双極性障害では、「テンションが高い」「頭が興奮している」「気持ちが落ち着かない」といった症状が知られています。しかし実際には、“興奮しているのに妙に冷静な部分もある”“自分を客観視できている感覚がある”と表現する人も少なくありません。この感覚は本人でも説明が難しく、不安になることがあります。この記事では、双極性障害における軽躁状態や混合状態で起こり得る「興奮と冷静さが同時にある感覚」についてわかりやすく解説します。
双極性障害では感情が単純ではないことがある
双極性障害というと、「躁状態=ハイテンション」「うつ状態=落ち込み」というイメージを持たれがちですが、実際にはもっと複雑です。
特に軽躁状態では、気分が高揚して活動的になる一方で、自分の状態をある程度認識できているケースがあります。
例えば、次のような感覚を訴える人もいます。
- 頭の回転が異常に速い
- アイデアが止まらない
- 気分は高いのに冷静な自分もいる
- 「今ちょっと危ないかも」と分かっている
- 興奮しているのに妙に理屈っぽい
このように、“完全に我を失う”だけが躁状態ではありません。
軽躁状態では「客観視できる躁」があることも
双極性障害の軽躁状態では、社会生活をある程度維持できる人もいます。
そのため、「自分が少しテンション高いな」と認識しながら行動している場合もあります。
特に20代〜30代では、仕事や人間関係を維持しながら軽躁状態が続いているケースもあり、“普通に見える躁状態”になることもあります。
軽躁状態で見られる特徴
| 状態 | 特徴 |
|---|---|
| 気分高揚 | 自信が強くなる |
| 活動性増加 | 寝なくても動ける |
| 思考加速 | 考えが次々浮かぶ |
| 客観視 | 「今少し変だ」と分かることもある |
「興奮しているのに冷静な部分がある」という感覚は、必ずしも珍しいものではありません。
混合状態では“高揚”と“不安”が同時に出ることもある
双極性障害では、躁とうつが混ざる「混合状態」と呼ばれる状態になることがあります。
この時は、エネルギーは高いのに不安感や焦燥感が強く、「頭だけ暴走している感じ」「冷静なのに止まれない」と表現されることがあります。
例えば、次のような状態です。
- 頭は冴えているのに落ち着かない
- 考えすぎて眠れない
- テンションは高いが不安も強い
- 自分の異変に気づいて怖くなる
この状態は本人の負担が大きく、周囲からも理解されにくいことがあります。
「冷静だから大丈夫」とは限らない
双極性障害では、「自覚がある=軽症」とは限りません。
実際には、自分の状態を理解していても、気分や行動のコントロールが難しくなっている場合があります。
例えば、「少し使いすぎかも」と分かっていても買い物が止められなかったり、「寝たほうがいい」と思っていても活動を続けてしまうケースがあります。
特に次のような変化がある場合は注意が必要です。
- 睡眠時間が極端に減る
- お金を使いやすくなる
- 会話量が増える
- 焦りやイライラが強い
- 自信が過剰になる
「冷静さがあるから問題ない」と自己判断せず、変化を継続的に観察することが大切です。
記録を残すと状態を整理しやすい
双極性障害では、自分の状態を言葉で説明するのが難しいことがあります。
そのため、「どんな時にテンションが上がるか」「睡眠時間」「気分の変化」を簡単に記録しておくと、診察時にも役立ちます。
例えば、次のような内容を書くだけでも十分です。
- 寝た時間・起きた時間
- 気分の強さ
- 不安感の有無
- 買い物や衝動行動
- 人との会話量
こうした記録は、「ただの性格なのか」「症状変化なのか」を整理する助けになることがあります。
厚生労働省でも双極性障害を含むこころの病気について情報提供しています。[参照]
まとめ
双極性障害では、「頭や気分は興奮しているのに、どこか冷静な自分もいる」という感覚がみられることがあります。
特に軽躁状態や混合状態では、“テンションの高さ”と“客観視”が同時に存在するケースも珍しくありません。
ただし、自覚があるからといって症状が軽いとは限らず、睡眠・衝動性・不安感などを含めて全体的に状態を見ることが大切です。気になる変化が続く場合は、一人で抱え込まず、主治医と共有しながら経過を確認していきましょう。


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