発達障害のASDがある人の中には、「正社員はその仕事に興味がないと無理なのでは」「誇りを持てないと続かないのでは」と不安を感じる人も少なくありません。特に正社員経験がない場合、“社会人として働くイメージ”が強くなりすぎて、ハードルが高く見えてしまうことがあります。しかし実際には、すべての人が強い情熱や天職意識を持って働いているわけではありません。この記事では、ASD傾向がある人が感じやすい仕事観や、「しょうがなく働く」ことへの不安について整理しながら解説します。
正社員=強い情熱が必要、とは限らない
「正社員になる人は、その仕事に強い興味や誇りを持っている」というイメージを持つ人は多いですが、実際はかなり幅があります。
もちろん、やりたい仕事を選んで働いている人もいますが、「生活のため」「条件が合っていた」「なんとなく続いている」という理由で働いている人も少なくありません。
特に社会人経験が少ないと、“仕事に対して強い使命感が必要”に見えてしまうことがあります。
実際によくある働く理由
| 理由 | 内容 |
|---|---|
| 生活費のため | まず安定収入を優先 |
| 条件が合った | 勤務時間や通勤距離など |
| なんとなく続いた | 気づけば長く働いていた |
| 人間関係が楽 | 仕事内容より環境重視 |
“大好きな仕事だから続く”人ばかりではない、というのは意外と現実的な話です。
ASDの人は“仕事への理想像”が強くなりやすいこともある
ASD傾向がある人は、物事を真面目に考えやすく、「正社員とはこうあるべき」というイメージを強く持つことがあります。
例えば、「後輩に教えられるくらい詳しくないといけない」「誇りを持てない仕事は続けてはいけない」と感じてしまうケースがあります。
しかし実際の職場では、最初から完璧な人はほとんどいません。
多くの人は、働きながら少しずつ覚えたり、慣れたりしながら仕事を続けています。
ASDの人が感じやすい仕事への不安
- 完璧にできないとダメだと思う
- 興味が薄いと続ける資格がない気がする
- ミスを極端に恐れる
- “社会人らしさ”を意識しすぎる
そのため、「興味がないと働けない」というより、“働くことへの理想が高くなりすぎている”場合もあります。
“しょうがなく働く”から始まる人も多い
現実には、「最初からやりたい仕事だった」という人ばかりではありません。
むしろ、「生活のために始めたけど、慣れていくうちに居心地が悪くなくなった」という人も多くいます。
例えば、最初は仕事内容に興味が薄くても、次第に次のような要素で働きやすさを感じることがあります。
- 人間関係が落ち着いている
- 作業手順が決まっている
- 一人作業が多い
- 得意分野が活かせる
- ルーティン化できる
特にASD傾向がある人は、“仕事内容そのもの”より、“環境との相性”が働きやすさに大きく影響することがあります。
「人に教えなきゃいけない」は全員に求められるわけではない
正社員になると、「将来は後輩指導をしなきゃいけない」と不安になる人もいます。
しかし実際には、すべての正社員が管理職や教育担当になるわけではありません。
職場によっては、専門作業を黙々と続けるタイプの社員もいます。
また、教えることが苦手でも、「手順書を作るのが得意」「細かい確認が得意」など、別の形で貢献している人もいます。
ASDの特性が活きやすい仕事環境
| 特徴 | 例 |
|---|---|
| ルールが明確 | マニュアルが整っている |
| 作業が一定 | ルーティン業務が多い |
| 対人負荷が少ない | 一人作業中心 |
| 専門性重視 | 細かい確認が必要な業務 |
「正社員=万能でなければいけない」というわけではありません。
“続けられる働き方”を探す視点も大切
ASDがある人は、「普通に働けるか」だけに意識が向きやすいですが、本当に大切なのは“長く続けられるか”という視点です。
例えば、強い興味がなくても、ストレスが少なく体調を崩しにくい職場のほうが結果的に安定する場合があります。
また、最初から正社員だけを目指さず、契約社員やアルバイト、就労移行支援などを経由して仕事に慣れていく人もいます。
厚生労働省でも発達障害の就労支援について情報提供しています。[参照]
まとめ
正社員だからといって、全員が強い情熱や誇りを持って働いているわけではありません。
ASD傾向がある人は、「仕事とはこうあるべき」という理想を強く持ちやすく、その分ハードルを高く感じてしまうことがあります。
実際には、“しょうがなく始めた仕事”が結果的に合っていたという人もいます。大切なのは、「強く興味を持てるか」だけではなく、「無理なく続けられるか」「環境が合っているか」を含めて考えることです。


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