5歳前後の子どもが突然39度以上の高熱を出し、ぐったりしていると、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症、その他の感染症、暑い時期なら熱中症など、さまざまな原因が気になります。一方、カロナールなどの解熱剤を使用すると短時間で熱が下がり、驚くほど元気になることもあります。ここで注意したいのは、解熱剤で平熱になったことだけでは、インフルエンザなどの感染症を否定できないという点です。この記事では、子どもの高熱が解熱剤で下がった場合の考え方、インフルエンザの可能性、熱中症との違い、家庭で確認したいポイント、受診の目安を整理します。
解熱剤で熱が下がってもインフルエンザは否定できない
カロナールの有効成分であるアセトアミノフェンは、発熱時の体温を下げたり、痛みを和らげたりするために使われる薬です。そのため、服用後に39度台だった体温が下がり、元気や食欲がある程度戻ること自体は不自然ではありません。
しかし、これは原因となったウイルスなどが体内から消えたことを意味するものではありません。薬が効いている時間に熱が下がっていても、薬の効果が薄れると再び発熱することがあります。したがって、解熱後の一時的な体温だけでインフルエンザかどうかを判断するのは困難です。
厚生労働省によると、インフルエンザでは多くの場合、自然経過の中で4~5日間ほど発熱などの症状がみられ、その後軽快します。ただし症状や経過には個人差があります。インフルエンザの基本情報については厚生労働省のインフルエンザ情報[参照]も確認できます。
翌朝まで熱が上がらなければインフルエンザの可能性は低い?
発熱が一晩で治まり、その後も薬を使わず平熱で元気な状態が続けば、典型的なインフルエンザの経過とは異なる可能性はあります。しかし、翌朝まで再発熱しなかったという事実だけでインフルエンザではないとは判断できません。
特に確認したいのは「最後に解熱剤を飲ませた時刻」と「現在の時刻」です。たとえば夕方に解熱剤を服用して夜に平熱になった場合、その時点では薬の作用によって体温が下がっている可能性があります。その後、十分に時間が経過しても発熱しないかを見る必要があります。
また、インフルエンザ以外にも新型コロナウイルス感染症、アデノウイルスなどのウイルス感染症や、さまざまな細菌感染症で発熱することがあります。「インフルエンザではなさそう=病気ではない」というわけではないため、体温だけでなく全身状態を見ることが重要です。
インフルエンザ検査は発症直後だと陰性になることがある
高熱が出たため医療機関でインフルエンザ検査を受けようと考える場合には、検査のタイミングもポイントになります。厚生労働省は、インフルエンザでは発症後早期はウイルス量が少なく、抗原検査で偽陰性になる可能性が比較的高いことを示しています。
つまり、症状が出てすぐ検査して「陰性」だったとしても、それだけで完全にインフルエンザを否定できるとは限りません。厚生労働省の検査に関する資料では、発症後早期の偽陰性に注意し、必要に応じて時間を空けた再検査を検討する考え方も示されています。
一方、抗インフルエンザ薬は開始時期も重要です。厚生労働省によれば、発症から48時間以内に適切に開始すると発熱期間が通常1~2日短縮するとされています。検査を受ける時刻や治療の必要性については自己判断だけで決めず、症状の経過を伝えて小児科医に判断してもらうのが適切です。
高熱とぐったりは熱中症でも起こる?
暑い時期には熱中症も候補になります。熱中症では体温上昇のほか、だるさ、頭痛、吐き気、めまい、大量の発汗、逆に重症時には発汗がみられない、意識状態がおかしいといった症状が起こることがあります。ただし、39度以上の発熱があったという情報だけで感染症と熱中症を家庭で正確に区別することはできません。
判断材料になるのは発熱前の状況です。たとえば炎天下で長時間遊んでいた、暑い車内や冷房のない室内にいた、水分を十分に取れていなかった、といった明確な暑熱環境への曝露があれば熱中症を疑う材料になります。
反対に、寒気や悪寒から始まって急激に高熱が出た場合には感染症でもよくみられる経過です。「夏の疲れがたまっていた」というだけでは熱中症と判断できないため、発熱前にどのような環境で過ごしていたかも合わせて考えます。
周囲にインフルエンザ患者がいなくても感染することはある
家族や保育園・幼稚園、外出先などで明らかなインフルエンザ患者との接触が確認できない場合でも、感染の可能性がゼロになるわけではありません。感染していても症状が軽い人がいたり、発症する前の人から感染したりする可能性があるためです。
厚生労働省では、一般的にインフルエンザは発症前日から発症後3~7日間ほど鼻やのどからウイルスを排出するとしています。そのため「周囲に発熱している人はいなかった」という情報だけでは感染を完全には除外できません。
流行状況も判断材料の一つです。季節外れに思える時期でも感染症が発生することはあるため、地域での流行状況と実際の症状を合わせて医師が判断することになります。
家庭では体温より「全身状態」をよく見る
子どもの発熱では体温の数字に目が向きがちですが、家庭で特に確認したいのは全身状態です。水分が飲めているか、尿が出ているか、呼びかけに普段どおり反応するか、呼吸が苦しそうではないか、顔色がおかしくないか、何度も吐いていないかなどを確認します。
たとえば39度あっても会話ができ、水分が取れている子どもと、38度でも呼びかけへの反応が鈍く水分を全く飲めない子どもでは、後者のほうが緊急性が高い場合があります。「何度あるか」だけではなく「普段と比べてどのくらい様子がおかしいか」を観察することが重要です。
受診するときのために「症状が始まった時刻」「最高体温」「解熱剤を使用した時刻と量」「その後の体温」「水分・食事の量」「尿の回数」「咳・鼻水・嘔吐・下痢などの有無」をメモしておくと、診察時の重要な情報になります。
すぐ受診・相談したほうがよい症状
一度元気になったとしても、再び強くぐったりする、意識がおかしい、呼びかけへの反応が悪い、けいれんする、呼吸が苦しそう、水分をほとんど取れない、何度も嘔吐する、顔色が明らかに悪いなどの症状があれば、翌朝まで待つことを前提にせず医療機関への相談を検討します。緊急性が高いと感じる場合は119番を利用します。
夜間や休日で「今すぐ受診すべきか、朝まで様子を見てよいのか」が判断できない場合には、厚生労働省の子ども医療電話相談「#8000」を利用できます。#8000では、小児科医師や看護師から症状に応じた対処方法や受診についての助言を受けられます。地域によって受付時間が異なるため、詳細は厚生労働省「子ども医療電話相談事業(#8000)」[参照]で確認できます。
一方、解熱後も元気で、水分や食事が取れ、呼吸や意識状態にも問題がない場合でも、39度以上の高熱と強いぐったりがあったという経過は小児科で相談する価値があります。受診するか迷う場合も#8000やかかりつけ医に相談すると判断しやすくなります。
解熱剤を使うときに注意したいこと
子どもの解熱剤は、単に体温を正常値まで下げるためだけではなく、発熱によるつらさを和らげ、水分を取りやすくしたり休みやすくしたりする目的でも使用されます。日本小児科学会も、小児の発熱に対して解熱剤を適宜使用しながら経過を見ることができるとしています。
ただし、処方されたカロナールなどは処方時に指示された1回量と使用間隔を守ることが大切です。以前別の病気で処方された薬を自己判断で使用する場合には、現在の体重に対して量が適切とは限りません。残薬について疑問がある場合は医師または薬剤師に確認してください。
また、解熱剤を飲ませた後に元気になったからといって無理に外出させたり、普段どおり活動させたりする必要はありません。水分を少量ずつこまめに与え、室温を適切にして休ませながら、その後の体温と全身状態を観察します。
まとめ|解熱剤で平熱になったかだけで原因を決めない
5歳児が39度以上の高熱を出した後、カロナールなどの解熱剤で平熱になり元気になっても、そのことだけでインフルエンザの可能性が大幅に低くなったとは判断できません。薬の効果が切れた後も熱が上がらないか、元気・水分摂取・尿・呼吸・意識状態などを含めて経過を見る必要があります。
熱中症についても、暑い環境に長時間いた、水分不足だったなどの状況があれば考える必要がありますが、高熱だけから感染症と熱中症を家庭で断定することは困難です。発症前の状況とその後の経過を記録しておくと診断の助けになります。
特に一時でも「かなりぐったりしていた」という場合には、その後元気になっていても注意深く様子を確認してください。再び強くぐったりする、意識や呼吸がおかしい、水分が取れない、けいれんするなど心配な変化があれば速やかに医療機関へ相談し、夜間・休日に受診判断で迷う場合は#8000[参照]を活用しましょう。


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