パニック障害の治療には、一般的に西洋薬が用いられますが、漢方薬を併用することで症状の緩和を目指す方も多くいます。しかし、漢方には複数の成分が含まれるため、その組み合わせによる影響が気になることもあるでしょう。特に、甘草(カンゾウ)に含まれるグリチルリチン酸の過剰摂取が懸念されることがあります。
漢方薬と甘草の関係
甘草とは?
甘草は、炎症を抑えたり、胃腸の調子を整えたりする効果がある生薬です。多くの漢方薬に含まれており、特に精神安定作用のある処方には頻繁に配合されています。
甘草の過剰摂取による影響
甘草に含まれるグリチルリチン酸を過剰摂取すると、低カリウム血症や偽アルドステロン症、高血圧などの副作用を引き起こすことがあります。一般的には、1日にグリチルリチン酸2.5g以上の摂取が問題になると言われています。
現在服用している漢方の甘草含有量
漢方薬 | 甘草の含有量(1日量あたりの目安) |
---|---|
抑肝散 | 約1.0g |
半夏厚朴湯 | 約0.5g |
苓桂朮甘湯 | 約1.0g |
甘麦大棗湯 | 約0.5g |
合計すると、1日3回の処方で約1.5g、頓服としての苓桂朮甘湯+甘麦大棗湯で1.5gとなります。つまり、1日に2回頓服を使用した場合でも、甘草の合計摂取量は3.0g程度になり、一般的な安全基準を超える可能性があります。
甘草の摂取を安全にするための対策
1. 医師と相談する
甘草の摂取量が気になる場合は、処方医に相談し、必要に応じて甘草を含まない代替処方を検討してもらうのがよいでしょう。漢方は個人の体質に合わせて調整できるため、医師と連携することが重要です。
2. 漢方薬の服用間隔を見直す
頓服として使用する際に、1日の服用回数を調整することで、甘草の総摂取量を抑えることができます。「1日2回服用したい」と感じる場合でも、まずは医師の指示に従いましょう。
3. カリウムを多く含む食品を摂取する
甘草の影響で低カリウム血症が心配な場合は、カリウムを豊富に含む食品を積極的に摂取するのも一つの方法です。
- バナナ
- ほうれん草
- アボカド
- 納豆
- さつまいも
4. 体調の変化に注意する
甘草の影響で副作用が出る場合、高血圧、むくみ、筋肉のけいれんなどの症状が現れることがあります。これらの症状が出た場合は、すぐに医師に相談しましょう。
まとめ
漢方薬には体質を整える効果がありますが、成分によっては過剰摂取に注意が必要です。甘草を多く含む漢方を組み合わせて服用する場合は、医師に相談しながら適切な摂取量を守ることが大切です。日常生活でカリウムを多く含む食品を意識し、体調の変化に気をつけながら服用しましょう。
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