うつ病の治療を続けてもなかなか改善しない場合、医師が「双極性障害の可能性」を考慮することがあります。これは、うつ病と双極性障害が似た症状を持ちつつも、治療方法が異なるためです。本記事では、なぜ医師が双極性障害を疑うのか、ガイドライン上の対応、そして適切な治療選択について解説します。
うつ病と双極性障害の関係
うつ病(単極性うつ)と双極性障害は、一見すると似ていますが、症状や治療方針に違いがあります。
項目 | うつ病(単極性うつ) | 双極性障害 |
---|---|---|
主な症状 | 気分が落ち込む、意欲低下 | うつ状態と躁(軽躁)状態を繰り返す |
治療 | 抗うつ薬を使用 | 気分安定薬や抗精神病薬を使用 |
治療の効果 | 抗うつ薬が効果的 | 抗うつ薬が逆効果になることがある |
うつ病の治療が効果を示さない場合、実は双極性障害であり、抗うつ薬が適切でない可能性が考えられます。
ガイドラインでの対応:うつ病が治らないときの診断
日本うつ病学会のガイドラインでは、うつ病の治療を一定期間行っても改善が見られない場合、以下のような対応を推奨しています。
- 治療薬の見直し(異なる抗うつ薬の試行)
- 治療の補助として心理療法を追加
- 双極性障害の可能性を再評価
- 気分安定薬(例:リチウム、バルプロ酸)の導入
特に、抗うつ薬が効かないどころか気分の波が激しくなったり、イライラ感が増す場合は、双極性障害の可能性が高まります。
双極性障害の診断基準
双極性障害の診断は、次のポイントをもとに行われます。
- 過去に気分が異常に高揚したことがあるか
- 睡眠時間が少なくても元気に活動できたことがあるか
- 衝動的な行動(浪費・多弁・攻撃性)が増えたことがあるか
- 親族に双極性障害の人がいるか
これらの特徴が見られる場合、抗うつ薬単独ではなく、気分安定薬を使用した治療が必要となります。
主治医と相談するときのポイント
もし主治医が「双極性障害の可能性がある」と言った場合、以下の質問をしてみると良いでしょう。
- 双極性障害の診断を確定するために、どのような検査や評価を行うのか?
- 抗うつ薬の効果が見られないのは、どのような理由が考えられるのか?
- 気分安定薬への切り替えは、どのようなリスクや副作用があるのか?
医師との対話を通じて、自分にとって最適な治療方法を見つけることが大切です。
まとめ
うつ病の治療が長期間効果を示さない場合、医師が双極性障害の可能性を考慮することは珍しくありません。診断の違いによって治療法も変わるため、適切なアプローチをとることが重要です。
疑問がある場合は、主治医にしっかりと相談し、自分に合った治療を受けるようにしましょう。
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