歯茎下がり(歯肉退縮)が気になり始めると、「歯茎を元に戻す治療はできるのか」「歯茎移植以外の方法はあるのか」と悩む方は少なくありません。近年では、PRP再生療法やエムドゲイン、リグロスなど、歯周組織の再生を目的とした治療も注目されています。
ただし、これらの治療はすべての歯茎下がりに効果があるわけではなく、歯茎が下がった原因や骨の状態、歯周病の進行度によって適した方法が変わります。この記事では、それぞれの治療の特徴や違い、どのようなケースで検討されるのかを詳しく解説します。
歯茎下がりが起こる原因と治療前に確認すべきこと
歯茎下がりは、歯周病による歯周組織の破壊、強すぎる歯磨き、歯並び、噛み合わせ、加齢などさまざまな原因で起こります。
例えば、歯ブラシを強く当てすぎて歯茎が傷ついた場合と、歯周病によって歯を支える骨が減少した場合では、必要となる治療方法が大きく異なります。
そのため、再生治療を検討する前には、歯周ポケットの深さ、歯を支える骨の状態、歯茎の厚みなどを確認することが重要です。
PRP再生療法とは?歯茎下がりへの効果と特徴
PRP(多血小板血漿)療法は、自分の血液から血小板を多く含む成分を取り出し、組織の修復や再生を促すことを目的とした治療方法です。
血小板には成長因子が含まれており、傷ついた組織の回復を助ける働きがあります。自分自身の血液を利用するため、拒絶反応のリスクが低い点も特徴です。
ただし、PRPだけで大きく下がった歯茎が元の位置まで戻るとは限りません。歯茎の厚みを増やしたり、治癒をサポートしたりする目的で利用されることが多く、症例によって効果には差があります。
エムドゲインとは?歯周組織再生を目的とした治療
エムドゲインは、歯周病によって失われた歯周組織の再生を促す目的で使用される薬剤です。主成分であるエナメルマトリックスタンパクを歯根表面に塗布し、歯周組織が再形成される環境を作ります。
特に、歯周病によって歯を支える骨が部分的に失われたケースなどで検討されます。歯周ポケットの改善や組織再生が期待される治療です。
一方で、歯茎の見た目を改善する目的の歯茎下がりすべてに適応できるわけではありません。歯周組織の欠損状態によって向き不向きがあります。
リグロスとは?日本で使用される歯周組織再生療法
リグロスは、日本で承認されている歯周組織再生用の薬剤です。主成分であるトラフェルミン(bFGF)が歯周組織の再生を促す働きをします。
エムドゲインと同じように、歯周病によって失われた組織の再生を目的として使用されます。保険適用となるケースがある点も特徴です。
ただし、リグロスも歯茎の位置を単純に引き上げる治療ではありません。歯を支える組織の再生を目的とした治療であり、歯茎下がりの原因によって効果の期待値は変わります。
PRP・エムドゲイン・リグロスの違いを比較
| 治療方法 | 主な目的 | 特徴 |
|---|---|---|
| PRP | 組織修復や治癒促進 | 自身の血液を利用し再生をサポートする |
| エムドゲイン | 歯周組織の再生 | 歯周病による組織欠損などに使用される |
| リグロス | 歯周組織の再生 | 日本で承認された再生材料 |
どの治療が一番優れているというよりも、症状に合った治療を選ぶことが大切です。例えば、歯周病で骨が失われている場合はエムドゲインやリグロスが検討されることがあります。
一方で、前歯の見た目の改善や歯茎のラインを整えることが主な目的の場合は、歯周形成外科や歯茎移植など別の治療が適している場合があります。
歯茎移植と再生治療は目的が違う
歯茎移植は、別の場所から歯肉を採取して不足している部分に移植する治療です。歯茎の厚みを増やしたり、露出した歯根を覆ったりする目的で行われます。
一方、PRPやエムドゲイン、リグロスは、失われた組織の再生を促す治療であり、必ずしも歯茎の見た目を完全に元通りにするものではありません。
例えば、歯の根元が大きく露出している場合は、再生材料だけでは十分な改善が難しく、歯周形成外科的な処置が必要になるケースもあります。
自分に合った歯茎下がり治療を選ぶポイント
治療を選ぶ際には、「歯茎を増やしたいのか」「歯周病で失われた組織を再生したいのか」「見た目を改善したいのか」を明確にすることが重要です。
また、同じ歯茎下がりでも原因によって治療結果は変わるため、歯周病専門医や歯周組織再生療法の経験がある歯科医師に相談すると安心です。
治療前には、レントゲンや歯周検査を受け、現在の状態でどこまで改善が期待できるのかを確認しましょう。
まとめ:歯茎下がりの再生治療は症状に合わせた選択が大切
PRP、エムドゲイン、リグロスはいずれも歯周組織の改善を目的とした治療ですが、それぞれ役割や適応が異なります。
歯周病による組織欠損にはエムドゲインやリグロスが検討されることがあり、治癒促進や補助的な目的ではPRPが利用される場合があります。
歯茎下がりの改善方法は、症状の程度や原因によって最適な方法が変わります。歯茎移植を避けたい場合でも、まずは専門医に状態を確認してもらい、自分に合った治療方法を選ぶことが大切です。

コメント