統合失調症の治療では、薬物療法だけでなく、症状や状態に応じて電気けいれん療法(ECT)などの治療が検討されることがあります。実際に治療を受けても「幻聴は少し減ったけれど、思ったほど変化がなかった」と感じるケースもあります。
電気けいれん療法はすべての人に同じ効果が出る治療ではなく、症状の種類や体調、これまでの治療経過によって反応は異なります。この記事では、統合失調症に対する電気けいれん療法の特徴や、回数を重ねても効果が限定的な場合について解説します。
電気けいれん療法(ECT)とはどのような治療なのか
電気けいれん療法は、頭部に短時間の電気刺激を与えることで脳の働きに変化を起こし、精神症状の改善を目指す治療方法です。
現在行われているECTは、以前のように無麻酔で行うものではなく、一般的には全身麻酔や筋肉の動きを抑える処置を行った上で安全に実施されます。
主に重度のうつ病、躁状態、統合失調症に伴う強い症状などで検討されることがあります。特に薬の効果が十分でない場合や、症状を早く改善する必要がある場合に選択されることがあります。
統合失調症の幻聴に対するECTの効果には個人差がある
統合失調症の代表的な症状の一つに幻聴がありますが、ECTを受けた場合でも、すべての人で幻聴が完全になくなるわけではありません。
治療によって幻聴の頻度が減ったり、声の強さが弱まったりする場合もありますが、残る症状があるケースもあります。
例えば、以前は一日中聞こえていた幻聴が数時間程度になった場合でも、本人にとっては大きな変化ですが、「完全になくならなかった」と感じることもあります。
9回の治療でも効果が少ないと感じることはあるのか
ECTの治療回数は症状や反応によって調整されます。一般的には複数回行われますが、9回程度受けても十分な改善を感じられない場合はあります。
治療への反応は、統合失調症のタイプ、発症からの期間、幻聴の内容、薬物療法との組み合わせなどによって変わります。
また、ECTは症状を一時的に改善する目的で使われることもあり、改善後も薬物療法や生活面でのサポートを続けながら状態を維持していくことが重要です。
幻聴が減ったことは治療効果が出ている可能性もある
ECTを受けた結果、「幻聴が減った」という変化があった場合、それは全く効果がなかったという意味ではありません。
精神症状は数値で測りにくいため、本人が感じる変化や生活への影響を総合的に評価することが大切です。
例えば、幻聴による不安が減った、人との会話がしやすくなった、作業所で過ごしやすくなったなど、症状の一部が改善することで生活の質が向上することがあります。
ECT後も症状が残る場合に考えられる対応
ECT後も幻聴などの症状が残る場合、主治医は薬の種類や量の調整、心理社会的な支援などを組み合わせながら治療方針を考えます。
統合失調症では、薬物療法、リハビリテーション、周囲のサポートなどを組み合わせることで、安定した生活を目指していきます。
治療の効果について不安がある場合は、「何回受ければ治るのか」と考えるよりも、「どの症状がどの程度改善しているか」を医師と確認することが大切です。
電気けいれん療法について周囲が理解しておきたいこと
統合失調症の治療では、外から見える症状だけでは本人のつらさが分かりにくいことがあります。
幻聴が少し減ったとしても、本人の中では不安や疲労感が残っている場合があります。そのため、治療の結果を周囲が簡単に判断するのではなく、本人の感じ方を尊重することが重要です。
作業所などで関わる場合も、症状の変化だけでなく、本人が安心して生活できる環境づくりが回復の助けになります。
まとめ:ECTは9回でも効果の出方には個人差がある
統合失調症に対する電気けいれん療法は、幻聴などの症状改善が期待される治療ですが、効果の現れ方には大きな個人差があります。
9回受けても症状が完全になくならないことは珍しいことではなく、一方で幻聴が減ったという変化は治療による改善の可能性があります。
大切なのは回数だけで判断するのではなく、症状の変化や生活への影響を主治医と確認しながら、その人に合った治療を続けていくことです。


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