SNSで「フォロワー数が多い=自己愛性パーソナリティ障害?」という問いへの心理学的な見解

メンタルヘルス

SNSでフォロー数よりフォロワー数が多くないと恥ずかしいと感じる――このような思いを抱く人が、すぐに自己愛性パーソナリティ障害(Narcissistic Personality Disorder:NPD)傾向だと言えるのでしょうか。今回は、心理学的視点からその関係性と誤解しやすいポイントを整理します。

自己愛性パーソナリティ障害(NPD)とは何か?

自己愛性パーソナリティ障害は、自己重要感の強さ、他者への共感の欠如、賞賛や注目を過度に求める傾向などが特徴のパーソナリティ障害です。:contentReference[oaicite:1]{index=1}

ただし、心理学的には「フォロワーが少ない」「注目されない」と感じるだけでは診断の対象にはならず、持続性・広範な機能障害・他者との人間関係の著しい影響などが併発して初めて診断されます。

SNSでフォロワー数を気にする心理の背景

SNS上でフォロワー数や「いいね」を気にする行動は、現代の文化において一般的に見られます。たとえば、フォロワー数と自己愛傾向との関連を示す研究もあります。:contentReference[oaicite:2]{index=2}

ただし、研究では「フォロワー数を気にする=NPD」という因果関係までは示されておらず、SNS利用が自己愛傾向を強める可能性があるという提示にとどまっています。:contentReference[oaicite:3]{index=3}

「フォロワー数が多くないと恥ずかしい」と感じるだけではNPDではない理由

以下のような点から、「フォロワー数へのこだわり=NPD」と安易に結びつけるのは誤りです。

  • 自己愛性パーソナリティ障害では、日常生活や対人関係へ著しい影響が出るほどの持続的なパターンがある必要があります。
  • SNSでの振る舞いは文化・環境・年齢・性別・流行など多くの要因に左右されます。
  • 「フォロワー数が少ないことを恥ずかしいと感じる」というのは、自己評価や社会比較に起因する一般的な感情であり、必ずしも病的な状態ではありません。

もし自己愛的傾向が気になるときにできること

・SNS使用時間や投稿頻度、フォロワー数を気にする自分の思考パターンを観察してみてください。自己評価が「いいね」やフォロワー数の増減に左右されていないか確認しましょう。

・友人・家族・専門家に相談することも選択肢です。特に、「常に注目されたい」「他者の成果が許せない」「自己価値が他者の評価に依存している」と思う場合には専門家の支援が有効です。

・SNS以外の活動(趣味・運動・ボランティアなど)で、承認欲求以外の自己満足を感じられる場を持つことも、バランスを取る一助になります。

まとめ

SNSで「フォロワー数が多くないと恥ずかしい」と感じること自体は、必ずしも自己愛性パーソナリティ障害を示すものではありません。ただし、他者との関係に支障が出るほどの自己中心的なパターンや、承認を過度に求めて生活に支障をきたしていると感じる場合には、心理の専門家に相談してみることをおすすめします。

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