外耳炎のとき鼻をつまんで息を吐くと耳で剥がれるような音がする原因は?耳抜き・耳管との関係と対処法

耳の病気

外耳炎と診断されたあと、鼻をつまんで息を吐こうとしたときに、耳の奥で「ペリッ」「パリッ」「何かが剥がれるような感じ」がすることがあります。こうした感覚があると、外耳炎でできたかさぶたや鼓膜が剥がれているのではないかと不安になるかもしれません。

鼻をつまんで息を吐こうとする動作は「バルサルバ法」と呼ばれ、鼻の奥と中耳をつなぐ耳管を通して鼓膜の内側の圧力を変化させます。そのため、耳管が開く音や鼓膜が圧力によって動く感覚を「何かが剥がれたような音」と感じることがあります。

一方、外耳炎は主に鼓膜より外側にある外耳道の皮膚に起こる炎症です。外耳炎そのものと耳抜き時の音が直接同じ原因とは限らず、耳管機能の変化、中耳の圧力、外耳道の腫れや分泌物などが同時に関係している可能性があります。

この記事では、鼻をつまんで息を吐いたときに耳で音がする仕組み、外耳炎との関係、耳抜きを繰り返してよいのか、耳鼻咽喉科へ再受診したほうがよい症状について解説します。

鼻をつまんで息を吐く動作は「バルサルバ法」

鼻を指でつまみ、口も閉じた状態で息を外へ吐こうとすると、鼻の奥に圧力がかかります。この方法はバルサルバ法と呼ばれています。

鼻の奥には「耳管」という細い管があり、中耳と上咽頭をつないでいます。耳管には、鼓膜の内側と外側の気圧を調整する役割があります。

飛行機の離着陸や高い場所へ移動したときに耳が詰まり、つばを飲み込んだり耳抜きをしたりすると「ポン」と抜けることがありますが、これも耳管による圧力調整です。

Cleveland Clinicでも、耳管は鼓膜の内外の圧力を調節する働きがあり、耳管が開閉するとポッピング音やクリック音を感じることがあると説明されています。[参照:Cleveland Clinic]

「何かが剥がれるような音」は耳管や鼓膜の動きの可能性がある

バルサルバ法を行った際には、中耳へ空気が送り込まれて鼓膜の内側の圧力が変化します。このとき耳管が開いたり鼓膜がわずかに動いたりすることで、パリッ、ペリッ、プチッなどの音として感じることがあります。

耳管が少し詰まっている状態では、空気が通った瞬間に音が強く感じられることもあります。風邪、鼻炎、アレルギーなどによって耳管周辺が腫れている場合には、耳の圧迫感やポッピング音を伴うことがあります。

したがって、音がしただけで「鼓膜や耳の組織が実際に剥がれている」と判断することはできません。

ただし、音と同時に強い痛み、突然の聞こえにくさ、めまいなどが出た場合には、単なる耳管の開閉音として自己判断せず耳鼻咽喉科で確認する必要があります。

外耳炎とはどの部分に起こる病気?

外耳炎は、耳の入口から鼓膜まで続く「外耳道」の皮膚に炎症が起こる病気です。細菌感染などによって痛み、かゆみ、腫れ、耳だれなどが起こります。

MSDマニュアルでは、急性外耳炎は主に外耳道の皮膚に起こる感染症であり、症状として耳痛、耳だれ、外耳道が腫れた場合の難聴などがみられると説明されています。[参照:MSDマニュアル]

日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会も、外耳炎による外耳道の腫れや分泌物が鼓膜へ付着することで、耳のつまり感が生じる場合があると説明しています。[参照:日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会]

一方、バルサルバ法によって主に変化するのは鼓膜の内側にある中耳の圧力です。そのため外耳炎と耳抜き時の音は、解剖学的には別の場所で起きている可能性があります。

外耳炎でも耳が詰まったように感じることがある

外耳炎で外耳道が腫れて狭くなると、音が通りにくくなり「耳に蓋をされた」「水が入った」ように感じる場合があります。

さらに分泌物、耳垢、点耳薬などが外耳道にあると、耳の中で音が響いたり、動いたときにパリパリした感覚を覚えたりすることも考えられます。

そのため「外耳炎の診断後に耳の音が増えた」という場合でも、音の原因を耳管だけに限定することはできません。

耳鼻咽喉科では耳鏡などを使って外耳道と鼓膜を直接観察できるため、症状が続く場合は再診すると原因を確認しやすくなります。

耳管機能の問題が同時に起きている可能性もある

耳のつまりやポコポコ音、クリック音などは、耳管機能障害でもみられます。

日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会では、風邪などによって鼻の奥と耳をつなぐ耳管が腫れると、中耳の空気圧をうまく調整できず「耳が詰まる」症状が起こることを説明しています。[参照:日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会]

例えば外耳炎と同じ時期に鼻風邪やアレルギー性鼻炎があれば、外耳道の炎症とは別に耳管も腫れている可能性があります。

外耳炎と診断されたから、現在起きている耳の症状がすべて外耳炎によるものとは限りません。症状の変化は診察した医師へ伝えることが大切です。

何度も強く耳抜きするのは避けたほうがよい

耳で音がすることが気になると、「もう一度やれば確認できるかも」と何度も鼻をつまんで強く息を送り込みたくなるかもしれません。

しかし、必要以上に強いバルサルバ法を繰り返すことはおすすめできません。中耳へ急激な圧力がかかるためです。

MSDマニュアルでも、バルサルバ法で耳管を通して中耳へ空気を送ることができる一方、行う場合は穏やかに行うことが前提となっています。[参照:MSDマニュアル]

特に現在耳の病気で治療中なら、自己判断で何度も耳抜きをするのではなく、耳鼻咽喉科の医師に「耳抜きをしてよい状態か」を確認するのが安全です。

耳の圧迫感には飲み込む・あくびなどの穏やかな方法もある

単純な圧力差による耳のつまりであれば、必ず強く鼻から空気を送り込む必要はありません。

耳管は通常、飲み込む、あくびをする、噛むといった動作でも開きます。そのため軽い耳のつまりなら、つばを飲み込む、あくびをするなどで自然に圧力が調整されることがあります。

Cleveland Clinicでも、耳の圧力を調整する方法として、飲み込む、あくびをする、ガムを噛むなどが紹介されています。[参照:Cleveland Clinic]

ただし外耳炎の治療中に耳閉感が強い場合、耳管ではなく外耳道の腫れが原因である可能性もあるため、何度耳抜きしても改善しないことがあります。

外耳炎の治療中は耳をいじらないことが重要

外耳炎は、綿棒、耳かき、指などによる刺激がきっかけになったり、炎症を悪化させたりすることがあります。

耳の中で剥がれるような感覚がすると、「かさぶたがあるのでは」と綿棒などで確認したくなりますが、外耳道の皮膚は炎症によって傷つきやすい状態です。

MSDマニュアルでも、外耳炎では耳を乾燥した状態に保つことや、耳道への刺激を避けることが治療・予防上重要とされています。[参照:MSDマニュアル]

耳垢やかさぶたを自分で取り除こうとせず、処方された点耳薬などがある場合は指示どおり使用しましょう。

点耳薬を使っている場合も自己判断で中止しない

外耳炎では、抗菌薬やステロイドなどを含む点耳薬が処方されることがあります。

点耳後に耳が塞がったように感じたり、液体が動く音がしたりすることがありますが、それだけを理由に薬を中止すると十分な治療ができない場合があります。

反対に、点耳した直後から激しい痛み、強いめまいなどが出る場合は、使用を続ける前に処方した医療機関へ連絡したほうがよいでしょう。

鼓膜に穴がある場合に使用できない点耳薬もあるため、市販の液体や消毒薬などを自己判断で耳へ入れることは避けてください。

鼻を強くかむことにも注意する

耳管は鼻の奥と中耳をつないでいるため、鼻を強くかむと中耳へ大きな圧力がかかることがあります。

鼻水がある場合でも、両方の鼻を同時に強くかむのではなく、片側ずつ無理のない強さでかむほうが安全です。

特に風邪や鼻炎がある状態では耳管周囲も腫れている可能性があるため、何度も強く耳抜きを繰り返すことは避けましょう。

鼻症状も同時にある場合には、外耳炎の再診時に医師へ伝えておくと耳管や中耳の状態も確認してもらいやすくなります。

外耳炎のとき耳に水を入れない

外耳炎では、外耳道へ水が入り続けると治りにくくなることがあります。入浴やシャワーの際には、耳へ大量の水が入らないよう注意します。

ただし耳栓を深く押し込むなど、外耳道を刺激する方法がかえって悪化させることもあります。具体的な防水方法については治療している医師から指示がある場合、その方法を優先してください。

プールや水泳についても、炎症が治るまで控えるよう指示されるケースがあります。

外耳炎の治療では「耳の中を自分で洗って清潔にする」のではなく、むしろ余計な刺激や水分を避けることが基本です。

耳抜き後に強い痛みや難聴が出たら再受診する

耳抜きをした直後に軽く「ポン」と音がする程度なら、耳管が開いたことで説明できる場合があります。

しかし、強い痛みが突然出た、急に聞こえにくくなった、耳鳴りが強くなったなどの場合は、鼓膜や中耳・内耳の問題がないか確認する必要があります。

急激な圧力変化によって鼓膜や中耳に負担がかかる状態は「耳の圧外傷」と呼ばれます。MSDマニュアルでは、中耳と外界の圧力差が大きくなることで耳痛や鼓膜障害が生じることがあると説明されています。[参照:MSDマニュアル]

違和感を確認する目的で強い耳抜きを繰り返し、そのたびに痛みが増える場合は中止して耳鼻咽喉科へ相談してください。

聞こえ方の変化がある場合も耳鼻咽喉科へ

外耳炎による外耳道の腫れだけでも、一時的に聞こえにくくなる場合があります。しかし耳の聞こえにくさには中耳や内耳の病気でも起こるものがあります。

日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会では、耳のつまり感が外耳、中耳だけでなく、突発性難聴など内耳の病気によって生じることもあると説明しています。[参照:日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会]

「外耳炎だから聞こえにくいだけだろう」と自己判断せず、片耳が突然聞こえにくくなった場合や、耳鳴り・めまいを伴う場合には早めの診察が重要です。

特に急激な聴力低下は、治療開始のタイミングが重要になる疾患もあります。

こんな症状があれば早めに再診したい

外耳炎の治療中で次のような状態がある場合には、処方を受けた耳鼻咽喉科へ連絡または再受診を検討してください。

症状 確認したい理由
耳の痛みが強くなっている 外耳炎の悪化などを確認
耳だれが増えた・血が出る 外耳道や鼓膜の状態を確認
急に聞こえにくくなった 中耳・内耳の問題も確認するため
強い耳鳴りやめまい 内耳などの評価が必要な場合がある
耳抜きで強い痛みが出た 鼓膜や中耳への圧力の影響を確認
治療しても改善しない 診断・薬・耳道の状態を再評価

糖尿病がある人や免疫機能が低下している人で外耳炎の痛みが非常に強い場合には、通常の外耳炎とは異なる重い感染症が問題になることもあるため、早めの医療相談が重要です。

自宅でできる対処は「余計な刺激を加えない」ことが中心

外耳炎の診断を受けている場合、自宅では処方された薬を指示どおり使用し、耳の中をいじらないことが基本です。

鼻をつまんで息を吐くたびに音がするからと、確認目的で何度もバルサルバ法を繰り返す必要はありません。耳の圧迫感が軽い場合は、飲み込む、あくびをするなど自然な耳管の開閉を利用できます。

また綿棒、耳かき、指などを耳の中へ入れず、入浴時にはできるだけ耳へ水を入れないようにします。

症状の原因を自宅で完全に判別することは難しいため、「外耳炎を治療しているのに今までなかった音や感覚が出ている」と診察した耳鼻咽喉科へ伝えることも有効です。

まとめ:剥がれるような音は耳管や鼓膜の動きでも起こる。強い耳抜きは繰り返さない

鼻をつまみ、口を閉じて息を吐こうとする動作はバルサルバ法と呼ばれます。この動作では鼻の奥から耳管を通じて中耳へ圧力が伝わるため、耳管が開いたり鼓膜が動いたりした際に、パリッ、ペリッ、ポコッといった音や「何かが剥がれたような感覚」を覚えることがあります。

そのため、音がしただけで鼓膜や耳の組織が実際に剥がれているとは限りません。また外耳炎は主に鼓膜より外側の外耳道に起きる病気なので、耳抜き時の感覚には外耳炎だけでなく耳管や中耳の圧力変化が関係している可能性があります。

一方、外耳炎による外耳道の腫れや分泌物でも耳のつまり感や聞こえ方の変化が生じます。日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会も、耳閉感は外耳炎、耳管機能障害、中耳炎、内耳疾患などさまざまな原因で起こることを説明しています。[参照:日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会]

対処としては、確認のために何度も強く耳抜きをすることは避け、処方された外耳炎の治療を続け、耳の中を綿棒や指で触らないようにします。耳の圧迫感が軽い場合は、つばを飲み込む、あくびをするといった穏やかな方法で耳管が自然に開くことがあります。

耳抜きの際に強い痛みがある、急に聞こえにくくなった、耳鳴り・めまい・出血・耳だれなどがある場合には、自己判断で耳抜きを続けず耳鼻咽喉科へ再度相談してください。すでに外耳炎を診察してもらった医療機関があるなら、「鼻をつまんで息を吐くと剥がれるような音がする」と具体的に伝えると、外耳道だけでなく鼓膜や中耳の状態も確認してもらえます。

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