「特に問題はない」と言われているのに、定期的にレントゲン撮影を勧められると、「本当に必要なの?」「料金を上げるためでは?」と不安になる方も多いのではないでしょうか。特に1年に1回の頻度で撮影を提案されると、理由が分からないままだと納得しづらいことも。今回は、定期歯科検診におけるレントゲン撮影の意味と正当性について、専門的な視点からわかりやすく解説します。
レントゲンは「見えない部分」の健康チェック
レントゲン撮影は、肉眼やミラーでは確認できない歯や骨の内部の状態をチェックするために行われます。
例えば、以下のような異常はレントゲンでしか発見できません。
- 歯と歯の間にできた初期の虫歯
- 歯の根の先にできる膿や炎症
- 顎の骨の状態(歯周病の進行など)
- 埋伏歯(親知らずなど)や嚢胞
特に症状が出ていない初期段階の病変は、レントゲンを撮ることでしか気づけないことも多く、「何もないからこそ定期チェックが重要」とされています。
なぜ“1年に1回”なのか?医学的な根拠とは
歯科のレントゲン撮影は、日本歯科医師会やアメリカ歯科医師会(ADA)などのガイドラインでも、「成人ではリスクが低くても1年に1回の撮影が望ましい」とされています。
理由は以下の通りです。
- 虫歯や歯周病は進行が遅いため、1年単位の変化を追いやすい
- 継続的に比較できる画像データを残すことで、早期発見・早期治療が可能になる
特に40代以降や、過去に虫歯治療・歯周病治療歴がある方は、再発リスクが高くなるため、1年に1回のチェックは理にかなった対応といえます。
レントゲンは本当に“安全”?放射線量が気になる方へ
歯科用レントゲンは非常に微量の放射線しか使いません。たとえば、デジタルレントゲン1枚あたりの被曝量は約0.005mSv(ミリシーベルト)で、飛行機で東京〜ニューヨークを往復するより少ないレベルです。
さらに最近の機器は放射線量を抑えるデジタル方式が主流になっており、身体への負担もほとんどありません。
つまり、「頻繁に撮るのは不安…」という方も、医師の判断に基づいて1年に1回撮る程度であれば、健康リスクは極めて低いとされています。
レントゲンで“無駄な費用”が発生する可能性は?
確かに、レントゲン撮影を加えることで検診費用が上がることはあります。しかし、医師の説明や診療明細で根拠が明示されていれば、不正請求ではありません。
気になる場合は、以下のように尋ねてみましょう。
「今回のレントゲンではどのような異常をチェックされる予定ですか?」
「昨年との比較で、何か心配されている点があるのですか?」
納得できる理由を説明してくれる歯科医院であれば、信頼できるプロフェッショナルといえるでしょう。
まとめ:定期的なレントゲン撮影は、将来の歯の健康を守る手段
見た目や痛みがなくても、歯の中や骨の異常は少しずつ進行していることがあります。1年に1回のレントゲン撮影は、そんな“見えない変化”を捉えるための大切な検査です。
費用やリスクばかりに目を向けるのではなく、「未来のトラブルを未然に防ぐための投資」と捉えることが、歯の健康寿命を延ばす第一歩になります。
とはいえ、不安や疑問がある場合は、遠慮せずに歯科医に質問し、納得のいく検診を受けましょう。
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