発達障害(ASD)のある子どもを育てていると、「同年代の子なら普通にできることなのだろうか」「これは特性によるものなのか」と迷う場面があります。特に高校生になると、周囲の子どもたちが自然にできているように見えることとの差を感じ、親として不安になることもあります。
しかし、ASDの特性は単純に能力の有無で判断できるものではありません。できないのではなく、頭の中で手順を組み立てたり、曖昧な指示を具体的な行動に変換したりすることが難しい場合があります。この記事では、ASDの高校生が日常の小さな作業で確認を求める理由や、支援するときの考え方について解説します。
ASDの子どもが「どう書けばいいのか分からない」と感じる理由
一般的には、見本を見れば同じように書けるように思える作業でも、ASDのある人にとっては複数の判断が必要になることがあります。
例えば、IDやメールアドレスを書き写す場合でも、「どこから書き始めるか」「タイトルは必要か」「日付を書くべきか」「どの位置に書けば見やすいか」など、暗黙のルールが含まれています。
多くの人は経験から自然に判断しますが、ASDの特性がある場合、そのような暗黙の前提を読み取ることが難しく、「正しい方法が分からない」と感じることがあります。
16歳なら誰でも自然にできるとは限らない
同年代の高校生でも、得意不得意には大きな差があります。ノートへの記録や整理整頓、予定管理などは、家庭環境や経験によって身につく時期も異なります。
特にASDのある人は、知識として理解する力があっても、初めての状況で「どう行動すればよいか」を判断することが苦手な場合があります。
例えば、料理のレシピを見て作れる人でも、「冷蔵庫にある材料で何を作れるか考える」のが苦手な場合があります。それと同じように、決まった手順があればできても、自由度が高い作業では迷いやすいことがあります。
「できない」よりも「具体的な指示が必要」と考える
ASDの子どもへの支援では、「普通なら分かるはず」と考えるよりも、必要な情報を具体的に伝えることが効果的です。
例えば「ノートに書いておいて」という指示ではなく、「ノートの1ページ目の上に『大切な情報』と書いて、その下にID、その下にメールアドレスを書いてみよう」と手順を分けることで取り組みやすくなります。
これは甘やかしではなく、本人が自分でできる方法を身につけるためのサポートです。慣れてくれば、少しずつ指示を減らしていくこともできます。
ASDの子どもは能力が低いのではなく得意な処理方法が違う
ASDの特性がある人は、苦手な部分がある一方で、特定の分野で高い集中力や正確さを発揮することもあります。
例えば、決められたルールに沿った作業、興味のある分野の情報収集、細かい違いを見つけることなどが得意な人もいます。
日常生活の一部だけを見て「大きなハンデがある」と感じることもありますが、本人の特性を理解し、合った環境を作ることで力を発揮できる場面は増えていきます。
親が「できないこと」に気づいたときの向き合い方
子どもの成長を見ていると、「なぜこれが分からないのだろう」と驚いたり、将来への不安を感じたりすることがあります。しかし、その気づきは本人を理解するための大切な材料になります。
大切なのは、できない部分だけを見るのではなく、「どこでつまずいているのか」を考えることです。
例えば、文字を書くこと自体が苦手なのか、手順を考えることが苦手なのか、失敗したくない気持ちが強いのかによって、必要なサポートは変わります。
高校生以降も生活スキルは伸ばしていける
高校生になると「もう大人だから自分でできるはず」と考えがちですが、生活に必要なスキルは年齢だけで自然に身につくものではありません。
予定管理、お金の管理、書類の整理、情報の保存方法などは、練習しながら身につけていくものです。
ASDのある人の場合は、一般的な方法ではなく、自分に合った仕組みを作ることで自立につながることがあります。例えば、チェックリストやテンプレートを使うことで、一人でできる範囲を広げられます。
まとめ
ASDの高校生が「どう書けばいいのか分からない」と確認することは、怠けているからでも、能力がないからでもありません。手順や暗黙のルールを理解することに難しさがある場合があります。
同年代の人と比べるよりも、本人がどの部分で困っているのかを理解し、必要なサポートを用意することが大切です。
小さな作業でも、一つずつ方法を身につけることでできることは増えていきます。本人の特性を理解しながら、将来の自立につながる環境を整えていくことが大きな支えになります。


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