2024年の診療報酬改定により、PTSD(心的外傷後ストレス障害)の治療において、医師の指示に基づき公認心理師が行う心理支援に対して、診療報酬の加算がされることが決まりました。しかし、この新しい加算制度については、複雑性PTSDへの適用範囲や医療機関外での公認心理師への業務委託について疑問が生じています。この記事では、これらの疑問に対する答えを整理します。
①複雑性PTSDも加算対象となるのか?
診療報酬改定でのPTSDへの対応は、基本的には「心的外傷後ストレス障害」に関する治療を指します。しかし、複雑性PTSD(C-PTSD)についても含まれるかどうかは、正式な基準に記載されているわけではなく、治療の方法や指示の内容によって異なる可能性があります。
複雑性PTSDは、通常のPTSDに加えて、長期間にわたる心理的なトラウマや感情的な困難を伴うため、治療がより高度で専門的なアプローチを必要とすることがあります。したがって、診療報酬の加算が適用されるかどうかについては、医師の診断と指示内容に基づいて判断されるべきです。
②医療機関外の公認心理師への業務委託と加算対象
診療報酬の加算は、原則として医療機関内で行われる治療に対して適用されますが、医療機関外で公認心理師が業務委託された場合に加算が適用されるかについては、診療情報提供書や医師の指示書が適切に確認できれば、加算対象となる場合もあります。
ただし、この場合、支払いフローや契約内容によっては、加算を受けるために特別な手続きや書類が必要となる可能性があります。業務委託契約を結んだ場合でも、必ず医師の指示が文書で確認できる必要があり、その指示内容が診療報酬の基準に適合していることが求められます。
メンタルクリニックにおける外部連携の現状
多くのメンタルクリニックでは、心理士を直接雇わず、外部の公認心理師と連携しているケースが増えています。これは、外部連携を利用することで、診療コストを抑えつつ、患者に質の高い心理的支援を提供するためです。
診療報酬改定により、外部連携を利用している施設でも、公認心理師が行う心理支援に対して加算が適用される可能性があり、この制度が広がることで、より多くの患者が質の高い治療を受けやすくなることが期待されます。
まとめ
2024年の診療報酬改定によるPTSDに対する公認心理師の加算は、治療の質を向上させ、患者にとって大きなメリットとなる可能性があります。複雑性PTSDも対象となるかどうかは、医師の指示内容に依存しますが、医療機関外の業務委託についても、適切な手続きと指示書があれば加算対象となり得ます。これにより、外部連携を活用した治療の普及が進むことが期待されます。
コメント