太ももの内側にできものができて出血・肥大したときは?考えられる原因と皮膚科を受診する目安

病気、症状

太ももの内側や鼠径部など、皮膚同士がこすれやすい場所には、ニキビのような赤いできものやしこりができることがあります。毛穴の炎症や摩擦による比較的軽いトラブルの場合もありますが、数か月以上治らない、以前より大きくなっている、出血するといった変化がある場合は、見た目だけでニキビと判断しないことが大切です。

特に、太ももの付け根や鼠径部は化膿性汗腺炎、毛包炎、粉瘤(表皮嚢腫)など複数の皮膚疾患が起こり得る部位です。この記事では、太ももの内側のできものから血が出る場合に考えられる原因、自宅でしてよい対処と避けたい対処、皮膚科を受診する目安について解説します。

太ももの内側のできものから血が出る原因は一つではない

太ももの内側のできものを見ただけで原因を断定することはできません。同じような赤い隆起でも、毛穴の炎症、細菌感染、皮膚の下にできる嚢腫、慢性的な炎症性疾患など原因はさまざまです。

さらに、もともとあったできものが下着や反対側の太ももと繰り返しこすれると、表面が傷ついて出血することがあります。そのため、血が出たことだけで「破裂したニキビ」と判断するのは適切ではありません。

例えば、絆創膏を貼った翌日に血が付いていた場合も、内部が破裂したとは限りません。できものの表面が蒸れて弱くなり、摩擦によって傷ついた可能性なども考えられます。

考えられる代表的な皮膚トラブル

毛包炎・せつなど

毛穴の周囲に炎症が起こると、赤いできものや膿を伴う隆起が生じることがあります。太ももの内側は汗をかきやすく、衣類による摩擦も起こるため、毛穴のトラブルが生じやすい場所の一つです。

炎症が強くなると腫れたり、触ったときに痛みを感じたりする場合があります。ただし、長期間残っている大きなできものを単純な毛包炎と決めつけることはできません。

粉瘤(表皮嚢腫)

粉瘤は皮膚の下に袋状の構造ができ、その内部に角質などがたまる良性の皮膚腫瘍です。炎症を起こすと急に赤く腫れたり、痛みや排出物を伴ったりする場合があります。

粉瘤の場合、市販薬を塗ったり自分で中身を押し出したりしても根本的な解決にならないことがあります。強くつぶすことで炎症を悪化させる可能性もあるため注意が必要です。

化膿性汗腺炎

鼠径部、臀部、脇などに慢性的・反復的なしこりや膿瘍などが生じる病気として化膿性汗腺炎があります。日本皮膚科学会の診療の手引きでは、鼠径部などが好発部位とされ、結節、膿瘍、瘻孔、瘢痕などがみられるとされています。また、大腿など摩擦が生じる場所に病変ができる場合もあります。

名前から汗腺の感染症のように思われやすいのですが、日本皮膚科学会の手引きでは、毛包を中心として生じる慢性炎症性疾患として説明されています。[参照:日本皮膚科学会 一般公開ガイドライン]

もちろん、太ももにできものが一つあるだけで化膿性汗腺炎と判断することはできません。似た症状を起こす病気が複数あるため、慢性的に続く場合には皮膚科で鑑別してもらうことが重要です。

「半年治らない」「急に大きくなった」「出血する」は受診を考えたい変化

数日程度の小さな毛穴の炎症とは異なり、何か月も同じ場所に存在しているできものが最近になって大きくなった場合は、一度皮膚科で診察を受けることをおすすめします。

さらに、自然に出血する、何度も出血する、膿や液体が出る、急速に大きくなる、強い痛みがある、周囲まで赤く腫れているといった症状がある場合も、自己判断で長期間様子を見るより医療機関で確認したほうが安全です。

皮膚のできものには非常に多くの種類があります。日本皮膚科学会の化膿性汗腺炎診療の手引きでも、鑑別対象として毛包炎、皮下膿瘍、表皮嚢腫、細菌感染症、悪性腫瘍など複数の疾患が挙げられています。つまり、外見や出血の仕方だけから病名を特定することは困難です。[参照:日本皮膚科学会 化膿性汗腺炎診療の手引き2020]

受診するまでに自宅でできること

原因が分からないできものは、まずつぶす、針で刺す、強く絞るといった処置を避けることが重要です。内部に膿のようなものが見えても、自分で処置すると傷が広がったり感染を起こしたりする可能性があります。

出血している場合は、清潔なガーゼなどで優しく圧迫して止血します。皮膚を清潔に保ち、衣類や太ももとの摩擦をできるだけ減らすことも大切です。出血が止まらない場合は早めに医療機関へ相談してください。

また、診察までの間にスマートフォンで患部を撮影しておくと、大きさや色の変化を医師に説明しやすくなります。定規などを近くに置いてサイズが分かるように撮影しておく方法もあります。

絆創膏を一日中貼り続けるときの注意点

出血した部分を衣類との摩擦から守るために絆創膏やガーゼで保護すること自体はありますが、長時間密閉すると汗などで皮膚が蒸れ、周囲の皮膚がふやけることがあります。特に太ももの内側は汗がたまりやすい場所です。

出血や浸出液がある場合には、清潔なガーゼなどを使用して適宜交換し、皮膚の状態を確認します。傷に張り付いたガーゼなどを無理にはがすと再出血する場合があるため注意しましょう。

また、市販のニキビ薬や消毒薬を原因不明のできものへ次々に使用することはおすすめできません。治療方法は原因によって異なるため、長期間続いている場合は診断を受けてから適切な治療を選ぶほうが確実です。

早めに医療機関へ相談したい症状

長期間存在するできものだけでなく、症状が急激に悪化している場合には受診を先延ばしにしないようにしましょう。特に次のような変化がある場合は皮膚科などへの相談が重要です。

  • 数週間から数か月以上治らない
  • 最近になって急に大きくなった
  • 繰り返し出血する
  • 膿や血の混じった液体が出る
  • 赤みや腫れが周囲へ広がっている
  • 強い痛みや熱感がある
  • 同じ場所や鼠径部、脇などに似たできものを繰り返す
  • 発熱や強い体調不良を伴う

とくに赤みが急速に広がる、強い痛みや発熱を伴う、大量の出血が止まらないといった場合は、通常の予約を待たず速やかに医療機関へ相談する必要があります。

まとめ:太ももの内側のできものは見た目だけでニキビと決めつけない

太ももの内側のできものには、毛包炎など比較的身近な皮膚トラブルから、粉瘤や化膿性汗腺炎などさまざまな原因があります。摩擦によって表面が傷つけば出血することもあるため、血が出た場所だけを見て原因を判断することはできません。

特に重要なのは、長期間治らない・大きくなってきた・出血するという経過そのものです。このような場合は自分でつぶしたり長期間様子を見たりせず、皮膚科で実際の状態を確認してもらうのが適切です。

日本皮膚科学会では皮膚科専門医を検索できるページも公開しています。受診先を探す場合には公式情報を利用できます。[参照:日本皮膚科学会 皮膚科専門医MAP]

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