LDLコレステロール63mg/dLは低すぎる?栄養不足との関係と確認したいポイントを解説

病気、症状

健康診断や血液検査でLDLコレステロールが63mg/dLだった場合、「低すぎるのではないか」「栄養不足や栄養失調ではないか」と心配になることがあります。しかし、LDLコレステロールが63mg/dLという数値だけを見て、栄養不足や栄養失調と判断することはできません。LDLコレステロールは食事だけで決まるものではなく、体内でのコレステロール合成、体質、運動習慣、病気、服用している薬などさまざまな要因の影響を受けるためです。ここでは、LDLコレステロール63mg/dLという数値の考え方と、低値だった場合に確認したいポイントをわかりやすく解説します。

LDLコレステロール63mg/dLは低すぎるのか

LDLコレステロールは、一般に「悪玉コレステロール」と呼ばれることの多い脂質です。LDLが過剰になると動脈硬化との関連が問題になるため、健康診断では高値に注意が向けられることが多くなっています。

日本動脈硬化学会では、LDLコレステロール140mg/dL以上を高LDLコレステロール血症の診断基準としています。一方、63mg/dLという値だけを根拠として「栄養失調である」と診断する基準ではありません。検査機関によって表示される基準範囲や判定方法も異なるため、健康診断結果に記載されている基準値と医師の判定を併せて確認することが重要です。

また、動脈硬化性疾患のリスクが高い人では、治療によってLDLコレステロールを積極的に下げる場合があります。そのため、LDLが低いこと自体を一律に「健康に悪い状態」と考えるのは適切ではありません。[参照:日本動脈硬化学会]

LDLコレステロールが低い=栄養不足とは限らない

コレステロールという言葉から「食事で脂質を十分に取っていないから低くなる」と考えがちですが、血液中のコレステロールは食事だけで決まるわけではありません。日本動脈硬化学会によると、体内のコレステロール量は肝臓で作られる量、小腸から吸収される量、体内で利用される量、排泄される量などのバランスによって調節されています。

そのため、例えば十分に食事を取っていてもLDLコレステロールが比較的低い人はいます。反対に、食事内容だけでは説明できない脂質値の変化が生じることもあります。

LDLコレステロール63mg/dLという一つの検査値だけでは、摂取カロリー、たんぱく質、ビタミン、ミネラルなどが不足しているかどうかは判断できません。栄養状態を評価するときは、体重変化、食事量、身体所見、ほかの血液検査などを含めて総合的に判断します。

栄養不足を心配するならLDL以外も確認する

LDLコレステロールが低めで栄養不足が気になる場合には、「LDLが何mg/dLか」だけではなく、最近の体重や食事量に変化がないかを確認することが大切です。

例えば、以前と同じ生活をしているのに数カ月で体重が大きく減った、食欲がなく十分に食べられない、強い倦怠感が続くといった場合には、単にLDLが低いという問題とは分けて医療機関に相談する価値があります。

血液検査についても、LDLだけを単独で見るのではなく、総コレステロール、HDLコレステロール、中性脂肪などの脂質項目に加え、医師が必要と判断すれば血算、肝機能、甲状腺機能、たんぱく質に関連する項目などを確認することがあります。どの検査が必要かは症状や既往歴によって異なるため、自己判断で特定の数値だけを追いかけないことがポイントです。

LDLコレステロールが低くなる背景には複数の要因がある

LDLコレステロールの値には個人差があります。また、食生活や体重変化だけでなく、体質、疾患、薬剤などによっても変化する可能性があります。

特にコレステロールを下げる薬を服用している場合には、治療の結果としてLDLが低くなっている可能性があります。スタチンやエゼチミブなど、LDLコレステロールを低下させるために使用される薬があります。治療中の場合は、自己判断で薬を減らしたり中止したりせず、主治医に検査結果を確認してもらうことが重要です。

一方、薬を服用していないのに以前と比べてLDLや総コレステロールが大きく低下した場合や、体重減少など別の変化を伴っている場合には、その背景を確認する意味があります。「低いから栄養失調」と決めつけるのではなく、「なぜこの値なのか」を必要に応じて確認するという考え方が適切です。

50代ではLDL単独ではなく健康状態全体を見ることが重要

50代になると、脂質だけでなく血圧、血糖、喫煙、体重、腎機能など複数の要素を含めて健康状態を考えることが重要になります。LDLコレステロールについても、単独の数値だけで健康・不健康を決めるものではありません。

例えばLDLが63mg/dLでも、食欲があり体重が安定し、ほかの検査結果にも特に問題がなく、医師から異常を指摘されていないケースと、最近急激に痩せて食事もほとんど取れておらず複数の検査値に異常があるケースでは意味がまったく異なります。

また、心筋梗塞や脳梗塞などの既往がある人と、そうした病歴がない人でもLDLの管理目標は異なり得ます。日本動脈硬化学会も動脈硬化性疾患の予防では個々のリスクを評価する考え方を採用しています。[参照:日本動脈硬化学会 ガイドライン]

自己判断で脂質の多い食事に変える必要はない

LDLが低かったからといって、「肉やバター、卵などをたくさん食べてコレステロールを上げよう」と自己判断する必要はありません。血中コレステロールと食事から摂取するコレステロールの関係には個人差があり、LDLだけを上げることを目的とした食生活に変更すると、食事全体のバランスを崩してしまう可能性があります。

特に50代では、脂質だけに注目するより、主食・主菜・副菜を組み合わせ、魚、肉、大豆製品、卵、乳製品、野菜、果物などから必要な栄養素をバランスよく取ることが基本です。体重を減らす必要がない人が過度な食事制限を続けることも避けたほうがよいでしょう。

栄養不足そのものが心配な場合には、LDLを意図的に上げることを目標にするのではなく、現在の食事量や体重変化を医師や管理栄養士に伝え、食生活全体を評価してもらう方法が合理的です。

医療機関へ相談したほうがよいケース

LDLコレステロールが63mg/dLだったというだけで緊急性があるとは限りません。ただし、検査結果について「要受診」「要精密検査」などの判定が付いている場合は、その指示に従って医療機関を受診してください。

また、意図しない体重減少、食欲低下、長期間続く下痢、強い疲労感などの症状がある場合や、以前の検査値から大幅に低下した場合には、一度医師へ相談すると安心です。数年前から毎回同程度なのか、今回だけ急に低下したのかという経年変化も重要な情報になります。

受診するときは今回の結果だけでなく、過去の健康診断結果、お薬手帳、最近の体重変化などが分かるものを持参すると、原因を検討する際の参考になります。

まとめ

LDLコレステロール63mg/dLという数値だけから、栄養不足や栄養失調と判断することはできません。コレステロール値は食事だけではなく、体内での合成や代謝、体質、薬剤、健康状態などさまざまな要因によって決まります。

栄養状態が気になる場合には、LDLだけではなく、食事量、体重の推移、ほかの血液検査、症状などを総合的に確認することが大切です。特に体重が意図せず減っている、食欲がない、以前より検査値が大きく変化したといった場合には医療機関へ相談しましょう。

反対に、LDLが低めだからという理由だけで脂質やコレステロールの多い食品を大量に食べる必要もありません。健康診断の判定やほかの検査値も確認し、疑問があれば健診結果を持参して医師に相談するのが確実です。

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