カウンセリングや心理検査で「木や家、川など自由に絵を描いてください」と言われた経験がある人は、なぜ絵を描くだけで心の状態が分かるのか疑問に感じることがあります。
しかし、このような絵を使った方法は、単純に絵の上手さを見るものではありません。本人が言葉にしにくい気持ちや考え方、物事の捉え方を理解するための心理的な手法として利用されています。
この記事では、カウンセリングで行われる絵を描く課題の意味や、どのように心理状態を理解するために使われるのかについて解説します。
カウンセリングで絵を描く目的は「診断」ではなく理解すること
カウンセリングで行われる絵の課題は、描いた内容だけを見て「あなたは○○です」と判断するためのものではありません。
絵を描く過程や、その人がどのような気持ちで描いたのか、描いた後にどんな説明をするのかなど、さまざまな情報を合わせて本人を理解するために使われます。
例えば、同じ「木」を描く課題でも、大きな木を描く人、小さな木を描く人、細かく色を塗る人、シンプルに描く人など表現方法はさまざまです。そこには、その人の性格やその時の心理状態が表れることがあります。
木・家・川を描く課題にはどんな意味があるのか
木、家、川などを描く課題は、心理検査やカウンセリングで使われることがある方法の一つです。代表的なものとして「風景構成法」などがあります。
風景構成法では、決められた要素を含む風景を描いてもらうことで、本人の内面や環境との関わり方を理解する手がかりにします。
ただし、「木が小さいから自信がない」「家が大きいから家庭が重要」といった単純な読み取りをするものではありません。絵の特徴だけで心理状態を断定することはできません。
絵の上手さやリアルさは心理状態を判断する基準ではない
絵を描く時に「下手に描きたくない」「きれいな作品にしたい」と考える人は多くいます。しかし、心理検査では芸術作品を作ることが目的ではありません。
むしろ、どのように取り組んだのか、どんな部分にこだわったのか、描きながら何を感じたのかといった部分も大切な情報になります。
例えば、時間をかけて細部まで丁寧に描く人の場合も、それだけで完璧主義と決めつけることはできません。その人が「安心するために丁寧に描いた」のか、「評価されるのが怖かった」のかによって意味は変わります。
カウンセラーは絵から何を見ているのか
カウンセラーが絵を見る時は、単に描かれた物だけではなく、その人との会話を重視します。
例えば、「なぜこの色を使ったのか」「描いていてどんな気持ちだったか」「この場所には誰が住んでいるのか」などを聞くことで、その人の感じ方や考え方を理解していきます。
同じ風景でも、ある人にとっては安心できる場所であり、別の人にとっては孤独を感じる場所かもしれません。重要なのは絵そのものより、本人がその絵にどんな意味を持たせているかです。
絵を描いたのに病気が分からなかったように感じる理由
絵を使った心理検査を受けた後、「何のためだったのか分からなかった」と感じる人もいます。
これは、絵を描く課題が病気を直接見つける検査ではなく、本人の状態を理解するための一つの材料だからです。診断は、面談や生活状況、症状の経過など、複数の情報をもとに総合的に判断されます。
例えば、カウンセリング時には大きな問題が見えなくても、その後に気分の落ち込みや生活上の困難が明確になり、医療機関でうつ病などの診断につながる場合もあります。
絵を使った心理検査は現在でも意味があるのか
現在の心理支援では、絵だけで人の心を判断する考え方は一般的ではありません。しかし、言葉で自分の気持ちを表現することが苦手な人にとって、絵は大切なコミュニケーション手段になることがあります。
特に子どもや、自分の感情を説明することが難しい人の場合、絵をきっかけに会話が広がることがあります。
絵は心を読み取る魔法の道具ではありませんが、その人自身を理解するための入り口として役立つことがあります。
まとめ:カウンセリングの絵は心を知るための会話のきっかけ
カウンセリングで木や家、川などを描く課題は、絵の内容だけで性格や病気を判断するものではありません。
描く過程や本人の感じたこと、絵について話す内容などを通じて、その人の内面や悩みを理解するために利用されています。
当時「謎の時間だった」と感じたとしても、その絵を描いた経験はカウンセラーがあなたを理解するための一つの手がかりになっていた可能性があります。心理検査は答え合わせではなく、本人と支援者が一緒に心の状態を整理していくための方法なのです。


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