水虫(白癬)は、皮膚の常在菌バランスが崩れることで発症する真菌感染症です。具体的には、皮膚常在菌間相互抑制の低下が、白癬菌(トリコフィトン・ルブラムなど)の定着を助け、感染を引き起こす要因となります。今回は、水虫の発症メカニズムと皮膚常在菌の役割について詳しく解説します。
水虫とは?
水虫は、白癬菌によって引き起こされる皮膚感染症で、主に足や爪、手に発症します。白癬菌は皮膚の角質層に侵入し、角質を栄養源として増殖します。感染が進行すると、かゆみや発赤、水ぶくれなどの症状が現れます。
水虫は人から人へ感染することが多く、公共の場所(プールや温泉など)で感染することもあります。免疫力が低下していると感染しやすく、糖尿病や高齢者などが特に注意が必要です。
皮膚常在菌とその役割
皮膚には常在菌(皮膚に常に存在している微生物)が多数存在し、これらは正常な皮膚のバリア機能を維持するために重要な役割を果たしています。これらの常在菌は、病原菌や有害な微生物の繁殖を抑制し、皮膚の健康を保っています。
特に、コリネバクテリウムや表皮ブドウ球菌などの常在菌は、白癬菌を含む病原菌の定着を防ぐ働きがあり、相互に抑制することで皮膚の健康を維持しています。
水虫の発症と常在菌の相互抑制
水虫が発症するメカニズムの一つは、皮膚常在菌間相互抑制の低下です。通常、常在菌はお互いに競い合いながらバランスを保っていますが、ストレスや免疫力の低下、過度な洗浄などにより、このバランスが崩れることがあります。その結果、白癬菌が優位になり、皮膚に定着して感染を引き起こします。
特に、乾燥や湿気の多い環境は白癬菌が繁殖しやすく、また足の指の間や爪の周りなどの皮膚が密接に接している部位も感染しやすいです。
予防と治療方法
水虫を予防するためには、常に清潔で乾燥した環境を保つことが重要です。足や手を洗った後はしっかりと乾かし、湿気がたまりやすい部位に注意を払いましょう。また、公共の場で裸足で歩くことは避けるようにし、予防的に抗真菌薬を使用することも有効です。
治療に関しては、抗真菌薬(外用薬や内服薬)が有効です。白癬菌の感染が確認された場合、早期に治療を始めることで、感染の拡大を防ぐことができます。治療期間中は、感染部位の清潔を保ち、治療を継続することが重要です。
まとめ
水虫は、皮膚常在菌の相互抑制が低下することによって白癬菌が優位となり、発症します。予防には日常的なケアが欠かせません。また、早期発見と早期治療が鍵となります。水虫の症状に気づいたら、早めに医師に相談することをおすすめします。


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