発達障害があり親との関係がつらいとき、家を出て人生を立て直すには?グループホーム・仕事・自立を考える具体的な手順

発達障害

発達障害があり、家族から理解を得られないまま働き続けていると、「自分はこの先どう生きればいいのだろう」「もう大人なのに、親の言葉に振り回されている自分は弱いのではないか」と感じることがあります。しかし、自立とは、ある年齢になった瞬間に何もかも一人で決め、一人で処理できるようになることではありません。

ASDやADHDなどの発達障害がある場合、生活や仕事で必要な支援を利用しながら暮らしていくことも、自立の一つの形です。厚生労働省では、発達障害者支援センターを各都道府県・指定都市に設置し、本人や家族に対する相談支援、就労支援、情報提供などを行う仕組みを設けています。[参照:厚生労働省 発達障害者支援施策の概要]

また、家庭環境が大きなストレスになっている人にとって、障害者グループホームなどを利用して家族と適度な距離を取ることは、逃げではなく生活を安定させるための環境調整になり得ます。この記事では、親との関係に悩みながら家を出るときの考え方、グループホームでの生活、仕事、医療、そして「自分で決める力」を少しずつ取り戻す方法を整理します。

  1. 21歳で支援を使うことは「自立できていない」という意味ではない
  2. グループホームは「一人で暮らせない人の施設」ではない
  3. 家を出ることは「親を嫌いになること」と同じではない
  4. 親から離れる時期に「遅すぎる」はない
  5. 昔の言葉を思い出して震えることを「いつまでも引きずっている」と責めない
  6. 以前やめた通院を再開することも選択肢
  7. グループホームへ入った直後は「人生を決める」より生活を安定させる
  8. 最初に確認しておきたいグループホームのルール
  9. 家族への連絡範囲は自分で相談してよい
  10. 「自分で決める力」は小さな選択から身につける
  11. 迷ったときは「決めてもらう」のではなく選択肢を一緒に整理してもらう
  12. 今の非正規雇用をすぐ正社員へ変える必要はない
  13. 資格を持っていても「必ずその職種で正社員」になる必要はない
  14. 就労移行支援を一度やめても再び相談できる
  15. 就労移行支援以外の就労支援もある
  16. 発達障害者支援センターにも相談できる
  17. 障害を職場へ伝えるかどうかも一度整理する
  18. 「正規雇用=成功、非正規=失敗」と考えない
  19. 家を出てから最初に作りたい「支援チーム」
  20. 生活費は早い段階で一度見える化する
  21. 親の評価ではなく「自分がどう感じるか」を基準にする練習
  22. 親から言われた言葉をそのまま「自分の声」にしない
  23. 過去を整理することと親を許すことは別
  24. 家族の良い面を認めながら距離を取ってもよい
  25. 新生活では予定を詰め込みすぎない
  26. 半年程度の目標は小さく設定する
  27. 1年後の仕事は「今より少し良い状態」を目指す
  28. 発達障害がある人は「苦手を根性で直す」より環境を調整する
  29. 「できていること」を定期的に確認する
  30. グループホームで合わないことがあれば我慢し続けなくていい
  31. 自分の人生を決めるときのシンプルな基準
  32. つらい記憶が強い時の簡単な対処
  33. 「一人でやっていけるか」ではなく「困ったとき相談できるか」を考える
  34. まとめ:まず安全な生活基盤を作り、その上で人生を少しずつ決めていく

21歳で支援を使うことは「自立できていない」という意味ではない

成人すると、「自分のことは全部自分で決めるべき」「親に頼らず一人暮らしできて当然」と考えがちですが、現実の自立はもっと段階的です。

例えば、住む場所はグループホームの職員と相談する、仕事については就労支援機関と考える、体調については医師へ相談する、行政手続きは市役所の担当者に教えてもらう、といった形でも構いません。専門家の力を借りながら最終的な選択へ参加していくことも、十分に「自分で人生を決める」行為です。

厚生労働省の障害福祉サービスには、生活、住居、就労などを支える複数の制度があります。支援制度は「何もできない人だけが利用するもの」ではなく、必要な支援を受けながら地域で生活するために用意されています。[参照:厚生労働省 障害福祉サービスの内容]

グループホームは「一人で暮らせない人の施設」ではない

障害者グループホームの正式な障害福祉サービス名は「共同生活援助」です。地域の住居で共同生活をしながら、相談や日常生活上の支援を受けられる仕組みです。

厚生労働省は共同生活援助について、障害のある人が共同生活を営む住居で、主として夜間に相談、入浴・排せつ・食事などの日常生活上の援助を受けるサービスとして位置付けています。さらに2026年には共同生活援助の運営や支援に関するガイドラインも公表されています。[参照:厚生労働省 共同生活援助]

つまりグループホームは、最終目的地である必要もありません。生活リズム、お金の管理、食事、通院、仕事などを整えながら、将来的に一人暮らしを目指すための段階として利用する人もいます。

家を出ることは「親を嫌いになること」と同じではない

親から傷つく言葉を受けていても、「育ててもらった」「楽しい思い出もある」と感じることがあります。一方で、同じ親の言葉を思い出すだけで苦しくなることもあります。

この二つの感情は両立します。「感謝しているから傷ついてはいけない」「良い思い出があるから距離を取ってはいけない」ということではありません。

親を全面的に嫌いになる必要も、全面的に許す必要もありません。「好きな部分もあるが、一緒に暮らすと自分の調子が崩れるので距離を取る」という判断もできます。

親から離れる時期に「遅すぎる」はない

「もっと早く家を出ればよかった」と考えることがありますが、当時の自分には経済力、制度の知識、相談先、心理的な準備などが足りなかった可能性があります。

今になって市役所へ相談し、住居の選択肢が見つかり、家を出る準備ができたのであれば、それが現時点で取れる現実的なタイミングだったとも考えられます。

過去の自分へ「なぜできなかった」と問い続けるより、「今は何が使えるか」に目を向けるほうが、これからの生活を組み立てやすくなります。

昔の言葉を思い出して震えることを「いつまでも引きずっている」と責めない

過去の非常に怖い出来事や強いストレスを経験したあと、何年も経ってから突然その場面を思い出したり、身体が緊張したりすることがあります。

国立精神・神経医療研究センターは、強い恐怖やショックを経験したあと、その記憶が本人の意思とは関係なく浮かぶことや、強い不安・緊張が起こることがあると説明しています。こうした症状のすべてがPTSDという意味ではありませんが、過去の出来事が現在の身体反応へ影響すること自体はあり得ます。[参照:国立精神・神経医療研究センター PTSD]

特に、仕事中に過去の言葉を思い出して震える、家にいるだけで怖くなるなど生活への影響が出ているなら、「気にしすぎ」と片付けず、精神科や心療内科などへ相談する価値があります。

以前やめた通院を再開することも選択肢

家族との出来事をきっかけに心療内科への通院をやめた場合でも、再び医療へつながることはできます。

以前のクリニックへ戻るのが心理的に難しければ、別の精神科・心療内科へ相談する方法もあります。その際には、過去にASD・ADHDと診断されたこと、以前服薬していた薬、現在仕事中に過去の記憶を思い出して震えること、家を出る予定であることなどを伝えます。

医療と福祉を同時に利用しても問題ありません。グループホーム、市役所、相談支援、医療機関などがそれぞれ違う役割で生活を支える形も一般的です。

グループホームへ入った直後は「人生を決める」より生活を安定させる

家を出た直後に、「正社員になる」「貯金する」「一人暮らしする」「将来を決める」と一気に進めようとすると疲れてしまうことがあります。

まずは起床、食事、仕事、帰宅、入浴、就寝といった基本的な生活リズムを安定させることを優先して構いません。

例えば最初の1~3カ月は「週5日4時間の仕事を続けながら新しい住環境に慣れる」だけを目標にする方法もあります。環境が大きく変化する時期は、それだけで負担が増えるためです。

最初に確認しておきたいグループホームのルール

入居前には、生活上のルールや支援内容を具体的に確認しておくと安心できます。

確認項目 具体的に聞きたいこと
職員体制 夜間に職員がいるか、困ったとき誰へ連絡するか
食事 提供されるか、自炊か、欠食時の扱い
お金 家賃・食費・光熱費はいくらか
通院 通院への相談や付き添いが可能か
門限 帰宅時間や外泊のルール
家族との連絡 本人の同意なく家族へ情報共有されることがあるか
相談 個別面談の頻度、体調悪化時の対応

発達障害がある人の場合、曖昧な説明より、具体的なルールを事前に確認しておくほうが安心できることがあります。

家族への連絡範囲は自分で相談してよい

家を出た後も、家族から電話やメッセージが頻繁に来たり、生活について細かく干渉されたりすると、心理的には以前の環境が続いてしまうことがあります。

必要ならグループホームの支援員や相談支援専門員に、「家族との連絡頻度をどうしたらよいか」「家族から問い合わせがあった場合、どこまで情報を伝えるのか」を相談しましょう。

連絡を完全に断つか毎日連絡するかの二択ではありません。「週1回だけ電話する」「連絡はメッセージ中心にする」「体調が悪い日は返事をしない」など、自分に合う距離を作ることができます。

「自分で決める力」は小さな選択から身につける

長い間、親の反応を強く気にして生活していると、突然「好きに決めていい」と言われても何を選べばいいか分からないことがあります。

そこで、最初から人生の大きな決断をする必要はありません。「今日の夕食を何にするか」「休日にどこへ行くか」「服をどれにするか」といった小さなことから自分で決めます。

そして、選んだ結果が100点でなくても「失敗したから自分には判断力がない」と考えず、「次は別の選択をすればいい」と捉えます。自分で決める力は、正解を当て続ける能力ではなく、選択して結果を確認し、必要なら修正する力です。

迷ったときは「決めてもらう」のではなく選択肢を一緒に整理してもらう

支援員へ相談するときも、「どっちにすればいいですか」と丸ごと決めてもらうのではなく、「メリットとデメリットを一緒に整理してほしい」と頼む方法があります。

例えば正規雇用へ移るか迷っているなら、「収入」「勤務時間」「疲労」「通院」「仕事内容」「職場の配慮」などを書き出します。

支援者から情報をもらったうえで最後の選択を自分で行う経験を重ねると、少しずつ自己決定への自信を持ちやすくなります。

今の非正規雇用をすぐ正社員へ変える必要はない

21歳で非正規雇用だと「このままではいけない」と焦ることがあります。しかし、現在の勤務が安定して続いているなら、それ自体が重要な実績です。

例えば週5日・1日4時間なら週20時間程度の勤務になります。まず現在の勤務を安定して続け、生活環境が落ち着いた後で時間を延ばすか、別の職場を探すか、正規雇用を目指すか考えても遅くありません。

発達障害がある人にとっては、勤務時間を急激に増やすより、自分がどの程度の負荷なら長く続けられるか把握することが大切です。

資格を持っていても「必ずその職種で正社員」になる必要はない

短大で資格を取ったからといって、その資格を使ってフルタイムの正規雇用を続けなければならないわけではありません。

保育補助として経験を積む、短時間勤務を続ける、別の施設へ移る、障害者雇用を検討する、まったく別の職種へ移るなど複数の道があります。

資格は「この仕事しかできない」という制約ではなく、将来使える選択肢の一つと考えることができます。

就労移行支援を一度やめても再び相談できる

就労移行支援は、一般企業への就職を希望する障害者に対して、就労に必要な知識や能力の向上、求職活動、職場開拓、就職後の相談などを支援する障害福祉サービスです。[参照:厚生労働省 障害福祉サービスの内容]

以前3カ月利用してやめたとしても、「もう二度と支援を受けてはいけない」ということではありません。現在の就労状況や今後の希望によって、再度利用できるか自治体や相談支援事業所へ相談できます。

ただし現在すでに働いている場合など、個別の状況によって利用条件や適したサービスが異なるため、市役所や支援機関で確認することが必要です。

就労移行支援以外の就労支援もある

障害のある人の働き方を支援する制度は、就労移行支援だけではありません。厚生労働省では、就労継続支援A型・B型、就労定着支援など複数の就労系障害福祉サービスを設けています。[参照:厚生労働省 障害者の就労支援対策の状況]

また、2025年10月からは、自分に適した働き方や就労先を考えるための「就労選択支援」も開始されています。2026年現在、厚生労働省が実施マニュアルや事例集を公開しています。[参照:厚生労働省 就労選択支援]

どのサービスが合うか分からない場合には、自分だけで決めず、市役所、相談支援専門員、発達障害者支援センターなどへ相談できます。

発達障害者支援センターにも相談できる

発達障害者支援センターは、各都道府県・指定都市に設置され、発達障害のある本人や家族への相談支援、就労支援、情報提供などを行っています。

厚生労働省は、発達障害者支援センターが本人や家族への相談だけでなく、自治体、事業所、医療機関などとの連携にも関わることを示しています。[参照:厚生労働省 発達障害者支援施策の概要]

「保育の仕事を続けるか迷っている」「家族との関係で支援利用が難しくなった」「自分に合う仕事を知りたい」といった相談でも構いません。

障害を職場へ伝えるかどうかも一度整理する

現在の職場で発達障害を伝えていない場合でも、必ず開示しなければならないわけではありません。一方、困りごとが大きければ、必要な範囲で伝えて配慮を相談することも考えられます。

例えば「口頭だけの指示だと混乱するのでメモでもらいたい」「一度に複数の仕事を指示されると難しいので優先順位を確認したい」「休憩時間を一定にしたい」など、診断名そのものではなく具体的な困りごとから相談する方法があります。

障害者雇用を将来的に利用するかどうかについても、今すぐ結論を出す必要はありません。

「正規雇用=成功、非正規=失敗」と考えない

働き方を考えるときには、雇用形態だけでなく「継続できるか」という視点が重要です。

フルタイム正社員になって数カ月で限界になるより、短時間勤務でも数年間安定して働き、自分の得意・不得意を把握することが次の選択につながる場合があります。

収入を増やしたいのであれば、体調と生活が安定した後に、週20時間から25時間、30時間へ少しずつ増やすといった方法もあります。

家を出てから最初に作りたい「支援チーム」

家族だけに頼れない場合には、家族以外の相談先を複数持っておくことが重要です。

相談内容 相談先の例
生活 グループホーム職員
福祉制度 市区町村の障害福祉窓口・相談支援専門員
発達障害 発達障害者支援センター
心身の状態 精神科・心療内科
仕事 就労支援機関・ハローワークなど
職場での困りごと 勤務先の上司・支援担当者

一人の支援員へすべてを任せる必要はありません。「生活はこの人」「仕事はこの人」「医療はこの人」というように分けると、一人との関係がうまくいかないときにも支援が途切れにくくなります。

生活費は早い段階で一度見える化する

親元を離れるときに大きな不安になりやすいのがお金です。まず月収と固定費を書き出します。

例えば、給与、家賃・グループホーム利用料、食費、光熱費、スマートフォン代、通院費、交通費、日用品費などです。残った金額の一部を少額でも予備費にします。

最初から完璧な家計管理を目指す必要はありません。グループホームで金銭管理について相談できるなら、一緒に月ごとの予算を作ってもらう方法があります。

親の評価ではなく「自分がどう感じるか」を基準にする練習

親から長期間強く否定されていると、何かを選ぶときに「親なら何と言うだろう」が最初に浮かぶことがあります。

そんなときは、「親がどう評価するか」と「自分がどう感じるか」を別々に書き出します。

例えば「グループホームへ行くなんて甘えだと親は言うかもしれない。しかし私は家にいると震えることがあり、離れたほうが仕事を安定して続けられそうだ」と整理すると、自分側の基準を見つけやすくなります。

親から言われた言葉をそのまま「自分の声」にしない

何度も否定的な言葉を聞いていると、一人になった後も「自分は甘えている」「自分はおかしい」という言葉が頭の中に出てくることがあります。

そのときは、「これは客観的な事実なのか、それとも昔言われた言葉が頭に残っているのか」と一度区別します。

例えば「就労支援を使った=経歴に傷がついた」という考えが浮かんだら、「厚生労働省が制度として設けている就労支援を利用した」という事実へ言い換えることができます。制度を利用したこと自体が人生の失敗を意味するわけではありません。

過去を整理することと親を許すことは別

過去を整理するというと「親を許さなければならない」と感じる人もいますが、必ずしもそうではありません。

整理とは、「あの出来事があった」「自分は怖かった」「今でも影響がある」と自分の経験を自分の言葉で理解していくことでもあります。

家族との関係を将来どうするかは、その後に決めても構いません。定期的に会う人もいれば、連絡頻度を減らす人もいます。

家族の良い面を認めながら距離を取ってもよい

「衣食住を支えてもらった」という感謝と、「言葉で深く傷ついた」という経験は、どちらかを否定しなければ成立しないものではありません。

人間関係には良かった部分と傷ついた部分が同時に存在することがあります。

「感謝していることはある。でも今は一緒に暮らさない」という結論でも矛盾していません。

新生活では予定を詰め込みすぎない

家を出ることが決まると、「これから全部変えよう」と急に頑張りたくなることがあります。

しかし、引っ越し、新しい人間関係、生活ルールの変更だけでも負荷があります。同じ時期に転職、勤務時間増加、資格勉強などを一斉に始めると疲れやすくなります。

まず生活を安定させ、その後に仕事、さらにその後に将来の一人暮らしというように順番をつける方法があります。

半年程度の目標は小さく設定する

「幸せになる」「自立する」といった大きな目標は、何をすれば達成なのか分かりにくくなります。

そこで、半年程度なら「遅刻せず仕事へ行ける日を増やす」「月5000円でも貯金する」「通院を再開する」「自分で洗濯する」「月1回支援員と仕事について話す」といった具体的な目標へ変えます。

達成できなかった月があっても、計画を修正すればよいだけです。

1年後の仕事は「今より少し良い状態」を目指す

将来の仕事についても、「正社員にならなければ」という一つのゴールだけに絞る必要はありません。

例えば1年後に「現在の勤務を安定して続けている」「勤務時間を1時間増やした」「自分に合う職場条件が分かった」「別の仕事を検討するため就労相談へ行った」なら、いずれも前進です。

働き方を決める際には、給与だけでなく、疲れ方、人間関係、仕事内容、休みやすさ、通勤距離なども含めて評価しましょう。

発達障害がある人は「苦手を根性で直す」より環境を調整する

発達障害について「努力すれば治る」と言われることがありますが、発達障害は単なる努力不足を意味する言葉ではありません。

厚生労働省は、発達障害について自閉症、注意欠如多動症などを含む脳機能の障害として発達障害者支援法に基づく支援施策を設けています。[参照:厚生労働省 発達障害者支援施策]

苦手なことを練習することには意味がありますが、同時に、メモを使う、予定を見える化する、静かな環境を選ぶ、勤務時間を調整するなどの工夫も重要です。

「できていること」を定期的に確認する

自己評価が低くなっていると、できないことばかり目に入りやすくなります。

しかし、学校がつらい中でも卒業した、実習を終えた、資格を取得した、働き始めた、週5日の勤務を続けた、市役所へ自分で相談した、住む場所を探し始めた、といった行動は、それぞれ具体的な事実です。

一週間に一度、「今週自分でやったこと」を3つだけメモすると、自分の行動を親の評価ではなく事実で確認しやすくなります。

グループホームで合わないことがあれば我慢し続けなくていい

家から離れられたからといって、最初に入ったグループホームが必ず自分に合うとは限りません。

他の利用者の生活音、職員との相性、ルールなどが大きなストレスになることもあります。その場合は「自分が共同生活に向いていない」と即断せず、まず職員や相談支援専門員へ相談します。

部屋や支援方法の調整、別の住居への変更などを検討できる場合もあります。

自分の人生を決めるときのシンプルな基準

選択に迷ったら、「親ならどう言うか」ではなく、次の4点で考える方法があります。

  • 安全か
  • 自分の心身が安定しやすいか
  • 生活を継続できるか
  • 将来の選択肢を極端に狭めないか

例えばグループホームへの入居について、「家族は反対するかもしれない」ではなく、「家から離れると震える場面が減り、仕事を続けやすくなるか」という基準で考えます。

この考え方を繰り返すと、「自分にとって必要な選択」を少しずつ見つけやすくなります。

つらい記憶が強い時の簡単な対処

仕事中などに過去の場面を突然思い出したときには、「今ここ」に意識を戻す方法を試すことがあります。

例えば足の裏が床に触れている感覚を確認する、周囲に見えるものを5つ言葉にする、今日の日付と今いる場所を心の中で確認する、ゆっくり息を吐くといった方法です。

ただし、こうした方法は医療の代わりではありません。震えや強い恐怖が頻繁に起こる場合には、医療機関へ相談することをおすすめします。

「一人でやっていけるか」ではなく「困ったとき相談できるか」を考える

家を出る前は、「一人で全部できるか」という問いを自分へ向けがちです。しかし実生活では、完全に一人で何でもできる人はほとんどいません。

より実用的なのは、「料理ができないとき誰に相談するか」「仕事を辞めたくなったとき誰に話すか」「体調が崩れたらどこへ行くか」を決めておくことです。

自立とは、困らなくなることではなく、困ったときに必要な支援へつながれる状態を作ることでもあります。

まとめ:まず安全な生活基盤を作り、その上で人生を少しずつ決めていく

発達障害があり、親から理解を得られず、過去の言葉を思い出すことで現在の生活にも強い苦痛が生じている場合、家族と距離を取り、グループホームなどで生活環境を変えることは現実的な選択肢です。共同生活援助は、障害のある人が地域で暮らすために国が制度として設けている障害福祉サービスです。[参照:厚生労働省 共同生活援助]

家を出ることは、家族を嫌いになることでも、育ててもらったことへの感謝を捨てることでもありません。「良い思い出もあるが、現在は距離を取ったほうが自分の生活が安定する」という判断もできます。

また、過去の出来事を何年も思い出してしまうからといって、自分を情けないと評価する必要はありません。強いストレス体験の記憶が後から本人の意思とは関係なく浮かび、身体の緊張などを伴う場合があることは、国立精神・神経医療研究センターも説明しています。[参照:国立精神・神経医療研究センター PTSD] 症状が仕事や生活へ影響しているなら、診断を自己判断せず、精神科・心療内科へ相談するとよいでしょう。

仕事についても、21歳の段階ですべてを決める必要はありません。現在の短時間勤務を安定させた後、勤務時間を増やす、保育の仕事を続ける、別職種へ移る、就労移行支援や就労選択支援などを利用するといった複数の選択肢があります。厚生労働省も、就労移行支援をはじめ複数の就労支援制度を設けています。[参照:厚生労働省 障害者の就労支援対策の状況]

そして「自分で決める力」は、突然身につくものではありません。今日食べるもの、休日の過ごし方、家族への返信頻度など、小さなことを自分で選び、結果を確認するところから身につけていけます。

これからの最初の目標は「誰の助けも借りずに完璧な大人になること」ではなく、「安心して暮らせる場所を作り、仕事と体調を安定させ、自分の希望を少しずつ選べる状態を作ること」です。グループホーム、市役所、医療機関、発達障害者支援センター、就労支援などを使いながら、自分の生活を一段ずつ組み立てていくことも、自分の人生を自分で生きることに含まれます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました