大切な家族が自殺未遂をした経験は、本人だけでなく支える家族の心にも大きな衝撃を残します。表面上は状況が落ち着いたように見えても、時間が経ってから突然不安になったり、当時の光景がよみがえったり、涙が止まらなくなったりすることがあります。
この記事では、家族の自殺未遂を経験した後に起こるフラッシュバックや強い不安の原因、家族自身が心を守るためにできること、周囲や医療機関との関わり方について解説します。
家族の自殺未遂後に心の不調が出ることは珍しくありません
家族が自殺を図るという出来事は、日常生活の中で経験する一般的なストレスとは大きく異なる強い精神的ショックになります。特に、発見した時の状況やその後の対応が強烈な記憶として残ることがあります。
そのため、しばらく時間が経ってから、突然当時の場面を思い出す、同じような状況になると強い恐怖を感じる、眠っている時に悪夢を見るといった反応が起こる場合があります。
これは「心が弱いから起こる」というものではありません。大きな出来事から自分を守ろうとして、脳が危険な記憶を強く保持している状態とも考えられます。
フラッシュバックや不安が起こる理由
強い恐怖やショックを経験すると、脳はその出来事を通常とは違う形で記憶することがあります。その結果、現在は安全な状況でも、過去の出来事をまるで今起きているかのように感じることがあります。
例えば、家族が一人でいる時間になると「また何か起きるのではないか」と強く不安になる場合があります。これは、以前の経験から脳が危険を予測して警戒しているためです。
また、支える側の家族は本人の回復を優先するあまり、自分の感情や疲労を後回しにしてしまうことがあります。緊張状態が長く続いた後、状況が落ち着いたタイミングで心身の症状が出ることもあります。
家族だからこそ自分自身のケアも必要
精神的な問題を抱えている本人だけでなく、支えている家族にもケアが必要です。家族が元気でいることは、結果的に本人を支える力にもなります。
「自分がもっとしっかりしなければ」「家族なのだから耐えなければ」と考え続けると、自分の限界に気づきにくくなります。
例えば、仕事に行けないほど不安が強い、眠れない日が続く、突然涙が出る、日常生活に影響が出ている場合は、自分の状態についても医療機関へ相談することが大切です。
医療機関では家族の相談も重要な治療の一部
家族の心の状態を医師に相談することは、決して大げさなことではありません。家族がどのような不安を抱えているかを共有することで、本人への支援方法や家庭での過ごし方についても適切な助言を受けられます。
診察まで期間が空いている場合でも、症状が強い時は病院へ連絡し、予約を早められないか相談する方法があります。
診察時には、以下のような内容をメモして伝えると状況を理解してもらいやすくなります。
- フラッシュバックが起こる頻度
- 不安が強くなる場面
- 睡眠の状態
- 仕事や家事への影響
- 食欲や体調の変化
家族ができる具体的な不安への対処方法
強い不安が出た時は、「考えないようにする」と無理に抑え込むより、現在は安全であることを確認する方法が役立つ場合があります。
例えば、以下のような方法があります。
- ゆっくり呼吸をして体の緊張をゆるめる
- 今見えるものや聞こえる音を確認して現在に意識を戻す
- 不安な気持ちを紙に書き出す
- 信頼できる人に気持ちを話す
また、家族の安全を心配する気持ちは自然ですが、常に監視し続ける状態になると、支える側が疲れ切ってしまいます。医師と相談しながら、本人の自立と家族の安心のバランスを探すことが大切です。
本人の回復と家族の安心を両立するために
精神疾患から回復している家族を見ると、「もう大丈夫なはず」と思う一方で、過去の経験から不安が消えないことがあります。
しかし、回復には本人だけでなく家族にも時間が必要です。大きな出来事を経験した後、以前と同じ精神状態にすぐ戻れないのは自然な反応です。
例えば、事故に遭った人がその場所を怖く感じるように、心に大きな傷を負った人が似た状況を怖く感じることもあります。少しずつ安心できる経験を積み重ねることが回復につながります。
まとめ|家族の心のケアも大切な回復への一歩
家族の自殺未遂を経験した後に、フラッシュバックや強い不安、涙が止まらないといった症状が出ることはあります。それは弱さではなく、大きな衝撃を受けた心が反応している状態です。
本人の治療を支えることと同じくらい、支える家族自身の心を守ることも重要です。つらい症状が続く場合は、医療機関に相談し、必要なサポートを受けることをためらわないようにしましょう。
一人で抱え込まず、家族全員が無理なく回復していける環境を作ることが、長期的な安心につながります。


コメント