慢性副鼻腔炎で嗅覚が日によって変わるのはなぜ?においを感じる時・感じない時がある原因を解説

花粉症、アレルギー

慢性副鼻腔炎(慢性鼻副鼻腔炎)では、鼻づまりや鼻水だけでなく、においが分かりにくくなる嗅覚障害が起こることがあります。また、嗅覚が完全に一定ではなく、ある日は比較的においが分かるのに、別の日にはほとんど分からないという変化を感じるケースもあります。

こうした変化には、鼻の奥にある嗅裂周辺の腫れや鼻汁、炎症の程度など複数の要素が関係します。慢性副鼻腔炎による嗅覚障害は、単に鼻が詰まってにおいが届かないだけでなく、嗅覚を担当する粘膜そのものへの炎症も関係すると考えられています。

この記事では、慢性副鼻腔炎で嗅覚が変動する仕組み、治療中でも調子の良い日と悪い日が生じる理由、受診時に医師へ伝えておきたいポイントについて整理します。

慢性副鼻腔炎では嗅覚障害が起こることがある

慢性副鼻腔炎は鼻腔や副鼻腔に慢性的な炎症が続く病気で、嗅覚の低下・消失は代表的な症状の一つです。研究でも慢性副鼻腔炎と嗅覚障害には強い関連があることが知られています。[参照]

においを感じるためには、吸い込んだ空気に含まれるにおい分子が鼻の奥にある嗅粘膜へ到達し、そこで生じた信号が脳へ伝わる必要があります。副鼻腔炎によって鼻粘膜が腫れたり鼻汁が増えたりすると、におい分子が嗅覚に関係する場所まで届きにくくなります。

さらに現在では、慢性副鼻腔炎の嗅覚障害は空気の通り道が狭くなることだけでは説明できないと考えられています。慢性的な炎症が嗅上皮などに影響し、嗅覚機能そのものを低下させる可能性も指摘されています。[参照]

においの感じ方が日によって変わることはある

慢性副鼻腔炎に伴う嗅覚障害では、嗅覚の程度が変動することがあります。実際、慢性副鼻腔炎における嗅覚障害について扱った医学文献でも、変動する嗅覚障害が臨床的にみられることが述べられています。[参照]

例えば「昨日はコーヒーの香りが分かったのに今日はかなり弱い」「朝はほとんど分からなかったが、午後になると少し分かる」といった変化が起こる可能性があります。

そのため、ある日ににおいを感じられたからといって慢性副鼻腔炎が完全に治ったとは限らず、逆に一時的に嗅覚が低下したからといって、それだけで嗅覚機能が不可逆的に悪化したとも判断できません。症状の推移と鼻内の状態をあわせて評価することが重要です。

なぜ嗅覚が良い日と悪い日があるのか

理由の一つとして考えられるのが、嗅裂周辺の空気の通り方の変化です。嗅裂は鼻腔上部にある狭い領域で、ここへにおい分子が届くことが嗅覚には重要です。

慢性副鼻腔炎では粘膜浮腫、鼻茸、粘液などによって嗅裂への空気の流れが妨げられる場合があります。炎症や粘膜の腫れが比較的軽いときにはにおいを感じやすくなり、腫れや鼻汁が増えれば感じにくくなる、という変化が起こり得ます。[参照]

また、慢性副鼻腔炎による嗅覚障害には炎症そのものも関係します。特に鼻茸を伴う慢性副鼻腔炎などでは嗅覚障害が強く現れることがあり、炎症の状態と嗅覚機能には関連があることが報告されています。

「鼻が通っているのににおわない」こともある

嗅覚障害というと、鼻づまりによってにおいが届かない状態だけを想像しがちです。しかし慢性副鼻腔炎の場合、鼻の通り具合と嗅覚が必ずしも一致するとは限りません。

鼻の通りが比較的良いのににおいが分かりにくい場合には、嗅覚に関係する粘膜の炎症などが影響している可能性があります。慢性副鼻腔炎による嗅覚障害は、空気の流れによる伝導性の問題と、炎症による嗅覚系への影響が組み合わさって生じると考えられています。

反対に、鼻の腫れが改善して嗅裂へ空気が届きやすくなれば、一時的または継続的に嗅覚が改善することもあります。この複数の要因が存在することが、症状の変化を理解するうえで重要なポイントです。

治療中でも嗅覚が変動する場合がある

慢性副鼻腔炎の治療によって炎症や鼻粘膜の腫れが改善すると、嗅覚も改善する場合があります。一方で、治療による嗅覚改善が必ずしも一定ではなく、改善が一時的だったり不完全だったりするケースも報告されています。[参照]

したがって治療中に「前よりにおうようになった」「また分かりにくくなった」という変化があっても、自己判断で薬を増減・中止するのは避けたほうがよいでしょう。薬にはそれぞれ目的があり、病型や鼻内の状態によって適切な治療も異なります。

特に長期間治療している場合には、嗅覚だけでなく、鼻づまり、鼻水、後鼻漏などがどのように変化しているかも一緒に記録しておくと診察時の参考になります。

嗅覚の変化は記録しておくと医師に伝えやすい

嗅覚は自分の感覚で評価することが多いため、「最近悪い気がする」だけでは変化を正確に説明しにくいことがあります。そこで、毎日または数日おきに同じにおいを確認して記録しておく方法があります。

例えばコーヒー、せっけんなど身近にある同じ物を利用し、「普通に分かる」「弱いが分かる」「ほとんど分からない」など簡単な段階で記録します。同時に鼻づまりや鼻水の程度も書いておけば、嗅覚と鼻症状が連動しているか確認しやすくなります。ただし、刺激の強い薬品などを嗅覚確認に使用するのは避けてください。

医学的には自己評価だけで実際の嗅覚機能を正確に把握できないこともあるため、必要に応じて医療機関で嗅覚検査などを行うことがあります。長期間症状が続いている場合には、こうした客観的評価について耳鼻咽喉科で相談するのも一つの方法です。[参照]

急な嗅覚低下やいつもと違う変化には注意

嗅覚障害の原因は慢性副鼻腔炎だけではありません。感染症などをきっかけに嗅覚が低下することもあるため、すでに副鼻腔炎と診断されている人でも、すべての嗅覚変化を副鼻腔炎によるものと決めつけないことが大切です。

特に、これまでとは明らかに違う急激な嗅覚低下、治療を続けているのに症状が大きく悪化した場合、新しい症状を伴う場合などは、次回の定期受診を待つべきかも含めて耳鼻咽喉科へ相談すると安心です。

また嗅覚低下中は、ガス臭、煙、食品の腐敗などに気づきにくくなる可能性があります。火災警報器など嗅覚以外でも危険を察知できる環境を整え、食品の状態をにおいだけで判断しないことも重要です。

まとめ:慢性副鼻腔炎の嗅覚障害は一定とは限らない

慢性副鼻腔炎による嗅覚障害では、においを比較的感じやすい時期と、感じにくい時期が生じることがあります。背景には嗅裂周辺の粘膜の腫れ、鼻汁や鼻茸による空気の通り方、慢性的な炎症による嗅覚系への影響など、複数の要因が関係しています。

そのため「今日はにおう」「今日は分かりにくい」という一日の状態だけで治療効果や病状を判断するのではなく、ある程度の期間を通して変化を見ることが大切です。

すでに耳鼻咽喉科で治療を受けている場合は、嗅覚の良い日・悪い日、鼻づまりなどの症状、薬を使用した時期などを簡単に記録して担当医へ伝えると、今後の状態を評価する材料になります。この記事は一般的な医学情報をまとめたものであり、個別の診断や薬の変更については担当の耳鼻咽喉科医に確認してください。

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