抗うつ薬を飲み始めても「効果がないのでは」と感じることは珍しくありません。特に職場や人間関係などの出来事が原因で気持ちが落ち込んでいると、薬だけでは改善が難しいケースもあります。本記事では、抗うつ薬の効果を実感できないときの理由や、出来事が原因の場合の向き合い方について詳しく解説します。
抗うつ薬の効果がすぐに感じられない理由
抗うつ薬は即効性のある薬ではなく、効果が出るまで数週間かかることが多いです。フルボキサミンをはじめとしたSSRIは、脳内のセロトニン量を調整し気分を安定させますが、体内のバランスが整うまで時間が必要です。
例えば、飲み始めて1か月程度では「効いているのか分からない」と感じる方が多く、効果が実感できるのは8週間前後というケースもあります。このため、短期間で効果を判断してしまうと「効かない」と誤解してしまうことがあります。
出来事が原因の場合、薬はどう作用するのか
抗うつ薬は外部の出来事そのものを変えることはできません。しかし、その出来事に対する心の反応を和らげる手助けになります。例えば、職場で嫌な体験をしても、薬を服用していることで「過度に自分を責めない」「落ち込みから早く回復する」といった効果が期待できます。
つまり、薬は出来事をなかったことにするのではなく、それに対する思考や感情の悪循環を和らげる役割を果たします。
薬だけでは不十分な場合の対処法
抗うつ薬の効果を最大限にするには、薬物療法とあわせて心理的アプローチを取り入れることが有効です。認知行動療法(CBT)やカウンセリングでは「自分を痛めつける思考の癖」を見直すサポートが受けられます。
例えば「失敗した自分は価値がない」という思考にとらわれる場合、カウンセリングでは「誰でも失敗する」「価値は失敗で決まらない」という新しい捉え方を学ぶことができます。
このように薬と心理療法を併用することで、より効果的に落ち込みから回復できる可能性があります。
服薬を自己判断でやめるリスク
効果がないと感じて自己判断で薬を中止することは危険です。抗うつ薬を急にやめると離脱症状(不安、めまい、頭痛など)が出ることがあります。また、症状が再び悪化するリスクも高まります。
もし効果を感じられない場合は、必ず主治医に相談しましょう。薬の量を調整したり、別の薬に切り替えることで改善が見られることもあります。
実際に「薬を変えたら気分が軽くなった」「量を増やしたら効果を感じた」というケースは多くあります。自己判断ではなく、医師と二人三脚で治療を進めることが大切です。
実際のケースの例
ある方は、フルボキサミンを1か月服用しても効果を感じられず落ち込んでいましたが、医師に相談し用量を調整した結果、3か月目から少しずつ気分が安定してきたそうです。
また別の方は、薬だけでは改善が乏しかったため、認知行動療法を取り入れたところ「嫌な出来事があっても自分を責めすぎなくなった」と話しています。薬と心理療法の併用で改善した例は少なくありません。
まとめ
抗うつ薬は出来事を消す薬ではなく、気持ちの落ち込みや不安の悪循環を和らげる薬です。効果が出るまでには数週間以上かかることも多く、短期間で判断するのは早計です。
出来事が原因であっても、薬によって「自分を痛めつける思考」から抜け出す助けを得られることがあります。ただし、効果が感じられない場合や不安が強い場合は、必ず主治医に相談し、薬の調整や心理療法との併用を検討することが大切です。
焦らずに治療を続け、必要であれば支援を受けながら回復を目指しましょう。
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