ステロイド外用薬を塗ると肌が白くなるのはなぜ?顔の赤み・ベトノバール使用時の注意点を解説

皮膚の病気、アトピー

頬などにステロイド外用薬を塗ったあと、「塗った部分だけ周囲より白く見える」と感じることがあります。もともと頬に赤みがある人では色の差が目立ちやすく、薬が強すぎるのではないか、皮膚の色が抜けたのではないかと不安になることもあるでしょう。

ただし、塗った翌朝に白く見える現象だけから原因を決めることはできません。炎症による赤みが改善して周囲との差が出ている可能性がある一方、ステロイド外用薬には長期使用などによって皮膚萎縮、毛細血管拡張、色素脱失などの局所副作用が起こることもあります。

特に顔は薬が吸収されやすい部位です。「白くなるから自己判断で塗ったり塗らなかったりする」「治らないので長期間そのまま使い続ける」のではなく、薬の強さ・診断・使用期間が顔の症状に適切かを処方した医師へ確認することが大切です。

ステロイドを塗った部分が白く見える理由は一つではない

湿疹などで皮膚に炎症が起きると、その部分は赤く見えることがあります。ステロイド外用薬には炎症を抑える作用があるため、炎症性の赤みが軽くなると、治療した部分が周囲より白く見える場合があります。もともと顔全体に赤みが強い人なら、色の差はさらに分かりやすくなります。

例えば左右の頬が普段から赤く、そのうち一部分だけに湿疹があって薬を塗った場合、その部分の炎症や赤みが改善すると「薬を塗ったところだけ白く抜けた」ように感じることがあります。この場合、必ずしも一晩で皮膚の色素そのものが失われたという意味ではありません。

一方で、ステロイド外用薬では局所的な副作用も知られています。PMDAのベトノバールG軟膏0.12%の添付文書には、皮膚萎縮、毛細血管拡張、酒さ様皮膚炎、色素脱失などが副作用として記載されています。白さが続く、皮膚の質感まで変わるなどの場合には自己判断せず診察を受けることが重要です。PMDA ベトノバールG軟膏0.12%医薬品情報[参照]

「白くなる=ステロイドが刺激的すぎる」とは限らない

ステロイド外用薬の強さは、塗ったときにヒリヒリするかどうかという意味での「刺激の強さ」とは別に考える必要があります。ステロイドには炎症を抑える力の強さによるランクがあり、症状の程度や塗る部位などに応じて選択されます。

日本皮膚科学会では、ベタメタゾン吉草酸エステル0.12%をストロングクラスのステロイド外用薬として分類しています。日本皮膚科学会 ステロイド外用薬のランク[参照] なお、商品名が似ていても配合成分が異なる製剤があるため、手元の薬については容器や薬袋の正式名称・成分を確認することが大切です。

つまり「白く見えるから刺激が強すぎる」と単純には判断できません。反対に、ヒリヒリしないから顔へ長期間使い続けても安全、と判断することもできません。薬の強さ、塗布部位、使用量、期間をセットで考える必要があります。

顔はステロイド外用薬の副作用に特に注意したい部位

顔の皮膚へステロイドを使う場合には、腕や脚と同じ感覚で長期間使用しないことが重要です。日本皮膚科学会は、顔は薬の吸収がよく効果も得られやすいため、アトピー性皮膚炎の顔面治療では原則としてミディアムクラス以下の弱いステロイドを使用すると説明しています。日本皮膚科学会 顔へのステロイド外用について[参照]

同学会は、顔の皮疹ではステロイドによる皮膚萎縮や毛細血管拡張といった局所副作用を考慮し、症状によってタクロリムス軟膏やデルゴシチニブ軟膏などステロイド以外の治療薬が選択肢になることも説明しています。ただし、どの薬が適しているかは診断によって異なるため、自分で別の薬へ変更するものではありません。

特にストロングクラスのステロイドを頬へ使用している場合は、医師から顔への使用を具体的に指示されているか、何日程度使用する予定なのかを確認しておくと安心です。処方された薬であっても、別の部位用に以前処方された残りを自己判断で顔へ使用することは避けましょう。

もともとの「赤ら顔」が何によるものかも重要

頬が普段から赤い場合、その原因が単純な敏感肌とは限りません。乾燥や湿疹、刺激性・アレルギー性接触皮膚炎、アトピー性皮膚炎、酒さなど、顔の赤みを生じる皮膚疾患はいくつもあります。

さらに、髪の毛が触れる場所だけ荒れる場合も、毛先による物理的な摩擦だけとは限りません。整髪料、シャンプーやトリートメントの残留、ヘアオイル、香料などが関係する接触皮膚炎が隠れていることもあります。

例えば「前髪や横髪が当たるところだけ毎回荒れる」という場合は、髪を一時的に頬へ触れないよう固定し、使用しているヘアケア製品が顔へ付着しないようにすることで変化を観察できます。薬だけで炎症を繰り返し抑えるより、原因となる刺激を減らすことも重要です。

化粧水がしみるときはスキンケアを増やしすぎない

普段は問題なく使える化粧水でも、肌荒れしているときだけビリビリすることがあります。皮膚のバリア機能が低下していると、普段より化粧品による刺激を感じやすくなるためです。

このような時期に「敏感肌を治したい」と考えて美容液、ピーリング、スクラブ、レチノール、高濃度ビタミンCなどを次々追加すると、かえって刺激が増えることがあります。刺激を感じる製品はいったん避け、洗顔時にも強くこすらないことが大切です。

保湿剤についても、低刺激をうたう商品なら必ずしみないとは限りません。何を塗ってもしみるほど炎症が強い場合は、新しい化粧品を試し続けるより皮膚科で現在の皮膚状態を確認してもらうほうが適切です。

白くなるのが嫌でも自己判断で不規則に中断しない

ステロイドへの不安から「今日は塗る、明日は塗らない」と自己判断で使用すると、炎症を十分に抑えられず、結果として症状が長引くことがあります。日本皮膚科学会も、必要なステロイドを十分に使用しないことで炎症を抑えきれず、かえって使用期間や使用量が増えることがあると説明しています。日本皮膚科学会 ステロイド外用薬への不安について[参照]

ただし、これは「白くなっても気にせず同じ薬をずっと塗り続ければよい」という意味でもありません。特に顔面で色調の変化がはっきりしている場合は、処方した医師に実際の状態を見せて、継続・減量・中止・薬の変更などを判断してもらいます。

診察時には、塗った直後ではなく「翌朝だけ白い」「一日中白い」「数日中止しても白い」といった持続時間を伝えると参考になります。スマートフォンで毎日同じ照明・同じ場所から写真を撮っておくのも、色の変化を医師へ伝える方法の一つです。

皮膚萎縮や酒さ様皮膚炎などのサインにも注意する

ステロイド外用薬を適切に短期間使用する場合と、顔へ漫然と長期間使用する場合ではリスクが異なります。PMDAの添付文書では、ステロイド皮膚として皮膚萎縮、毛細血管拡張、紫斑などが挙げられているほか、頬や口周囲などの潮紅、丘疹、膿疱、毛細血管拡張を伴う酒さ様皮膚炎・口囲皮膚炎も記載されています。PMDA ベトノバールG添付文書[参照]

「皮膚が以前より薄く透けて見える」「細い血管が目立つようになった」「赤いブツブツや膿疱が増えた」「薬を使い続けているのに赤みが悪化する」といった変化があれば、使用方法を自己調整するのではなく皮膚科へ相談してください。

目の周囲へ使用している場合も注意が必要です。ベトノバールGの添付文書には、眼瞼皮膚への使用で眼圧亢進や緑内障を起こすことがあるとの注意があります。目のきわまで自己判断で広げて塗らないようにしましょう。

受診するときに確認しておきたいこと

顔の湿疹が繰り返す場合は、「どの薬を何日塗ればよいか」だけでなく、そもそも何の皮膚疾患として治療しているのかを確認することが重要です。原因によって適切な治療やスキンケアが異なるからです。

診察では、次のような情報を伝えると状況を整理しやすくなります。

  • 薬の正式名称と濃度
  • 1日に塗る回数と使用期間
  • 頬のどの範囲へ塗っているか
  • 塗ってから何時間後に白く見えるか
  • 白さが何時間・何日続くか
  • 薬を塗る前からある顔の赤みの程度
  • かゆみ・痛み・熱感・皮むけ・ブツブツの有無
  • 化粧水やヘアケア用品で刺激を感じるか
  • 髪が触れないようにしたとき改善するか

特に「ベトノバール」という呼び方だけでなく、薬袋やチューブを持参すると確実です。ベトノバールGのように抗菌薬が配合されている製剤もあるため、自己判断で長期に使うのではなく、現在の症状にその薬が必要なのか確認しましょう。

まとめ:顔にステロイドを塗って白く見えるなら使用法を皮膚科で確認する

ステロイド外用薬を塗った部分が白く見える場合、炎症による赤みが改善して周囲との色差が目立っている可能性があります。そのため、翌朝白く見えたという事実だけで「皮膚の色素が抜けた」「薬が刺激的すぎた」と断定することはできません。

一方、ステロイド外用薬では色素脱失、皮膚萎縮、毛細血管拡張、酒さ様皮膚炎などの局所副作用も知られています。特に顔は薬の吸収がよい部位であり、日本皮膚科学会も顔面では弱めのステロイドを原則とする考え方を示しています。

白くなるのが気になるから不規則に中断することと、治りが遅いから同じ薬を長期間塗り続けることのどちらも避け、処方医へ「頬に塗ると翌朝そこだけ白く見える」と具体的に伝えるのが適切です。もともとの赤ら顔や化粧品への刺激、髪が触れる場所に繰り返す炎症も含めて診断を確認し、必要なら顔に適した薬やスキンケアへ調整してもらいましょう。

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