事故や病気などで視力を完全に失った場合、「眼球は必ず摘出して義眼を入れるのだろうか?」と疑問に思う方は少なくありません。失明=義眼というイメージを持たれがちですが、実際には状況によって大きく異なります。この記事では、眼球摘出や義眼装着が必要になるケースと、そうでないケースについて、医学的な視点を踏まえてわかりやすく解説します。
失明しても眼球を摘出しないケースが多い理由
結論から言うと、失明したからといって必ず眼球を摘出するわけではありません。視力が完全に失われていても、眼球そのものに強い痛みや炎症、感染などがなければ、眼はそのまま残すことが一般的です。
例えば、網膜剥離や視神経の障害、緑内障の末期などで見えなくなった場合でも、眼球自体が安定していれば摘出は行われません。見えないことと、眼球の存在は医学的に別問題として扱われます。
眼球摘出が検討される主なケース
一方で、特定の条件では眼球摘出(眼球内容除去や眼球摘出術)が検討されることがあります。主な理由は「痛み」「安全性」「見た目」の問題です。
代表的なケースとして、重度の外傷で眼球が大きく損傷している場合、強い痛みが慢性的に続く場合、感染や炎症が制御できない場合などが挙げられます。また、失明した眼が原因で健側の眼に影響を及ぼす「交感性眼炎」を防ぐ目的で摘出が選択されることもあります。
義眼を装着する目的とタイミング
義眼は「見えるようにするため」のものではなく、主に外見の自然さを保つ目的で使用されます。眼球を摘出した場合、そのままにすると眼窩がくぼみ、顔貌に左右差が生じるため、義眼や義眼床(インプラント)を用いて形を整えます。
手術後すぐに最終的な義眼を入れるわけではなく、術後の腫れが落ち着いた数か月後にオーダーメイドの義眼を作製・装着する流れが一般的です。日常生活では定期的なメンテナンスや眼科でのチェックが必要になります。
失明しても義眼を使わずに生活する選択
眼球を摘出しない場合は、当然ながら義眼も不要です。見えない眼であっても、外見上は健常眼とほとんど変わらず、周囲から失明していることに気づかれないケースも多くあります。
また、眼球を摘出した場合でも、必ずしも義眼を装着しなければならないわけではありません。ご本人の価値観や生活スタイルによっては、義眼を使用しない選択をする方もいます。
心理的・生活面への影響も重要な判断材料
眼球摘出や義眼装着は、身体的な問題だけでなく心理的な影響も大きい決断です。見た目への不安、人前に出ることへの抵抗感、義眼の装着感など、個人差が大きい点も考慮する必要があります。
そのため、眼科医だけでなく、家族や場合によってはカウンセラーと相談しながら、十分に納得したうえで選択することが大切です。
まとめ:失明=義眼ではない
失明した人が必ず眼球を摘出して義眼を装着するわけではありません。眼球に痛みや危険がなければ残すことが多く、摘出や義眼は必要に応じて選択される医療行為です。大切なのは、医学的な必要性と本人の気持ちの両方を尊重しながら、自分に合った選択をすることです。疑問や不安がある場合は、遠慮せず専門の眼科医に相談することをおすすめします。


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