血便が続くのに便潜血検査は陰性…大腸カメラは必要?検診と症状がある場合の違いを解説

病院、検査

血便があるのに便潜血検査では「陰性」と判定されると、「検査が陰性なら大腸の病気ではないのだろう」と考えたくなるかもしれません。しかし、目で確認できる血便が繰り返されている場合、便潜血検査が陰性だったことだけを理由に大腸の病気を否定することはできません。

そもそも便潜血検査は、症状のない人から大腸がんなどの可能性がある人を見つける「検診」で主に使われる検査です。すでに血便などの症状がある場合は考え方が異なり、症状の原因を調べるための診察や検査について医療機関で相談する必要があります。

この記事では、血便があるのに便潜血検査が陰性になる理由、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を検討する場面、血便の主な原因、受診する診療科、費用面で人間ドックが難しい場合の考え方まで整理します。

血便があるのに便潜血検査が陰性になることはある

「便潜血検査が陰性=大腸がんや大腸の病気が絶対にない」という意味ではありません。便潜血検査は便に含まれる微量の血液を検出する検査ですが、病変から常に出血しているとは限らないからです。

厚生労働省の大腸がん検診に関する資料でも、大腸がんでは出血する日としない日があることがあり、便潜血検査が陰性になったとしても大腸がんではないことの保証にはならない旨が説明されています。

例えば大腸内の病変から月曜日には少量出血していても、火曜日には出血していなかったとします。火曜日の便を検査すれば、病変そのものが存在していても陰性になる可能性があります。つまり便潜血検査は非常に有用な検査ではありますが、万能な検査ではありません。

便潜血検査は「症状がない人の検診」と「症状がある人の診断」で意味が違う

ここは特に重要です。一般的な大腸がん検診では、40歳以上を対象として便潜血検査が利用されています。厚生労働省の情報でも、40歳以上では定期的な大腸がん検診が案内されています。

一方、すでに血便、肛門からの出血、便通の変化、腹痛などの気になる症状がある人は、「症状のない人を対象とする検診」とは状況が異なります。厚生労働省の資料でも、肛門からの出血など気になる症状がある場合には、検診として便潜血検査を受けるのではなく医療機関を受診する考え方が示されています。

「便潜血検査が陰性だったから様子を見る」という判断と、「血便という症状の原因を診断する」という判断は分けて考える必要があります。

血便が繰り返される場合は消化器内科・肛門科などで相談する

一度だけ少量の血が付いた場合と、数週間・数カ月あるいは数年にわたって血便を繰り返している場合では状況が異なります。特に出血の頻度が増えている場合には、改めて医療機関で評価してもらうことが重要です。

受診先としては、消化器内科、胃腸内科、大腸・肛門を専門とする診療科などが候補になります。大腸内視鏡検査を実施している医療機関なら、症状を説明したうえで内視鏡が必要かどうか相談できます。

その際は「血便があります」とだけ伝えるより、「いつから」「月に何回程度」「最近増えたか」「便に混ざっているか、表面に付いているか」「トイレットペーパーだけに付くか」「血の色」「腹痛や便通の変化の有無」まで伝えると診察の参考になります。

血便の原因は大腸がんだけではない

血便を見ると大腸がんを心配する人は少なくありませんが、血便にはさまざまな原因があります。代表的なものには痔核(いぼ痔)、裂肛(切れ痔)、大腸ポリープ、炎症性腸疾患、大腸憩室からの出血、感染性腸炎、大腸がんなどがあります。

例えば排便時に鮮やかな赤い血がトイレットペーパーに付着する場合には、痔や裂肛など肛門付近からの出血も考えられます。しかし、血の見た目だけで「痔だから大丈夫」と自己判断することはできません。

痔がある人に別の大腸疾患が存在する可能性もあります。長期間続く、頻度が増える、出血量が多くなるなどの変化があれば、原因を確認しておく意味があります。

40代以降は大腸がん検診の対象年齢でもある

日本では大腸がん検診は40歳以上が対象とされています。したがって40代になったら、症状の有無とは別に大腸の健康について意識しておきたい年代です。

ただし「40歳になったら全員が大腸カメラを受けなければならない」という意味ではありません。無症状の一般的な検診では、まず便潜血検査が用いられています。

一方で血便などの症状がすでにある場合は、年齢だけではなく症状を含めて医師が判断します。日本消化器病学会の一般向け情報でも、血便や便が細い、腹痛などの症状がある場合には大腸内視鏡検査が行われることがあると説明されています。

大腸カメラで分かること

大腸内視鏡検査は、肛門から内視鏡を挿入して大腸内部を直接観察する検査です。便潜血検査とは異なり、大腸粘膜を直接確認できる点が大きな特徴です。

検査では大腸がんだけでなく、大腸ポリープ、炎症、出血している病変などが確認できることがあります。必要に応じて組織を採取して病理検査を行ったり、条件を満たすポリープを内視鏡的に切除したりする場合もあります。

一方、大腸カメラにも前処置が必要で、出血や穿孔などの偶発症の可能性があります。そのため「心配だから全員とりあえず受ければよい」というものではなく、症状や年齢、既往歴、家族歴などを踏まえて医師と相談することが大切です。

「医師から勧められなかった=今後も検査不要」とは限らない

以前の診察で大腸内視鏡を勧められなかったとしても、その判断が永久に有効というわけではありません。診療時点の症状、年齢、診察所見などによって判断は変わります。

例えば5年前には出血が少なかったものの、現在は出血の頻度が明らかに増えているという場合、5年前と現在では医師に伝えるべき情報が違います。

以前受診したことがあっても、症状が継続している、悪化している、頻度や出血量が変化した場合には、現在の状態について改めて診察を受けることが重要です。

大腸カメラを希望していることを医師へ伝えてもよい

患者側から「血便が続いていて心配なので、大腸内視鏡が必要か相談したい」と伝えることに問題はありません。検査をするかどうかは診察後に医師が医学的必要性を踏まえて判断します。

特に過去の受診で十分に納得できなかった場合には、大腸内視鏡を実施している消化器内科などで改めて相談する方法もあります。

医師に相談するときは「がんが怖いので検査してください」だけではなく、「○年間血便が続いている」「最近は週○回程度」「以前より頻度が増えた」「便潜血検査は○回陰性だった」など時系列で伝えると状況を把握してもらいやすくなります。

人間ドックに行けなくても医療機関へ相談できる

血便などの症状がある場合、「高額な人間ドックを受けなければ詳しく調べられない」と考える必要はありません。人間ドックは基本的に症状のない人が健康状態をチェックする目的で利用するものです。

すでに血便という症状がある場合は、通常の医療機関を受診して原因について診察を受けることができます。検査の医学的必要性が認められれば、診療の一環として必要な検査が検討されます。

費用が心配な場合には、予約時に「血便が続いているので診察を受けたい」「大腸内視鏡が必要になった場合のおおよその自己負担額を知りたい」と医療機関へ確認しておく方法もあります。

受診前にメモしておくとよい情報

血便は診察時には出ていないことも多いため、日頃の状態を記録しておくと役立ちます。

  • 血便が始まった時期
  • 出血する頻度
  • 最近頻度が増えたか
  • 鮮血か暗い赤色か、黒っぽい便か
  • 血が便に混ざるか、表面に付くか
  • トイレットペーパーだけに付くか
  • 排便時の痛みの有無
  • 便秘・下痢・便が細くなるなどの変化
  • 腹痛の有無
  • 意図しない体重減少の有無
  • これまで受けた便潜血検査の時期と結果
  • 大腸ポリープ・大腸がんなどの家族歴

こうした情報があると、医師が必要な検査を判断する材料になります。

出血量が多い場合などは早めの受診が必要

血便がある場合でも緊急度は症状によって異なります。少量の血が付着する状態と、大量の出血が続いている状態を同じように考えることはできません。

大量の出血、ふらつき・失神、冷や汗、動悸、強い腹痛、著しい体調不良などを伴う場合は、通常の予約日まで待たず速やかに医療機関へ相談してください。黒いタール状の便が出る場合も消化管出血の可能性があるため、医療機関への相談が必要です。

出血が少量でも繰り返している場合には放置せず、消化器内科などで原因を確認することが大切です。

便潜血検査と大腸カメラは役割が違う

項目 便潜血検査 大腸内視鏡検査
主な役割 便中の微量な血液を調べる 大腸内部を直接観察する
一般的な検診 大腸がん検診で利用される 必要に応じて精密検査などで実施
病変の直接確認 できない できる
陰性なら病気を完全否定できるか できない 病変を直接確認できるが検査にも限界はある
前処置 基本的に不要 腸管洗浄などが必要

両者は競合する検査ではなく、目的が異なります。特に「健康な人が大腸がん検診を受ける場合」と「血便の原因を調べる場合」を混同しないことがポイントです。

まとめ:血便が続く場合は便潜血陰性だけで安心せず、改めて医療機関へ相談を

便潜血検査は大腸がん検診として有用ですが、陰性だからといって大腸がんを含むすべての大腸疾患を完全に否定できる検査ではありません。また、目で確認できる血便が続いている場合は、そもそも無症状者を対象とする検診とは別に考える必要があります。

血便が長期間続いている、以前より頻度が増えている、出血量が増えている場合には、過去の便潜血検査が陰性でも、消化器内科などを受診して大腸内視鏡を含めた検査が必要か改めて相談するのが適切です。

また、症状がある場合は必ずしも人間ドックを利用する必要はありません。通常の医療機関で症状を伝えて診察を受けることができます。過去に一度「内視鏡は不要」と言われていても、その後症状が継続・変化しているなら現在の状態を基準に再評価してもらいましょう。

参考情報として、厚生労働省の大腸がん検診に関する情報や、日本消化器病学会の一般向け情報でも、大腸がん検診と大腸内視鏡検査について確認できます。[参照:厚生労働省 大腸がん検診に関する資料] [参照:日本消化器病学会 大腸ポリープと内視鏡検査]

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