知的障害とADHDは同じ?診断基準と違いをわかりやすく解説

メンタルヘルス

「ADHD(注意欠如・多動症)」と「知的障害」は混同されがちですが、まったく異なる特性と診断基準を持っています。特に、WAISなどの知能検査でIQが低めに出た場合、「ADHDではない」とされることに困惑する方も多いのではないでしょうか。本記事では、両者の違いや診断の考え方について、わかりやすく解説していきます。

ADHDと知的障害はイコールではない

ADHDは「注意欠如・多動症」と訳され、主に注意力の持続が困難・衝動性・多動性が中心の特性です。一方で、知的障害知的能力の発達の遅れを特徴とするもので、知能指数(IQ)が70以下であることが一般的な診断基準となります。

つまり、ADHDと知的障害はまったく異なる概念であり、イコールではありません。ただし、両方の特性を併せ持つ人もいるため、判断が難しいケースも存在します。

境界知能(IQ70〜84)とは?

WAISなどの知能検査でIQ80という結果が出た場合、一般的には「境界知能」に分類されます。これは、知的障害と平均知能の間に位置し、学習や社会適応に多少の困難が出やすいゾーンとされています。

この境界知能の領域では、学校生活や社会生活で「生きづらさ」を感じることも多く、「ADHDではない」と診断されたとしても、別の支援が必要になる場合があります。

ADHDの診断基準とは?

ADHDはDSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル第5版)に基づいて診断されます。以下のような症状が、12歳以前から存在し、複数の場面で持続的に見られる必要があります。

分類 代表的な症状
不注意 集中力が続かない、ケアレスミスが多い、忘れ物が多いなど
多動性 じっとしていられない、しゃべりすぎるなど
衝動性 順番が待てない、他人の話をさえぎるなど

これらの症状が、生活や学業、仕事などに支障をきたしているかどうかが、診断の大きなポイントです。

ADHDではないと言われた理由は?

検査でIQが低い場合、ADHDかどうかを区別するためには症状の由来が重要になります。「衝動的に見えるけれど、実は判断力の弱さから来ている」と判断されることがあり、この場合、医師はADHDと診断しないことがあります。

一方で、ADHDの特性はあっても、IQの低さが目立ってしまい診断に至らないケースもあるため、臨床医の判断に個人差が出ることもあります。

生きづらさへの支援と対策

「ADHDではない」と診断されても、日常生活で困りごとがあるなら、支援を受けることが重要です。心理カウンセリングやソーシャルスキルトレーニング(SST)などは、診断の有無にかかわらず活用できます。

また、環境調整やスケジュール管理の工夫、集中力を高める方法(タスクの細分化やタイマー活用など)も日常生活の支えになります。

まとめ:診断名よりも大切なこと

ADHDと知的障害は別の概念であり、WAISでIQが80だからといって、すべての問題が「ADHDではない」で片付くわけではありません。困っていることに対して、適切なサポートを受けることが何より大切です。

診断に納得がいかない場合は、発達障害に詳しい医療機関や臨床心理士にセカンドオピニオンを求めるのも一つの方法です。自分の特性と向き合いながら、少しずつ生活しやすい環境を整えていきましょう。

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