気分の浮き沈みが激しい場合、「双極性障害なのか、それとも境界性パーソナリティ障害なのか分からない」と悩む人は少なくありません。実際に両者は症状が似ている部分もありますが、気分変動の特徴や原因、治療方針には違いがあります。この記事では、双極性障害と境界性パーソナリティ障害の違い、併発の可能性、診断が難しい理由について解説します。
双極性障害と境界性パーソナリティ障害は何が違うのか
双極性障害は気分障害の一種で、躁状態や軽躁状態とうつ状態を繰り返す疾患です。一方、境界性パーソナリティ障害は対人関係や自己イメージ、感情のコントロールに大きな困難を抱えるパーソナリティ障害に分類されます。
どちらも感情の起伏が激しく見えることがありますが、その変動パターンには違いがあります。
| 項目 | 双極性障害 | 境界性パーソナリティ障害 |
|---|---|---|
| 気分変動の期間 | 数日〜数か月続くことが多い | 数時間〜1日単位で変化することが多い |
| きっかけ | 明確な理由がなく起こることがある | 対人関係や出来事の影響を受けやすい |
| 主な特徴 | 躁状態とうつ状態 | 感情の不安定さや見捨てられ不安 |
| 治療 | 気分安定薬が中心 | 精神療法が中心 |
気分の波の大きさは同じなのか
境界性パーソナリティ障害でも非常に強い感情の変化が起こることがあります。怒りや不安、絶望感、孤独感などが短時間で大きく変化するため、本人にとっては双極性障害と同じくらい苦しい場合もあります。
しかし、一般的には双極性障害の躁状態やうつ状態は一定期間持続する傾向があります。例えば、数週間ほとんど眠らなくても元気に活動し続けたり、逆に数週間から数か月にわたり抑うつ状態が続いたりします。
一方で境界性パーソナリティ障害では、人間関係のトラブルや些細な出来事をきっかけに、その日のうちに気分が大きく変化することがあります。
双極性障害でみられる躁状態の特徴
双極性障害の診断では、単に気分が良いだけではなく、軽躁状態や躁状態に特徴的な症状が重要視されます。
- 睡眠時間が極端に少なくても平気になる
- 活動量が急激に増える
- 自信が過剰になる
- お金を使いすぎる
- 次々と新しい計画を立てる
- 会話量が増える
例えば、数日間ほとんど眠らずに仕事やアルバイトの予定を詰め込み続けても疲れを感じない状態は、躁状態や軽躁状態として評価されることがあります。
境界性パーソナリティ障害でみられる特徴
境界性パーソナリティ障害では感情の不安定さだけでなく、対人関係に関する特徴もみられます。
- 見捨てられることへの強い不安
- 対人関係が極端になりやすい
- 自己評価が安定しない
- 衝動的な行動を取りやすい
- 空虚感を抱きやすい
- 自傷行為や希死念慮がみられることがある
ただし、これらの特徴があるからといって必ず境界性パーソナリティ障害とは限らず、専門的な評価が必要です。
双極性障害と境界性パーソナリティ障害は併発することもある
精神科領域では、双極性障害と境界性パーソナリティ障害が併存するケースも報告されています。
実際には、最初は双極性障害と診断され、その後の経過から境界性パーソナリティ障害の特徴が明らかになることもあります。逆に、境界性パーソナリティ障害と考えられていたものの、後に双極性障害が判明するケースもあります。
若年期は症状が変化しやすく、診断が確定するまでに時間がかかることも珍しくありません。
診断に迷いがあるときの考え方
精神疾患の診断は血液検査などで確定できるものではなく、症状の経過や生活状況、診察での観察を総合して判断されます。
そのため、異なる医療機関で異なる診断名が示されることもあります。重要なのは診断名だけではなく、自分にどのような症状があり、どのような治療が効果的かを継続的に確認することです。
気分の変化や睡眠時間、活動量、希死念慮の有無などを記録しておくと、診断や治療方針の検討に役立つ場合があります。
まとめ
双極性障害と境界性パーソナリティ障害は、どちらも気分の波が大きくなることがありますが、その変動の期間や特徴には違いがあります。双極性障害は数日から数か月続く躁状態とうつ状態が特徴であり、境界性パーソナリティ障害は対人関係や出来事の影響を受けながら短時間で感情が変化しやすい傾向があります。
また、両者が併発する可能性もあり、診断が難しいケースも少なくありません。診断名だけにとらわれず、現在の症状や困りごとを主治医と共有しながら、自分に合った治療を継続していくことが大切です。
[参照] 厚生労働省 e-ヘルスネット 双極性障害
[参照] 厚生労働省 パーソナリティ障害について


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