解離性同一性障害で「自分が誰かわからない」と混乱することはある?解離症状と対処法を解説

メンタルヘルス

解離性同一性障害(DID)のある方の中には、突然周囲の状況が現実ではないように感じたり、自分自身や人との関係が分からなくなったりする経験をすることがあります。急に記憶が曖昧になったり、気づいたら目的地に着いていたりすると、認知症や別の病気ではないかと不安になることもあります。この記事では、解離性同一性障害で起こる混乱状態の特徴や、なぜそのような感覚が起こるのか、対処のポイントについて解説します。

解離性同一性障害で混乱することはあるのか

解離性同一性障害では、意識、記憶、自己認識、感情などが通常とは異なる形で分離することがあります。そのため、本人にとっては「突然自分が自分ではないように感じる」「ここがどこなのかわからなくなる」といった混乱が起こる場合があります。

特に解離が強く出ている時には、現在の状況とのつながりが薄くなり、自分の過去や周囲の人との関係が一時的に分からなくなることがあります。

例えば、いつも利用している場所にいるのに「ここはどこだろう」と感じたり、よく知っている人を見ても「この人は誰だったっけ」と感じたりすることがあります。これは本人の意思で起こしているものではなく、解離症状の一つとして現れることがあります。

解離による記憶の抜けと認知症の違い

解離による記憶の問題があると、「若年性アルツハイマーではないか」と心配になる方もいます。しかし、解離による記憶障害と認知症では特徴が異なる場合があります。

解離の場合は、強いストレスや過去の体験などが関係して、一時的に記憶へのアクセスが難しくなることがあります。一方、認知症では脳の機能低下によって徐々に記憶や判断力に変化が現れることが一般的です。

また、解離状態では本人が気づいていない間にも行動できることがあります。例えば、気づいたら家に帰っていた、必要な行動はできていたという経験は、解離症状で語られることがあります。

「自分は誰?ここはどこ?」という感覚が起こる理由

解離状態では、自分自身の感覚や周囲とのつながりが一時的に弱くなることがあります。これを離人感や現実感消失と呼ぶことがあります。

離人感では「自分を外から見ているような感じがする」「自分の体なのに自分のものではないように感じる」といった感覚が出ることがあります。現実感消失では「周囲が夢の中のように感じる」「景色が変わったように感じる」ことがあります。

街中で突然視界や感覚が変わったように感じ、不安や混乱が強くなる場合もあります。これは非常に怖い体験ですが、解離症状を持つ方には起こり得る反応です。

解離状態になった時にできる対処方法

解離による混乱が起きた時は、現在の自分を確認する「グラウンディング」という方法が役立つことがあります。

  • 今いる場所を声に出して確認する
  • 今日の日付や時間を確認する
  • 手で冷たい物や質感のある物に触れる
  • 目に見えるものを5つ挙げる
  • ゆっくり呼吸して身体の感覚を意識する

例えば、「私は〇年〇月〇日に自宅近くにいる」「今見えているのは駅の看板」「足は床についている」と具体的に確認することで、現在の状況へ戻りやすくなることがあります。

また、家族や信頼できる人に症状について共有しておくことも大切です。混乱した時に周囲から現在の状況を教えてもらえる環境があると安心につながります。

主治医に相談する時に伝えるとよいこと

解離性同一性障害の症状は人によって大きく異なります。そのため、主治医には具体的な状況を伝えることが治療の参考になります。

伝える内容としては、「いつ起きたか」「どのくらい続いたか」「何を感じたか」「記憶が抜けた範囲」「周囲から何と言われたか」などがあります。

例えば、「化粧品カウンターで突然混乱した」「家族を知らない人のように感じた」「その後は普通に帰宅していた」など、具体的なエピソードを記録しておくと診察時に役立ちます。

症状が強い時は一人で抱え込まないことが大切

解離による混乱状態は、経験した本人にとって非常に恐ろしく、不安になるものです。しかし、同じような症状を経験する方はおり、解離性障害の症状として説明できる場合があります。

一方で、急激な記憶の変化や意識の変化には、身体的な原因が関係することもあります。不安が強い場合や症状が変化した場合は、自己判断せず主治医に相談することが大切です。

診断を受けている場合でも、症状が変化したり新しい不安が出たりすることはあります。治療者と一緒に症状を整理し、自分に合った対処方法を見つけていくことが重要です。

まとめ

解離性同一性障害では、「自分が誰かわからない」「ここがどこかわからない」と感じるような混乱状態が起こることがあります。これは解離によって自己認識や記憶へのアクセスが一時的に変化するために起こる場合があります。

突然の混乱は非常に不安な体験ですが、解離症状の特徴として理解することで対処しやすくなることがあります。グラウンディングなどの方法を身につけ、主治医と症状を共有しながら対応していくことが大切です。

症状に不安を感じた時は一人で判断せず、医療機関と相談しながら安心できる環境を整えていきましょう。

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