インフルエンザワクチンは安全?副作用・成分・「変なものが入っている?」という疑問を公的情報から解説

インフルエンザ

ワクチンについて不安を感じるとき、「効くかどうか」だけでなく、「何が入っているのか」「副作用は大丈夫なのか」を確認したいと考えるのは自然なことです。特に近年のワクチンをめぐる議論をきっかけに、以前から使われているインフルエンザワクチンまで不安になった人もいるでしょう。

インフルエンザワクチンにも副反応はありますが、日本で使われる製品は成分や副反応などが添付文書で公開され、接種後の副反応疑いについても国が継続的に監視しています。「絶対に副作用がない」とはいえない一方、「何が入っているか分からないものを秘密に混ぜている」という仕組みでもありません。

また、一般的な注射タイプの季節性インフルエンザワクチンは、新型コロナワクチンと同じ製法とは限りません。日本で従来から広く使われているインフルエンザHAワクチンは、インフルエンザウイルス由来の抗原を利用した不活化ワクチンです。製品ごとの詳しい組成は、独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)の添付文書で確認できます。[参照:PMDA]

この記事では、インフルエンザワクチンには何が入っているのか、よくある副反応と重大な副反応、ギラン・バレー症候群などのリスク、接種前に確認しておきたいことを整理します。

インフルエンザワクチンと新型コロナワクチンは同じものではない

「最近のワクチン」という言葉で一括りにされることがありますが、ワクチンは製品によって仕組みが異なります。

日本で長年使われてきた注射タイプの季節性インフルエンザHAワクチンは、ウイルスの感染力をなくしたうえで、免疫に認識させるための抗原成分を利用する不活化ワクチンです。

一方、新型コロナウイルス対策ではmRNAワクチンなど別の技術も使われてきました。そのため「あるワクチンについて心配な点があったから、インフルエンザワクチンも同じ成分・同じ仕組みだ」と考えるのは正確ではありません。

ワクチンの安全性を考えるときは、「ワクチン全般」という大きなくくりではなく、実際に接種する製品の種類・成分・添付文書を確認することが重要です。

インフルエンザワクチンには何が入っている?

日本で使用されるインフルエンザワクチンの成分は非公開ではありません。PMDAの添付文書で、有効成分と添加剤を確認できます。

例えば「インフルエンザHAワクチン KMB」の添付文書では、有効成分としてインフルエンザウイルスのヘムアグルチニン画分が記載されています。また添加剤として、塩化ナトリウム、リン酸塩、微量のホルマリン、チメロサールなどが記載されています。[参照:PMDA・インフルエンザHAワクチンKMB添付文書]

つまり「何かよく分からない成分が秘密に入れられている」というより、医薬品として有効成分・添加剤が文書で公開されていると考えるのが適切です。

ただし、メーカーや製品によって添加剤の種類・量が異なる場合があります。接種予定の製品が分かれば、その製品名をPMDAで検索すると確認できます。

ホルマリンやチメロサールと聞くと怖いけれど大丈夫?

成分表に「ホルマリン」や「チメロサール」という名称を見ると不安になる人もいるでしょう。

医薬品では、成分について単に「入っているかどうか」だけではなく、どの物質が、どの量で、どのように使用されているかを見ることが大切です。例えばKMB製品では、ホルムアルデヒドとして0.01%以下、チメロサールは1mL中0.005mgと添付文書に記載されています。[参照:PMDA]

チメロサールは一部の多回使用容器のワクチンなどで保存剤として使用される成分です。一方、製品によってはチメロサールを含まないものもあります。

特定の添加剤を避けたい事情がある場合は、「インフルエンザワクチンは全部同じ」と考えず、医療機関に使用製品を確認して相談する方法があります。

インフルエンザワクチンでよくある副反応

インフルエンザワクチンにも副反応はあります。厚生労働省やCDCなどでは、接種後に比較的よくみられる症状として注射部位の痛み・赤み・腫れ、発熱、頭痛、筋肉痛、だるさなどが挙げられています。[参照:CDC]

こうした症状が起きても、多くは軽く、数日以内に自然に改善します。接種部分が少し痛む程度で済む人もいれば、ほとんど症状がない人もいます。

また、注射タイプの不活化インフルエンザワクチンからインフルエンザそのものに感染することはありません。CDCも、注射タイプでは感染性のない不活化ウイルスまたはウイルス由来抗原が使用されるため、接種によってインフルエンザを発症することはないと説明しています。[参照:CDC]

重大な副反応はゼロではない

「安全なワクチンなら重大な副作用は絶対ない」という説明も正確ではありません。インフルエンザワクチンでも、非常にまれながら重い副反応が報告されることがあります。

厚生労働省では、インフルエンザワクチン接種後に報告対象となる症状として、アナフィラキシー、急性散在性脳脊髄炎、脳炎・脳症、ギラン・バレー症候群、けいれん、血管炎など複数の症状を挙げ、接種後の副反応疑い報告を継続して評価しています。[参照:厚生労働省]

重要なのは、「報告された=ワクチンが原因と確定した」という意味ではないことです。接種後に起きた症状を広く集め、その中から因果関係が疑われる安全上の問題がないか評価する仕組みになっています。

つまり副反応情報が公開されていること自体は「危険性を隠している」ということではなく、むしろ安全性監視の仕組みが存在していることを意味します。

ギラン・バレー症候群のリスクは?

インフルエンザワクチンについてよく話題になる重い副反応の一つがギラン・バレー症候群(GBS)です。GBSは末梢神経に障害が起こり、手足の力が入りにくくなるなどの症状が現れるまれな神経疾患です。

CDCによると、季節性インフルエンザワクチンとGBSの関連についてはシーズンごとに結果が異なりますが、リスク増加が確認された場合でも、接種100万回あたり追加で約1~2例程度とされています。[参照:CDC]

また、インフルエンザ感染そのものの後にもGBSは起こることがあり、CDCはインフルエンザ罹患後のほうがワクチン接種後よりGBSを発症する可能性が高いと説明しています。

したがってGBSという副反応が存在し得ることは無視できませんが、「頻繁に起きる副反応」という意味でもありません。

アナフィラキシーなどの重いアレルギー反応にも注意する

ワクチンに限らず、薬剤や食品などでも重いアレルギー反応であるアナフィラキシーが起こる可能性があります。

インフルエンザワクチンでも非常にまれに重いアレルギー反応が起こる可能性があります。そのため接種医療機関では、接種後の急性アレルギー反応に対応できる体制を整えています。

接種後に全身のじんましん、顔や喉の腫れ、息苦しさ、強いふらつきなどが出た場合には、速やかな医療対応が必要です。

過去にワクチンや薬で重いアレルギー反応を起こしたことがある場合は、必ず接種前に医師へ伝えてください。

「副反応疑い報告」の件数だけで危険性は判断できない

インターネットでは、「接種後に○件の死亡報告がある」「副反応報告がこんなに多い」といった数字だけを見かけることがあります。

しかし、副反応疑い報告制度では、接種後に起きた健康上の問題について、ワクチンとの因果関係が確定していない段階でも報告される場合があります。

例えばワクチンを接種した翌日に偶然別の病気を発症した場合でも、時間的に接種後であれば安全性評価の対象になることがあります。

そのため「接種後に起きた件数」と「ワクチンによって引き起こされた件数」を同一視しないことが重要です。安全性を評価するときは、未接種者でも同じ頻度で起こる病気なのか、接種後だけ統計的に増えているのかなどを比較します。

インフルエンザワクチンは新しく作られたばかりの技術ではない

季節性インフルエンザワクチンは長年使用されているワクチンの一つです。CDCによると、米国ではインフルエンザワクチンが50年以上にわたり多数の人へ接種され、安全性に関する膨大なデータが蓄積されています。[参照:CDC]

毎年変わるのは主に、そのシーズンに流行すると予測されるインフルエンザウイルス株に合わせた抗原構成です。

つまり毎年「全く新しい未知のワクチンをゼロから作っている」というより、長年使われているインフルエンザワクチンの仕組みをベースに、そのシーズンの流行株へ対応する抗原を選定して製造しています。

もちろん長年使われているからリスクがゼロになるわけではありませんが、少なくとも安全性について長期的な使用経験があるワクチンです。

毎年接種するのは「去年のワクチンが危険だから」ではない

インフルエンザワクチンを毎年接種する理由の一つは、インフルエンザウイルスが変化するためです。

流行する株はシーズンごとに変わるため、WHOなどによる世界的な流行予測をもとに、そのシーズンに使用するワクチン株が選ばれます。

またワクチンによる免疫も永久に同じ強さで維持されるわけではありません。

そのため毎年の接種は、「前年度の製品に問題があったから交換する」という意味ではなく、流行株と免疫の変化へ対応するためです。

効き目と安全性は別々に考える

「その年のワクチン株と実際に流行した株がどれくらい一致するか」という有効性の問題と、「接種によってどの程度副反応が起こるか」という安全性の問題は分けて考える必要があります。

インフルエンザワクチンは、接種すれば100%感染しなくなるワクチンではありません。流行株との一致度、年齢、免疫状態などによって効果は変わります。

一方で「100%感染を防げない」ことが、そのまま「危険なワクチン」という意味になるわけでもありません。

接種を判断するときは、期待できる効果と副反応のリスクをそれぞれ確認し、自分の年齢・持病・生活環境などを含めて考えるのが適切です。

インフルエンザ自体にもリスクがある

ワクチンの副反応が心配な場合には、「接種するリスク」だけでなく「接種しない場合にインフルエンザへ感染するリスク」も比較する必要があります。

インフルエンザは多くの場合回復しますが、高齢者、乳幼児、妊婦、基礎疾患がある人などでは肺炎などの重い合併症を起こす可能性があります。

CDCは、インフルエンザワクチンについて、感染・入院・インフルエンザ関連死亡などのリスクを減らす効果があると説明しています。[参照:CDC]

健康な若年成人と、高齢者や慢性疾患のある人では、ワクチンによって得られる利益の大きさも異なります。そのため個人ごとの判断が大切です。

過去にワクチンで強い副反応があった場合は接種前に相談する

過去のワクチン接種で重大な副反応があった人は、一般論だけで「大丈夫」と判断せず、接種前に医師へ相談してください。

特に過去のインフルエンザワクチンで重いアレルギー反応があった場合や、接種後にギラン・バレー症候群を発症した経験がある場合などでは、接種の可否を個別に検討する必要があります。

また現在発熱している、重い急性疾患があるなど、その日の体調によって接種を延期する場合もあります。

「ワクチン全般が怖い」と伝えるだけでも構いません。医師へ不安な点を具体的に伝え、自分の場合の利益とリスクを説明してもらうことができます。

成分が気になるなら接種前に製品名を聞いて確認できる

ワクチンの中身について納得してから接種したい場合は、医療機関に「どのメーカーの何というインフルエンザワクチンを使いますか」と確認する方法があります。

製品名が分かれば、PMDAの医療用医薬品情報から添付文書を検索し、有効成分、添加剤、禁忌、副反応などを自分で確認できます。[参照:PMDA医療用医薬品情報]

特定の添加物にアレルギーがある場合や、成分について気になる点がある場合には、接種前に医師や薬剤師へ質問してください。

「よく分からないから全部信用する」「よく分からないから全部危険と考える」の二択ではなく、製品ごとの公開情報を確認することができます。

接種後にどんな症状なら受診したほうがいい?

接種部位の痛みや軽い発熱・倦怠感程度であれば、多くの場合は数日で改善します。

一方、呼吸が苦しい、全身にじんましんが出る、顔や喉が腫れる、意識がおかしい、手足に急激な力の入りにくさが出るなど、通常とは明らかに異なる症状があれば医療機関へ相談してください。

高熱や強い症状が長く続く場合にも、「ワクチンの副反応だから我慢すればいい」と自己判断しないことが重要です。

接種後に気になる健康被害が生じた場合には、接種した医療機関などへ相談し、必要に応じて診察を受けましょう。

副反応について調べるときは情報源を確認する

ワクチンについて検索すると、SNS、動画、個人ブログ、公的機関、医学論文など非常に多くの情報が出てきます。

安全性を判断する場合には、まず厚生労働省、PMDA、国立感染症研究所や学会などの一次情報に近い資料を確認し、そのうえで複数の情報を比較する方法が適しています。

特に「この成分が入っているから毒」「接種後にこの病気になった人がいるから必ず原因はワクチン」といった説明では、量や因果関係が省略されていないかを見る必要があります。

逆に「絶対安全で副作用は一切ない」という説明も信用しすぎないほうがよいでしょう。医薬品には利益とリスクの両方があり、その情報を公開して比較することが重要です。

まとめ:インフルエンザワクチンにも副反応はあるが、成分・リスクは公開され監視されている

季節性インフルエンザワクチンは、新型コロナワクチンとすべて同じ製法・成分というわけではありません。日本で従来から広く使われている注射タイプのインフルエンザHAワクチンは不活化ワクチンで、製品ごとの有効成分や添加剤はPMDAの添付文書で確認できます。[参照:PMDA]

インフルエンザワクチンを「何が入っているか分からない注射」と考える必要はありませんが、「副作用が絶対にない安全な注射」と考えるのも正確ではありません。

よくある副反応は接種部位の痛み、赤み、発熱、頭痛、筋肉痛、倦怠感などで、多くは軽く短期間で改善します。一方、アナフィラキシーやギラン・バレー症候群など重い副反応が非常にまれに起こる可能性はあり、厚生労働省では接種後の副反応疑い報告を継続して収集・評価しています。[参照:厚生労働省]

CDCの安全性監視では、インフルエンザワクチン後にギラン・バレー症候群のリスク増加が確認されるシーズンでも、追加リスクは100万回接種あたり約1~2例程度とされています。またインフルエンザ感染後にもGBSは起こり得ます。[参照:CDC]

接種するかどうかは、「ワクチンの副反応だけ」でも「インフルエンザの危険性だけ」でもなく、両方を比較して決めることが大切です。過去にワクチンで強い副反応があった、重いアレルギーがある、持病があるなど個別の事情があれば、接種前に医師へ相談してください。

成分そのものが不安なら、接種予定の医療機関に製品名を確認し、PMDAの添付文書を見てから判断することもできます。安全性について納得できる情報を自分で確認したうえで接種の可否を考えるのが、最も現実的な方法です。

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