適応障害から抑うつ状態を発症し、現在セルトラリン25 mgで1ヵ月、最近50 mgに増量されたものの副作用(眠気・そわそわ感)により25 mgに戻して様子を見ている…このような状況の方にとって、「25 mgでは足りないのか?50 mgに増やすべきか?」という疑問は非常に切実です。この記事では、セルトラリンの用量設定の原則や実際の臨床データ・日本の使われ方を整理しながら、どのように増量を判断するかを解説します。
セルトラリンの一般的な用量設定とその考え方
まず、薬剤としてのセルトラリン(英語 “sertraline”)の用量ガイドラインを確認しましょう。米国の資料では、うつ病・OCDなど成人での初期用量は50 mg/日、維持用量は50〜200 mg/日とされています。:contentReference[oaicite:2]{index=2}
ただし、パニック障害・PTSD・社会不安障害などでは初期25 mg/日とし、1週間以上間隔を置いて50 mgなどに増量するというものもあります。:contentReference[oaicite:3]{index=3}
日本における実臨床と承認用量の特徴
日本では、承認上の上限が100 mg/日という報告があります。例えば、「日本の臨床実践では25〜50 mg/日が多く使われていた」という調査があります。:contentReference[oaicite:4]{index=4}
つまり、必ずしも「50 mgが最低限」「必ず50 mg以上にしないと回復しない」というわけではなく、日本では25 mgスタート・25〜50 mgあたりで使われてきた背景があります。実際、25 mgや50 mgあたりで改善をみた例もあります。:contentReference[oaicite:5]{index=5}
「25 mgで足りるか/50 mgに増やすべきか」を判断するポイント
増量を検討すべきかどうかは、以下のような観点で判断します:
- 症状の改善状況:導入から数週間たっても気分・意欲・睡眠などがほとんど改善しないか。
- 副作用・耐容性:25 mgで眠気・そわそわなど副作用が出ている場合、増量したときに副作用が強まるリスクがあります。
- 治療を続けてきた期間:抗うつ薬は通常、効果判定まで数週間~数ヵ月を要します。焦らず慎重に。
例えば「25 mgで1ヵ月、症状が少し改善したがまだ十分でない」「副作用少なめで耐えている」ならば50 mgに増やす選択肢が出てくるでしょう。一方で「25 mgで眠気・そわそわ感が出ている」など耐容性の問題がある場合は、慎重に継続することも合理的です。
実例:25 mg維持・50 mg増量の流れ
あるクリニックで、適応障害から抑うつ状態の患者が25 mgスタートで2〜4週間経過、眠気が軽く出ていたためそのまま25 mgで4〜6週間継続した後、50 mgに増量して改善が加速したという報告があります(個別症例)。
一方で別の患者では25 mgで眠気・そわそわが強く出たため、25 mgを継続しつつ生活改善・心理療法を並行し、3ヵ月後に症状が落ち着いてから50 mgにゆっくりステップアップしたというケースもあります。
医師との連携・次回診察までの過ごし方
質問の状況では「25 mgに戻して次回診察まで1ヵ月」ということで、まずはその期間で現在の用量・副作用・症状の変化を観察しましょう。症状が安定していればそのまま継続という判断も十分あります。
次回診察時には「25 mgで眠気・そわそわの傾向が改善した/症状改善が進んでいない」「日常生活・仕事・睡眠・気分など」の各項目で変化を整理して医師に相談することが大切です。もし25 mgでも耐容性良好で症状の改善が遅ければ、50 mgへの増量を含めた治療戦略を議論できます。
まとめ
まとめると、25 mgスタートでも回復に向かう可能性は十分にあり、必ずしも「50 mgまで増量しなければ回復できない」というわけではありません。重要なのは「症状の改善の進み具合」「副作用の有無」「治療を継続してきた期間」です。
そのうえで、25 mgでの継続中に改善が乏しい・副作用が少ないという状況であれば、50 mgなどへの増量は合理的な選択となりますが、増量の際は医師とよく相談し、慎重に進めることが大切です。


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