双極性障害Ⅱ型と強迫性障害が併存すると生活は難しい?症状の特徴・治療で注意したいポイントを解説

うつ病

双極性障害Ⅱ型と強迫性障害(強迫症)は、それぞれ日常生活に影響を与えることがある精神疾患です。両方が併存している場合、気分の波に加えて強迫観念や強迫行為が重なるため、仕事・学校・家事・人間関係などへの負担が大きくなるケースがあります。一方で、2つの病気があるからといって、必ず日常生活が送れなくなるわけではありません。症状の程度や時期、治療への反応、周囲から得られる支援などによって生活への影響は大きく異なります。

また、双極性障害と強迫性障害が併存する場合には治療上の注意点があります。特に強迫性障害だけを想定した薬物治療が双極性障害の気分状態に影響する可能性があるため、自己判断で薬を変更するのではなく、両方の症状を把握した精神科・心療内科の医師と治療方針を検討することが重要です。

双極性障害Ⅱ型と強迫性障害はどのような病気?

双極性障害Ⅱ型は、うつ状態だけが続く病気ではなく、うつ病エピソードと軽躁病エピソードを繰り返すことが特徴です。軽躁状態では気分が高揚したり活動性が高くなったり、睡眠時間が短くても活動できたりすることがあります。本人にとって調子が良い時期のように感じられる場合もあるため、うつ状態だけが目立つケースでは診断まで時間がかかることもあります。

一方の強迫性障害は、自分でも過剰だと感じながら頭から離れない考えである「強迫観念」や、その不安を軽減するために繰り返してしまう「強迫行為」などが現れる病気です。例えば、戸締まりを何度確認しても不安になって再び確認する、汚染への強い不安から何度も手を洗う、といった症状があります。

どちらも症状の現れ方には大きな個人差があります。そのため、診断名だけを見て「重い」「軽い」と判断することはできません。

2つが併存すると「かなりしんどい」とは限らないが負担は増えることがある

双極性障害と強迫性障害が併存するケースは医学的にも知られています。双極性障害の診療ガイドラインでも、強迫性障害を含む精神疾患の併存について評価し、それぞれの症状を区別しながら治療することの重要性が指摘されています。

併存している場合に問題となりやすいのは、気分症状と強迫症状が互いに生活上の負担を増やす可能性です。例えば、うつ状態で家事をするだけでも大変な時期に、確認行為に長時間を費やすようになると、さらに日常生活を維持しにくくなることがあります。

研究や診療ガイドラインでは、双極性障害と強迫性障害の併存が、より低い生活機能などと関連することが報告されています。ただし、これは「併存している人は普通の生活ができない」という意味ではありません。集団として認められる傾向と、一人ひとりの状態は分けて考える必要があります。[参照]

日常生活への影響は人によって大きく違う

実際の生活への影響を考えるときは、病名の数よりも現在どの程度の症状があるのかを見ることが重要です。症状が安定している時期には、仕事や学校、家事、趣味などを続けられる人もいます。一方、うつ状態や強迫症状が強くなっている時期には、一時的に活動量を減らしたり休養したりする必要が生じることがあります。

例えば「確認行為はあるものの短時間で終えられ、気分も安定している」という状態と、「強いうつ状態があり、さらに確認行為だけで毎日数時間かかる」という状態では、同じ診断名でも生活への影響はまったく異なります。

そのため、周囲の人が診断名だけから本人の能力や将来を決めつけることは適切ではありません。本人自身について考える場合にも、「この病気だから普通の生活は無理」と結論付けるのではなく、現在困っている具体的な症状を医療者と整理することが大切です。

併存している場合は治療方法に注意が必要

双極性障害と強迫性障害の併存で特に重要なのが治療方法です。強迫性障害ではSSRIなどの薬が使用されることがありますが、双極性障害がある人では、抗うつ薬によって軽躁・躁状態などの気分変化を生じる可能性があるため慎重な判断が必要です。

近年の強迫性障害の診療ガイドラインでも、双極性障害を併存する場合はまず気分の安定化を重視するという考え方が示されています。また、状態によっては認知行動療法(CBT)などの心理療法が検討される場合もあります。[参照]

日本うつ病学会による双極症の診療ガイドラインでも、双極性障害では併存疾患が多く、併存疾患の治療によって双極性障害を悪化させないよう配慮する必要性が示されています。したがって、複数の医療機関を利用する場合には、双極性障害と強迫性障害の両方について医師に伝え、処方薬についても共有することが重要です。[参照]

自己判断で薬を中断・増減しないことが大切

症状がつらいと「この薬が合っていないのでは」「薬をやめた方が良いのでは」と考えることもあります。しかし、双極性障害と強迫性障害が併存している場合は治療のバランスが重要になるため、処方薬を自己判断で突然中止したり、量を変更したりすることは避けるべきです。

受診時には、「気分が落ち込む期間」「睡眠時間が短くても元気になる期間」「確認や手洗いなどに費やす時間」「仕事・学校・家事で困っていること」などを具体的に伝えると、医師が状態を把握する材料になります。

また、薬を飲み始めてから睡眠が極端に短くなった、活動量が急に増えた、普段より強く高揚するようになったなど、明らかな変化が生じた場合には、次回予約まで待つべきかを含めて処方した医療機関へ相談するとよいでしょう。

生活を安定させるために意識したいこと

双極性障害では睡眠を含む生活リズムの安定が重要です。起床・就寝時間をできる範囲で一定にし、睡眠不足が続かないようにすることは、治療を支える生活上の工夫の一つになります。

さらに、気分と強迫症状を簡単に記録しておく方法もあります。「気分を5段階で記録する」「睡眠時間を書く」「強迫行為にかかった時間を記録する」といった簡単な方法でも、症状の変化と生活リズムとの関係を振り返りやすくなります。

生活に大きな支障がある場合は、治療だけでなく家族の協力、職場・学校での配慮、地域の相談支援などを組み合わせることも選択肢になります。すべてを一人で正常にこなすことを目標にするより、症状に合わせて生活環境を調整するという考え方も重要です。

まとめ:病名だけで日常生活が難しいかどうかは決められない

双極性障害Ⅱ型と強迫性障害が併存すると、気分の波と強迫症状が重なることで日常生活への負担が大きくなる場合があります。しかし、併存しているという事実だけで「日常生活を送るのは難しい」と判断することはできません。症状の強さ、治療への反応、現在の気分状態、生活環境などによって状況は大きく異なります。

また、この組み合わせでは強迫性障害の治療が双極性障害の気分状態に影響する可能性があるため、両方を考慮した治療計画が重要です。現在治療中の場合は自己判断で薬を変更せず、気分と強迫症状の両方について主治医へ具体的に伝えることが大切です。

症状によって仕事・学校・家事・睡眠などが維持できなくなっている場合や、急激な気分の変化がある場合には早めに医療機関へ相談してください。また、自傷や自殺について考えてしまうなど安全に関わる状態では、通常の予約日を待たず、身近な人や医療機関、地域の緊急相談窓口などに速やかに助けを求めることが重要です。

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