ST上昇は心電図でよく見られる所見の一つであり、その原因と解釈は臨床診断において重要です。この記事では、ST上昇が見られる誘導、原因、そしてその解析方法について解説します。
ST上昇が見られる誘導とは?
ST上昇は、心筋の一部が十分な酸素供給を受けられなくなることで発生します。これが心電図で表れるのは、特定の誘導で特に顕著です。通常、ST上昇が目立つ誘導は、心筋の虚血部位に対応しています。例えば、前壁の虚血ではV1-V4誘導、下壁の虚血ではII、III、aVF誘導にST上昇が見られることが多いです。
これらの誘導でST上昇が見られる場合は、心筋梗塞の可能性を示唆することが多いので、詳細な評価が必要です。
ST上昇の原因と病態
ST上昇は、心筋梗塞や不安定狭心症、急性冠症候群など、心筋の酸素供給が不足した際に現れる重要な所見です。また、急性心膜炎や高カリウム血症など、心筋以外の原因でもST上昇が見られることがあります。
ST上昇が心筋梗塞に起因する場合、通常は狭心症や胸痛とともに現れ、血流の阻害により心筋がダメージを受けていることを示します。
ST上昇の見方と臨床的意義
ST上昇を確認する際は、通常の基準線と比較して、特定の誘導でのSTセグメントの位置を観察します。STセグメントは、P波とT波の間の部分で、通常、基線とほぼ平行に位置していますが、ST上昇が見られる場合は、基線よりも上に突出します。
ST上昇の高さや範囲が広がるほど、その臨床的な重要性は高く、急性の冠動脈疾患が疑われます。例えば、ST上昇が2mm以上の場合は、心筋梗塞の可能性が高いとされ、即座の対応が求められます。
ST上昇の対応と治療法
ST上昇が認められた場合、早期に医療機関での評価が必要です。心筋梗塞が疑われる場合、迅速な冠動脈造影や血栓溶解療法が行われることがあります。診断が確定すれば、血行再建を目的とした治療が行われ、心筋のダメージを最小限に抑えることを目指します。
また、ST上昇が他の原因で起きている場合も、原因に応じた治療が行われます。例えば、高カリウム血症や心膜炎の場合には、それぞれに適した対応が必要です。
まとめ
ST上昇は、心電図で確認される重要な所見であり、その誘導や原因を正確に理解することが重要です。特に心筋梗塞の場合、ST上昇の確認は迅速な対応を促し、患者の予後に大きく影響します。心電図を通じてST上昇が確認された場合は、すぐに専門医の評価を受け、適切な治療を行うことが求められます。
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