長距離走をしていると、「胸のあたりがチクチク/鈍く重くなる」「腰のあたりがだるくなる・痛む」といった経験をする人は少なくありません。この記事では、なぜ走ることで胸や腰が痛くなるのか、その背景となる原因、実例、そして自分でできる対策を整理します。
胸まわりが痛くなる主な原因
胸部の痛みには、単なる筋肉疲労から呼吸・循環・筋膜・内臓などさまざまな要因があります。たとえば、「走っていて胸が痛む」ときには、肋間筋(肋骨と肋骨の間の筋肉)や胸郭周辺筋のけいれん・疲労がよく挙げられます。([参照](https://www.womenshealthmag.com/fitness/a19924212/chest‑pain‑while‑running/))
さらに、呼吸が苦しくなったり、心拍が上がったりする長距離走では、走り始めやペースを上げたときに「胸が苦しい・痛い」と感じる“運動誘発性気管支けいれん(EIB)”の可能性もあります。([参照](https://health.clevelandclinic.org/chest‑pain‑in‑young‑athletes‑when‑you‑should‑be‑concerned/))
腰・背中あたりの痛みが出る仕組み
腰の痛み、特に長距離を走っていると出てくるものは、走行フォーム・筋力バランス・反復動作による累積疲労が大きな関係を持っています。たとえば、骨盤が後傾になったり、ヒールストライク(かかとから着地)になったりすると、腰に負担がかかりやすくなります。([参照](https://www.nike.com/jp/en/a/lower‑back‑pain‑after‑running))
また、継続的な走行で背中や腰の筋肉・靭帯に微細な損傷が蓄積し、腰痛として表れるケースも多く報告されています。([参照](https://www.medicalnewstoday.com/articles/lower‑back-problems-when-running))
具体例で見る「胸や腰が痛くなった」ケース
例1:初めて10 kmを超えるランをした人が、5 kmあたりから「胸の右側がズキンとする」感じが出た。原因を詳しく調べたところ、呼吸が浅くなって胸の筋肉に負荷がかかっていたためでした。
例2:毎週30 km以上走るランナーが「腰のあたりが重く、後半走るのがつらい」と感じていたケース。フォームをチェックしたら、骨盤が後傾になっており、コア筋力低下と足の使い過ぎによる腰周辺の疲労が明らかになりました。
痛みを軽くするためにできる対策
胸・腰の痛みを和らげ、再発を防ぐために以下のポイントを意識しましょう。
- ウォームアップと呼吸法の見直し:走り始めに筋肉や胸郭を温め、呼吸を「2歩で吸って3歩で吐く」などリズムに整えることで胸の筋肉の負担を減らせます。
- フォームの改善・コア筋力強化:骨盤の位置・背中の姿勢・足の着地方法をチェック。背筋と腹筋などコア筋を鍛えると腰の負担が軽減されます。
- 距離・ペースの調整・疲労管理:急に長距離を走ったりペースを上げたりせず、徐々に負荷を増やしていくことが大切です。腰痛の原因として“過負荷”が挙げられています。([参照](https://www.hingehealth.com/resources/articles/lower‑back‑pain‑after‑running‑causes‑diagnosis‑treatments/))
例えば、週に1回のペースで走る距離を10 %ずつ増やし、フォームチェックや筋トレ日を設けたランナーは、腰の重さや胸の張りが軽減したという報告があります。
症状があるときに注意すべきサインと受診のタイミング
多くの場合、軽い胸・腰の痛みはフォームや疲労によるもので、休息とケアで改善します。ただし、次のような場合は専門医を受診する方が安心です。
- 胸が圧迫感・締め付け感・放散痛(腕・顎・背中へ)を伴う
- 腰の痛みが強く、走ると悪化・日常生活にも支障が出る
- 息切れ・めまい・しびれ・歩行困難といった症状を伴う
たとえば、胸痛に関しては“心臓関連”のリスクもゼロではなく、走っている最中の胸の痛みや動悸・呼吸困難がある場合は速やかな検査が推奨されます。([参照](https://cardiovascularcenter.com/patient-resources/blog/chest‑pain‑during‑exercise))
まとめ
長距離走で胸や腰が痛くなる背景には、〈呼吸・胸郭の筋肉負荷〉〈骨盤・背筋・フォームから来る腰の疲労〉などが関係しています。痛み=即「大きな病気」というわけではありませんが、休息・フォーム改善・筋力強化という基本を押さえることで改善できます。
ただし、痛みが強かったり、息苦しさ・しびれ・違和感があったりする場合は、軽視せず専門医に相談しましょう。安全に、快適に走り続けるためのランニングライフを応援します。


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