双極性障害の治療では、躁状態のコントロールが重視されることが多く、結果として「感情が抑えられすぎてしまう」と感じる人もいます。特に、薬物療法を続ける中で「明るく前向きな気持ちが持てない」と悩むケースも少なくありません。この記事では、躁状態を抑えつつ、健康的な気持ちで生活するための工夫について解説します。
双極性障害の治療薬と気分のコントロール
双極性障害の治療では、気分の波を抑えることが重要視されます。そのため、多くの薬が「躁状態を抑える」方向に作用します。
- リチウム:気分を安定させる作用があるが、副作用として振戦(手の震え)などが起こることがある。
- ラモトリギン:うつエピソードを防ぐ効果があるが、躁状態を促すことは少ない。
- クエチアピンやオランザピン:抗精神病薬として処方されることがあり、躁の抑制に効果的だが、抑えすぎると無気力を感じることがある。
このように、「躁を抑えながらも、明るく前向きな気持ちを維持する」というバランスが課題になります。
気分を前向きにするための薬の調整
薬の影響で気分が抑えられすぎている場合、以下のような方法を医師と相談しながら試すことができます。
- 抗うつ薬の併用:SSRIやSNRIなどの抗うつ薬を慎重に使うことで、うつの症状を改善し、前向きな気持ちを取り戻せる場合がある。
- 気分安定薬の微調整:リチウムやラモトリギンの用量を調整することで、過度な抑制を防ぐ。
- 非薬物療法の活用:心理療法や行動療法を取り入れることで、薬に頼りすぎずに気分を安定させる。
特に、「どの薬がどのように作用しているのか」を理解し、自分に合った調整を見つけることが大切です。
生活習慣の改善で気分の安定を図る
薬の調整だけでなく、日常生活の習慣を見直すことで、気分を安定させながら前向きに過ごすことができます。
- 規則正しい生活を送る:睡眠リズムを整えることで、気分の波をコントロールしやすくなる。
- 適度な運動を取り入れる:ウォーキングや軽いストレッチなど、体を動かすことで気分がリフレッシュしやすい。
- 食事バランスを整える:タンパク質やオメガ3脂肪酸を多く含む食品を摂取すると、脳の働きをサポートできる。
- ストレスマネジメントを意識する:趣味の時間を作ったり、リラクゼーションを取り入れることで気分を落ち着かせる。
心理療法の活用で感情をコントロール
薬だけに頼らず、心理療法を取り入れることで、気分を抑えすぎることなく安定した生活を送ることができます。
- 認知行動療法(CBT):ネガティブな思考を修正し、前向きな考え方を身につける。
- 対人関係療法(IPT):人間関係のストレスを軽減し、気分の波を抑える。
- マインドフルネス療法:今の自分の気持ちを受け入れ、過度なストレスを抱えないようにする。
心理療法を継続することで、「薬に頼らなくても気分を安定させる力」を身につけることが可能になります。
まとめ
双極性障害の治療では、躁状態を抑えることが重視されるため、気分が抑えられすぎてしまうことがあります。しかし、薬の調整・生活習慣の改善・心理療法の活用を組み合わせることで、前向きな気持ちを取り戻すことができます。
自分に合った治療法を見つけるために、医師と相談しながら試行錯誤を続けていくことが大切です。無理をせず、自分のペースで安定した生活を目指していきましょう。
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