は診断そのものではなく、成長を確認し、必要な子どもを相談や支援につなげる大切な機会として考えるのが適切です。
- 「35歳以上の出産」と子どもの発達障害はどう関係する?
- 「リスクが高くなる」と「その子が発達障害である」はまったく違う
- 35歳と36歳で急に発達リスクが変わるわけではない
- 食事の進みが遅いだけでは発達障害とは判断できない
- 1~2歳で「怒りやすい」「自我が強い」のは珍しいことではない
- 1歳6か月児健診では何を見ている?
- 1歳半健診を通過したあとに発達特性が分かることはある?
- 次に重要になるのが3歳児健診
- 「何歳の健診で一番引っかかりやすい?」に一つの答えはない
- 5歳児健診が注目されている理由
- 5歳児健診で指摘されても「発達障害確定」ではない
- 発達を見るときは「できる・できない」の一項目だけで決めない
- 発語があることは良い発達サインだが、それだけですべては判断しない
- 健診まで待たず相談したほうがよい場合もある
- 保育園から発達について指摘されたときは「具体的な事実」を聞く
- 母親の年齢を理由に決めつける必要はない
- 「健診に引っかからないこと」をゴールにしなくていい
- 具体例:1歳半健診では問題なし、2歳で食事と癇癪が気になる場合
- 具体例:3歳ごろから集団生活で困りごとが見えてきた場合
- 具体例:5歳になって初めて困りごとが目立つ場合
- 発達が不安なときにメモしておくと役立つこと
- 発達相談は診断を付けるためだけの場所ではない
- まとめ:高齢出産だけで発達障害は判断できない。1歳半・3歳・5歳と継続して発達を見る
「35歳以上の出産」と子どもの発達障害はどう関係する?
一般に35歳以上での初産などが高年初産として扱われることがありますが、「35歳」という数字を子どもの発達障害の有無を判定する境界線のように考えるのは正確ではありません。
自閉スペクトラム症については、母親・父親の年齢が高いことと子どものASDの確率上昇との関連を示した観察研究やメタ解析があります。例えば複数の研究を統合したメタ解析では、親の年齢が高いグループでASDのオッズが高くなる関連が報告されています。[参照:PubMed「A assessment of the effects of parental age on the development of autism in children」]
過去の別のメタ解析でも、35歳以上の母親と25~29歳の母親を比較した場合にASDの相対リスク上昇が報告されています。ただし、これもあくまで集団を比較した統計的関連です。[参照:PubMed「Advancing maternal age is associated with increasing risk for autism」]
「リスクが高くなる」と「その子が発達障害である」はまったく違う
医療情報を読むときに特に注意したいのが、「リスクが上昇する」という表現です。これは「35歳以上で産んだら発達障害になる」という意味ではありません。
例えば、ある要因を持つ集団で特定の状態になる割合が統計的に少し高かったとしても、その要因を持つ一人ひとりがその状態になるわけではありません。反対に若い年齢で出産した場合でも発達障害のある子どもはいます。
さらに発達障害は母親の年齢という一つの要因だけで説明できるものではありません。そのため、母親が36歳で出産した、37歳で出産した、といった情報だけから目の前の子どもの発達状態を推測するのは適切ではありません。
35歳と36歳で急に発達リスクが変わるわけではない
「35歳以上」という区切りがよく使われるため、34歳での出産と36歳での出産には大きな境界があるように感じるかもしれません。しかし疫学的なリスクは、誕生日を境に突然切り替わるものではありません。
実際、親の年齢を扱った研究では複数の年齢区分を比較したり、年齢上昇に伴う傾向を解析したりしています。したがって「36歳と1日で出産したから」というように日単位の年齢差を発達障害の有無へ結び付けて考える必要はありません。
年齢は医学研究上検討されている要因の一つではありますが、実際の子どもの発達評価では、出生時の母親の年齢ではなく、その子が現在どのように成長しているかを見ていきます。
食事の進みが遅いだけでは発達障害とは判断できない
離乳食から幼児食への移行にはかなり個人差があります。歯の生え方、咀嚼の発達、食感への好み、食欲、体格、経験してきた食品、体調などさまざまな要素が関係します。
もちろん極端な偏食や特定の食感への強い拒否などが発達特性と関連する場合もあります。しかし、「幼児食への移行がほかの子より遅い」という事実だけで発達障害とは判断できません。
むしろ確認したいのは、成長曲線に沿って体重・身長が増えているか、食べられる食品が少しずつ増えているか、噛む・飲み込むことに問題がないか、むせが多くないかなどです。食事そのものについて心配がある場合は、小児科や乳幼児健診、自治体の栄養相談などで相談できます。
1~2歳で「怒りやすい」「自我が強い」のは珍しいことではない
1歳後半から2歳ごろになると、自分でやりたいことや欲しいものがはっきりしてくる一方、それを十分な言葉で説明したり感情を調整したりする能力はまだ発達途中です。
そのため「自分でやりたい」「これは嫌」「もっと欲しい」といった要求が通らないと、大声で泣く、怒る、床へ寝転がるなどの行動が出ることがあります。いわゆるイヤイヤ期に見られる行動でもあります。
もちろん程度や頻度、ほかの発達の様子を含めて相談が必要になるケースはありますが、怒ることや自我が強いことだけを取り出して発達障害と結び付けることはできません。
1歳6か月児健診では何を見ている?
日本では1歳6か月児健康診査が重要な乳幼児健診として実施されています。国の実施要領では、幼児初期に歩行や言語など発達の指標が得やすくなる時期として、身体発育だけでなく精神発達などを確認する目的が示されています。[参照:厚生労働省「乳幼児に対する健康診査の実施について」]
この時期には言葉が出ているかだけではなく、運動、視覚・聴覚、コミュニケーション、生活習慣などを含めて子どもの発達状況を確認します。自治体によって問診や実施方法には違いがあります。
したがって「発語がある=発達障害の可能性が完全になくなる」という意味ではありません。一方で、発語を含め順調な発達が確認され、健診で特に問題を指摘されなかったのであれば、その時点で明らかな問題を指摘されなかったという一つの安心材料として受け止めてよいでしょう。
1歳半健診を通過したあとに発達特性が分かることはある?
あります。子どもの発達は成長とともに求められる能力が変わるためです。1歳半では目立たなかった特徴が、会話や集団行動が複雑になる2~3歳以降に分かりやすくなることがあります。
例えば1歳半では単語が出ていて大人とのやり取りも成立していたものの、3歳ごろになって会話のキャッチボール、同年代の子どもとの遊び、集団指示への対応などで困りごとが目立ってくるケースがあります。
これは「1歳半健診が間違っていた」ということではありません。1歳半の時点で確認できる発達と、3歳、5歳になって初めて評価しやすくなる能力が異なるためです。
次に重要になるのが3歳児健診
1歳6か月児健診の次に、発達について確認する大きな機会となるのが3歳児健康診査です。このころになると、言葉、対人コミュニケーション、遊び方、生活習慣などが1歳半より発達しており、確認できる項目も増えてきます。
例えば「単語が出ているか」だけではなく、複数の言葉を組み合わせて話す、質問へ応答する、大人とやり取りする、日常生活の簡単な行動を理解する、といった能力が見えやすくなります。
一方で、3歳児健診でも発達障害の診断を確定することが目的ではありません。健診で気になる点が見つかれば、必要に応じて発達相談や医療機関など次の評価・支援へつなげていくことになります。
「何歳の健診で一番引っかかりやすい?」に一つの答えはない
発達障害には自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如・多動症(ADHD)、限局性学習症などがあり、特徴が目立ちやすくなる年齢が同じではありません。また同じ診断名でも個人差があります。
そのため「発達障害なら必ず3歳児健診で分かる」「1歳半健診を通れば大丈夫」という一本の境界線を作ることはできません。
1歳半、3歳、5歳、就学後と、子どもに求められる社会性やコミュニケーションが複雑になるにつれて初めて見えてくる特性もあります。
5歳児健診が注目されている理由
現在、こども家庭庁は5歳児健康診査の全国的な実施体制整備を進めています。2026年時点でも、出産後から就学前まで切れ目のない乳幼児健診を実現するため、5歳児健診を含む支援事業が進められています。実施状況は自治体によって異なるため、居住する市区町村への確認が必要です。[参照:こども家庭庁「乳幼児健診に関する取組み」]
5歳ごろになると、保育園や幼稚園で集団生活を経験し、順番を待つ、ルールに沿って遊ぶ、相手と会話する、指示を聞いて行動するなど、より複雑な能力が求められます。そのため乳児期には分かりにくかった発達上の特徴が見えやすくなる子どももいます。
国の5歳児健診に関する実施内容でも、精神発達、言語障害の有無、生活習慣の自立、社会性の発達、食事などが確認項目として示されています。また健診で発達障害等を踏まえた支援が必要と判断された場合は、地域でフォローアップする体制の整備が求められています。[参照:こども家庭庁「乳幼児健診に関する取組み」]
5歳児健診で指摘されても「発達障害確定」ではない
ここも非常に重要です。5歳児健診で発達についてフォローが必要と判断されることと、医療機関で発達障害と診断されることは同じではありません。
こども家庭庁の実施内容でも、5歳児健診後の総合的判断による「支援が必要」という判定は、専門医療機関等で行われる診断とは異なることが明記されています。
つまり健診は子どもを「正常・異常」に振り分ける試験ではなく、困っていることや発達上の特徴を早く見つけ、必要なら就学前に支援へつなぐための仕組みです。
発達を見るときは「できる・できない」の一項目だけで決めない
発達評価では、一つの行動だけを切り取るのではなく、複数の領域を総合して考えます。例えば言葉が出ているかだけでなく、言葉を何のために使っているか、人とのやり取りが成立するかなども重要です。
| 見る領域 | 例 |
|---|---|
| 言語 | 単語、二語文、会話、質問への応答など |
| 社会性 | 大人とのやり取り、ほかの子への関心、集団参加など |
| コミュニケーション | 指差し、視線、要求を伝える、相手と気持ちを共有するなど |
| 運動 | 歩行、走る、手先を使うなど |
| 生活 | 食事、着替え、排泄、睡眠など |
| 行動 | 切り替え、こだわり、落ち着き、感覚への反応など |
同じ「食べない」という行動でも、単なる好き嫌い、食欲の個人差、食感への苦手さ、口腔機能、体調など原因はさまざまです。その背景を見ずに発達障害と結び付けることはできません。
発語があることは良い発達サインだが、それだけですべては判断しない
1歳半の時点で意味のある言葉が出ていることは、言語発達を見るうえで大切な情報です。ただし発達評価は発語数だけを採点するものではありません。
例えば「ワンワン」と言いながら犬を指差して親の顔を見る、「ちょうだい」と相手へ要求を伝えるなど、言葉やジェスチャーを人とのコミュニケーションに使っているかという点も重要です。
一方で言葉の増え方には個人差があります。ある一時点だけで将来を予測しようとするより、数か月単位で「できることが増えているか」という発達の経過を見るほうが役立ちます。
健診まで待たず相談したほうがよい場合もある
「次の3歳児健診まで待たなければ相談できない」ということはありません。保護者が発達について強く気になっている場合は、健診の時期に関係なく小児科や自治体の母子保健窓口、発達相談などへ相談できます。
特に、以前できていた言葉やコミュニケーションが明らかに失われた、名前を呼んでも反応しない状態が続く、聴こえ自体が心配、食事をほとんど取れず成長にも影響している、自傷など安全上の問題がある場合は、次の定期健診を待たず小児科などへ相談したほうがよいでしょう。
国立成育医療研究センターでも、発達評価では全般発達、認知、運動、感覚、言語など複数領域を評価し、必要に応じて療育機関や地域の医療機関につなぐ体制を取っています。[参照:国立成育医療研究センター「発達評価支援室」]
保育園から発達について指摘されたときは「具体的な事実」を聞く
保育園は家庭とは違う集団生活の場なので、保育士からの観察は子どもの発達を考えるうえで参考になります。しかし「高齢出産だから発達障害かもしれない」といった推測ではなく、子どもが実際にどの場面でどのような行動をしているのかを具体的に共有してもらうことが重要です。
例えば「給食を食べません」だけではなく、「固形物は拒否するがペースト状なら食べる」「家では食べる食品も園では拒否する」「20分座っているのが難しい」「一対一の声かけなら指示を理解できる」といった情報なら、小児科や健診で相談するときにも役立ちます。
保護者側も「家ではどの食品を食べるか」「言葉はどのくらい増えているか」「家族への要求をどう伝えるか」「公園ではほかの子にどう反応するか」などを伝えると、家庭と園の両方から発達を考えられます。
母親の年齢を理由に決めつける必要はない
保育や医療の場で発達について心配があるなら、本来確認すべきなのは子どもの具体的な発達や行動です。出産年齢だけを根拠に子どもの発達障害を推測することは、適切な発達評価の代わりにはなりません。
実際に気になる点を指摘された場合も、「高齢出産だからですか」と議論するより、「どの行動が、いつ、どの程度、同年代と比べて気になるのか」「専門職への相談を勧めるほどなのか」を具体的に確認するほうが建設的です。
もし保育園内で保護者に聞こえる形で出産年齢を揶揄したり、医学的根拠なく発達障害と決めつけるような発言が繰り返されているのであれば、発達相談とは別の問題として、日時・状況・発言内容を記録したうえで担任だけでなく主任や園長などへ事実確認を求める方法もあります。
「健診に引っかからないこと」をゴールにしなくていい
子育てをしていると「健診で引っかかる」という表現を耳にしますが、健診は合格・不合格を決める試験ではありません。何か気になる点が見つかり再確認や相談を勧められることは、子どもに悪い評価が付くという意味ではありません。
むしろ困りごとがある場合、早い段階で相談できれば、食事、言葉、遊び方、集団生活などについて家庭でできる工夫を教えてもらえることがあります。診断の有無にかかわらず利用できる支援もあります。
「発達障害ではないことを証明しなければ」と考えるより、「この子が今困っていることはあるか」「困っているなら何をすると楽になるか」という視点で健診を利用するほうが、子どもにも保護者にも役立ちます。
具体例:1歳半健診では問題なし、2歳で食事と癇癪が気になる場合
例えば1歳半健診では発語や歩行などに特に指摘がなかったものの、2歳になっても幼児食がなかなか進まず、思いどおりにならないと強く怒ることが増えたとします。
この情報だけで発達障害とは判断できません。まず食事については、食べられる硬さや種類、咀嚼・嚥下、成長曲線を確認します。怒ることについては、どんな状況で起きるのか、言葉で要求を伝えられるか、落ち着いた後には普段どおりやり取りできるかなどを見ていきます。
発語が増え、人とのやり取りや遊びも少しずつ発達しているのであれば経過を見る場合もあります。一方、保護者が強く心配なら、3歳児健診を待たず自治体の保健師やかかりつけ小児科へ相談して構いません。
具体例:3歳ごろから集団生活で困りごとが見えてきた場合
家庭では特に困らなかった子どもでも、3歳ごろから集団生活の要求が増えることで特徴が見えてくることがあります。
例えば一対一では会話できても集団指示になると理解しにくい、予定変更への対応が非常に難しい、同年代との遊び方に大きな困りごとがあるなどです。このような場合は3歳児健診や発達相談で、園からの具体的な情報も伝えると評価の参考になります。
それでも「母親が何歳で産んだか」が診断を決めるわけではありません。現在の子どもの発達と生活上の困りごとを中心に考えます。
具体例:5歳になって初めて困りごとが目立つ場合
言葉や運動の発達は順調でも、年中・年長ごろになって初めて、集団ルール、友達との関係、注意の持続、感情の切り替えなどに困難が目立つ子どももいます。
このため5歳児健診の整備が進められています。就学前に発達や生活上の課題を確認し、必要な支援へつなげることには意味があります。[参照:こども家庭庁「乳幼児健診に関する取組み」]
逆に言えば、5歳になって初めて相談することになったからといって、それまで保護者が何かを見落としていたということでもありません。年齢が上がらないと見えにくい特性があります。
発達が不安なときにメモしておくと役立つこと
健診や小児科で「発達が心配です」とだけ伝えるより、日常の具体例をメモして持参すると相談しやすくなります。
- 現在使っている言葉や会話の例
- 指差しやジェスチャーを使うか
- 名前を呼んだときの反応
- 好きな遊びと遊び方
- 家族とのやり取り
- 保育園での集団生活の様子
- 食べられるもの・苦手な食感
- 怒りや癇癪が起こりやすい状況
- 睡眠の状態
- 数か月前と比べて新しくできるようになったこと
特に「できないこと」だけでなく「できるようになったこと」も記録するのがポイントです。発達は一時点の点数ではなく、時間とともにどう変化しているかを見ることが重要だからです。
発達相談は診断を付けるためだけの場所ではない
「相談したら発達障害と診断されてしまうのでは」と心配して相談をためらう人もいます。しかし発達相談の目的は診断だけではありません。
例えば食事の進め方、癇癪への対応、言葉を促す関わり、集団生活で分かりやすい伝え方など、現在困っていることへの具体的な助言につながる場合があります。
専門的な発達評価でも、不得意な部分だけを見るのではなく、子どもの得意な部分を把握してよりよい対応を考えることが重要です。国立成育医療研究センターの発達評価支援室でも、不得意面だけに着目せず、得意な部分を大切にしながら対応を考える方針が示されています。[参照:国立成育医療研究センター「発達評価支援室」]
まとめ:高齢出産だけで発達障害は判断できない。1歳半・3歳・5歳と継続して発達を見る
母親や父親の年齢が高いことと自閉スペクトラム症の確率との間には、疫学研究で統計的な関連が報告されています。[参照:PubMed「Parental age and autism meta-analysis」] しかし、その関連から個々の子どもについて「母親が35歳以上で出産したから発達障害だ」と判断することはできません。
また、幼児食への移行が遅い、食べない、自我が強い、怒りやすいといった一つの特徴だけでも発達障害とは判断できません。年齢相応に見られる行動との重なりも大きく、言葉、コミュニケーション、社会性、運動、感覚、生活全体と発達の経過を見ていく必要があります。
「何歳の健診で引っかかりやすいか」というより、1歳6か月児健診では幼児初期の発達、3歳児健診ではより発達した言葉や生活・社会性、5歳児健診では就学前の集団生活を含む発達を見る、と考えるのが分かりやすいでしょう。5歳児健診については全国的な実施体制の整備が進められていますが、地域差があるため市区町村への確認が必要です。[参照:こども家庭庁「乳幼児健診に関する取組み」]
1歳半健診で問題を指摘されなかったことは、その時点での発達を考えるうえで一つの安心材料です。ただし発達はその後も続き、成長して初めて分かる特徴もあります。反対に、次の健診で何か相談を勧められたとしても、それだけで発達障害が確定するわけではありません。
そして、現在すでに保護者が強い不安を抱えている場合は、次の健診まで待つ必要もありません。かかりつけの小児科、市区町村の保健師・母子保健担当、発達相談などへ「食事」「言葉」「癇癪」「園で指摘された具体的な行動」を整理して相談できます。出産時の母親の年齢ではなく、目の前の子どもが今どのように育ち、何に困っているのかを具体的に見ていくことが、発達を考えるうえで最も大切です。


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