就職済みで「今からでも発達障害を会社に伝えるべきか?」―一般雇用・障害開示のリアルと選び方

発達障害

大学を卒業し、一般雇用で就職した息子さん。検査で 発達障害 の疑いが出たものの、障害者手帳を取得する時間がなく、会社にも特に申告せず入社。しかし実際には「仕事ができない」「部署が自分に合っていない」と感じておられ、今になって「上司に話すべきか」という悩みに直面しています。この記事では、入社後に発達障害が明らかになった場合の「開示(オープン)」と「非開示(クローズ)」それぞれの選択肢、そのメリット・注意点、そして実際にどう判断し動くかのステップを解説します。

「開示」または「非開示」は義務ではない

まず知っておくべきは、一般雇用枠で働く場合、発達障害を会社に伝えるかどうかは本人の任意であるということです。実際に、あるガイドブックには「勤務先へ伝えるかどうかは自分で決めていい」と明記されています。[参照]

つまり「今からでも伝えるべきか」という問いに対しては、“絶対に伝えなければならない”というわけではないことをまず理解しておきましょう。

伝えるメリットとデメリット

伝えることで得られる主なメリットとしては、職場での合理的配慮を受けやすくなる自身の特性を理解してもらえる機会が増えるという点があります。[参照]

一方でデメリットもあります。たとえば、理解が十分でない職場では「差別・偏見を受けるのでは」という不安が残ること、また障害を理由に配置が制限される可能性を懸念する声もあります。[参照]

実例で見る「今から伝える」選択肢の流れ

例えば、Aさん(25歳・一般雇用)は入社1年後、発達障害の診断を受けました。部署でどうしてもミスが減らず疲弊していたため、上司へ相談し「作業指示を文書で出してもらう」「静かな席に変更してもらう」など合理的配慮をお願いし、配慮後はミスが激減し定着しました。

一方Bさん(23歳)は「言わずに頑張るべき」と思って大型商社に就職しましたが、1年で心身を崩し転職に至ったというケースもあります。これは、環境が合わず配慮がなかったため、ミスマッチを起こした典型例です。

判断のポイント:どういう状態なら“伝えたほうがよい”か?

次のような状況では、「今からでも会社に伝える」選択を真剣に検討すべきです。

  • 特性による困難(頻繁なミス・業務が著しく遅れる・周囲とのコミュニケーションが困難)が継続している
  • 部署や仕事の内容が明らかに自分の特性に合っていないと感じる
  • 合理的配慮(例:作業環境・指示の出し方・勤務時間)があれば改善しそうであると判断できる

逆に、「部署の仕事に慣れてきた」「大きな支障なく進められている」「自分なりに工夫ができている」のであれば、当面は非開示で様子を見るという選択肢もあります。

伝える場合の実務的な流れと注意点

伝えると決めた場合、次の流れが参考になります。

  1. 信頼できる上司または人事部との面談を申し込む
  2. 自分の特性・困りごと・希望する配慮を整理しておく(できるだけ具体的に)
  3. 面談後、配慮内容・実施時期・フォローアップについて合意をとる

注意点としては、診断名に頼るだけでなく「具体的な困りごと」「自分の役割に対してどう影響しているか」を説明できるよう準備しておくことが重要です。また、障害者手帳が無くても一般就労枠で配慮を依頼できるケースがあります。[参照]

まとめ

こうした背景から、就職後に発達障害が判明した場合でも、会社に「今から伝える」ことは十分に可能であり、むしろ働きづらさを軽くするための合理的な選択肢となり得ます。一方で、伝える・伝えないは本人の特性や職場環境・今の状況を踏まえて慎重に選ぶべきです。

息子さんの場合、「2年間頑張ってきた」「特性のある部署だった」と感じているのであれば、まずは『自分が困っていること』『配慮があれば改善できそうなこと』を整理し、家族・専門機関・職場相談窓口などとも話しながら、「いつ・どう伝えるか」を計画しておくと安心です。

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