眼窩減圧手術は、眼球突出(出目)を改善するために行われる手術の一つです。特に甲状腺眼症(バセドウ病眼症)などで眼球が前方に突出してしまう場合に適用されます。この手術では「減圧」という言葉が使われますが、具体的にはどのような処置が行われるのでしょうか?
眼窩減圧手術とは?
眼窩減圧手術とは、眼球を支える「眼窩(がんか)」という骨や組織の一部を削ったり、広げたりすることで、眼球が収まるスペースを確保し、眼球の突出を軽減する手術です。
「減圧」と言われると、空気を抜くようなイメージを持つかもしれませんが、実際には骨を削ることで眼窩内の空間を増やし、眼球がより奥に位置できるようにするのが目的です。
眼窩減圧の仕組み:骨を削る手術
この手術では、主に以下の方法で眼窩のスペースを広げます。
1. 眼窩の内側の骨を削る
眼球の内側には「篩骨(しこつ)」という薄い骨があります。この骨を削ることで、眼球を奥に移動させるスペースを確保できます。
2. 眼窩の外側の骨を削る
眼窩の外側の骨(蝶形骨や頬骨)を削ることで、さらなるスペースを作ることができます。この方法は、特に重度の眼球突出の患者に適用されることが多いです。
3. 眼窩の底を削る
眼球の下には「眼窩底(がんかてい)」と呼ばれる部分があります。ここを削ることで、眼球が少し下方に移動し、突出が改善される場合もあります。
眼窩減圧手術の適応とメリット
この手術は、以下のような症状を持つ患者に適応されます。
- 甲状腺眼症(バセドウ病眼症)による眼球突出
- 眼窩腫瘍による圧迫
- 外傷や炎症による眼窩内の圧力上昇
メリットとしては、見た目の改善だけでなく、視力の保護や眼の圧迫感の軽減なども期待できます。
手術後の経過と注意点
眼窩減圧手術後は、以下のような経過をたどります。
- 術後数日は腫れや内出血が生じる
- 数週間で腫れが徐々に引き、眼球の位置が安定する
- 視力の変化や二重視(複視)が生じることがあるが、多くは時間とともに改善する
また、手術後には炎症や感染を防ぐため、抗生剤や消炎剤が処方されることが一般的です。
まとめ:眼窩減圧手術のポイント
眼窩減圧手術は、眼球突出を改善するために骨を削って眼窩のスペースを広げる手術です。「減圧」という表現は使われますが、実際には空気を抜くのではなく、眼窩の形を調整して眼球の位置を後退させることが目的です。
この手術により、見た目の改善だけでなく、眼圧の軽減や視力保護の効果も期待できます。術後のケアをしっかり行うことで、安全に回復できる可能性が高まります。
もし眼球突出に悩んでいる場合は、眼科や形成外科で専門医と相談し、自分に合った治療法を検討してみましょう。
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