スイスのStalicla社による自閉症治療薬STP1の臨床試験進展と今後の展望

発達障害

自閉症スペクトラム障害(ASD)の治療において、従来のアプローチでは個々の患者に最適な治療法を見つけることが難しいとされています。近年、スイスのバイオ医薬品企業Stalicla社は、AIを活用した精密医療のアプローチで注目を集めています。この記事では、同社の自閉症治療薬STP1の臨床試験の進展と今後の展望について詳しく解説します。

STP1とは?

STP1は、PDE3、4阻害薬であるイブジラストと、NKCC1拮抗薬であるブメタニドを組み合わせた新しい治療法です。これらの薬剤は、ASDの特定のサブグループであるASD Phenotype 1(ASD-Phen1)に対して、神経生理学的な改善をもたらす可能性が示唆されています。

臨床試験の結果

2024年6月、Stalicla社は、STP1の第1b相臨床試験の結果を発表しました。この試験は、ASD-Phen1患者を対象に、STP1の安全性、忍容性、脳波(EEG)を用いたターゲットエンゲージメントを評価することを目的としています。試験の結果、STP1は良好な忍容性を示し、特に前頭葉や内嗅皮質などの領域で、ガンマ波の減少とアルファ2波の増加が観察されました。これらの変化は、実行機能や記憶に関連する脳の活動の改善を示唆しています。

今後の展望

Stalicla社は、STP1の第2相臨床試験を準備しており、ASD-Phen1患者に対するさらなるデータ収集と治療効果の検証が期待されています。また、同社は、ASD以外の神経精神疾患への適用も視野に入れており、精密医療のアプローチが他の疾患にも応用可能であるかどうかの研究が進められています。

まとめ

Stalicla社のSTP1は、ASDの特定のサブグループに対する新しい治療法として、神経生理学的な改善を示す可能性があります。今後の臨床試験の結果が、ASD治療の新たな選択肢を提供することが期待されます。

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