ASD(自閉スペクトラム症)や不安障害と診断されている人の中には、「うつ病の症状に似ている気がする」と感じる人も少なくありません。絶望感や無価値感、無気力、集中力の低下、過眠などはうつ病でも見られる症状ですが、必ずしもうつ病だけに見られるものではありません。この記事では、ASDや不安障害とうつ病の違いや、似た症状が現れる理由について解説します。
ASDや不安障害でもうつ病に似た症状は現れることがある
絶望感や無価値感、無気力、集中力の低下といった症状は、うつ病の代表的な症状として知られています。
しかし、ASDや不安障害の人にも同様の症状が現れることがあります。
例えば、長期間の強い不安や対人関係のストレス、環境への適応負担が続くことで、心身のエネルギーが消耗し、うつ病に似た状態になることがあります。
症状が似ていても、原因や診断名は異なる場合があります。
うつ病とASD・不安障害は何が違うのか
精神疾患や発達特性は、それぞれ診断基準が異なります。
うつ病は気分の落ち込みや興味・喜びの喪失が一定期間続くことなどを特徴とする疾患です。
| 状態 | 主な特徴 |
|---|---|
| ASD | 対人コミュニケーションや感覚特性などの発達特性 |
| 不安障害 | 強い不安や恐怖が日常生活に影響する状態 |
| うつ病 | 気分の落ち込みや意欲低下が持続する状態 |
そのため、同じような症状があっても診断名が異なることがあります。
ASDや不安障害とうつ病を併発することもある
ASDや不安障害と診断されている人が、後からうつ病を発症することもあります。
実際には複数の状態が重なっているケースもあり、診断や治療方針は症状の経過や全体像を見ながら判断されます。
例えば、もともと不安障害がある人が強いストレスを受け続けた結果、うつ状態を伴うようになることがあります。
そのため、現在の症状がどの状態によるものかは、主治医による継続的な評価が重要になります。
主治医が「うつ病ではない」と判断する理由
診察では本人が感じている症状だけでなく、症状が始まった経緯や持続期間、日常生活への影響なども総合的に判断されます。
そのため、うつ病に似た症状があっても、診断基準を満たしていない場合は別の診断になることがあります。
また、ASDや不安障害の特性によって生じる二次的な疲労や抑うつ感が中心であると判断される場合もあります。
疑問がある場合は、診察時に「なぜうつ病ではないのか」を主治医へ直接質問してみることも大切です。
現在のつらさを軽視しないことが重要
診断名に関係なく、強い絶望感や無価値感、自傷行為、日常生活が難しいほどの無気力がある場合は、十分につらい状態と言えます。
診断名が違うからといって症状の重さが軽いわけではありません。
- 日常生活がほとんど送れない
- 一日中寝たきりになる
- 自傷行為が続いている
- 希死念慮が強くなっている
こうした状態が続く場合は、主治医へ現在の状況を詳しく伝えることが大切です。
相談先や支援を活用することも大切
精神的な不調は一人で抱え込まないことが重要です。
主治医だけでなく、心理士や相談支援機関、家族などと連携することで負担が軽減することがあります。
厚生労働省でもこころの健康に関する相談窓口が紹介されています。詳しくは[参照]をご確認ください。
まとめ
ASDや不安障害でも、絶望感や無価値感、無気力、集中力低下など、うつ病に似た症状が現れることがあります。そのため、症状だけでは診断名を判断することは難しく、主治医は症状の経過や背景を含めて総合的に診断しています。
また、ASDや不安障害とうつ病が併発することもありますが、診断名が何であっても現在のつらさが本物であることに変わりはありません。
症状に不安や疑問がある場合は、診断名だけにとらわれず、現在感じている困りごとや状態を主治医へ率直に相談することが大切です。


コメント